二、旅館の娘
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観光組が宿に帰り、風呂に入り夕食を食べた後、原田は夜風に当たりに外へ行った。
潮の香りが風に乗って運ばれてくる。旅館の前は海だった。
原田が、海に向かって歩いていくと夜なのにも関わらず、人の気配があった。
「?」
明かりを持ってないその人に、原田は不思議に思って声をかけた。
「こんな暗いのに明かりもなしで何やってんだ?」
「え……あ」
「お前……」
振り返った人物に、原田は見覚えがあった。
「もしかして、あの旅館に?」
「あぁ。まぁ、な」
「お客様だったんですね」
にっこり笑う娘は、昼間に土産屋で会ったあの女だった。
「客? お前、あの旅館で働いているのか?」
「あ、いえ。あそこは父と母の旅館なんです。私は、時々お手伝いしてますけども」
「ってことは、旅館の娘なのか」
意外な接点だと、原田は言った。
「観光でお越しですか?」
「いや、観光もあるが本命は会合だな」
「あ、では京からお越しのお客様って……」
旅館側は、京から新選組という客が会合するということを把握している。会合場所が旅館だからだ。
「えっと確か」
「新選組だ。俺は、新選組の原田左之助」
「原田様……」
「その呼び方は、慣れねぇから止めてほしいんだが」
苦笑する原田に、女は改めて「原田さん」と呼んだ。
潮の香りが風に乗って運ばれてくる。旅館の前は海だった。
原田が、海に向かって歩いていくと夜なのにも関わらず、人の気配があった。
「?」
明かりを持ってないその人に、原田は不思議に思って声をかけた。
「こんな暗いのに明かりもなしで何やってんだ?」
「え……あ」
「お前……」
振り返った人物に、原田は見覚えがあった。
「もしかして、あの旅館に?」
「あぁ。まぁ、な」
「お客様だったんですね」
にっこり笑う娘は、昼間に土産屋で会ったあの女だった。
「客? お前、あの旅館で働いているのか?」
「あ、いえ。あそこは父と母の旅館なんです。私は、時々お手伝いしてますけども」
「ってことは、旅館の娘なのか」
意外な接点だと、原田は言った。
「観光でお越しですか?」
「いや、観光もあるが本命は会合だな」
「あ、では京からお越しのお客様って……」
旅館側は、京から新選組という客が会合するということを把握している。会合場所が旅館だからだ。
「えっと確か」
「新選組だ。俺は、新選組の原田左之助」
「原田様……」
「その呼び方は、慣れねぇから止めてほしいんだが」
苦笑する原田に、女は改めて「原田さん」と呼んだ。