十二.再会
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「久しぶりだな」
声の主は、加子がずっと会いたかった人。そして見知った人に出会ったことで、同時にほっとした。
「お久しぶりです! お元気でしたか?」
「あぁ。お前も元気そうだな」
「はい、おかげさまで……」
夕陽に照らされた原田と目が合い、思わず下を向く加子の頬はほんのり紅い。
「ところで、こんなとこで何してんだ? 迷ったのか?」
その言葉で加子は本来の目的を思い出す。
「そ、そうなんです……。今、お世話になっている旅館の主人からお使いを頼まれていまして、ここに行きたいんですけど分からなくて」
そう地図を指し示し、原田に見せた。
「あー……お前、ここは逆方向だぜ?」
「えっ!」
「まぁ、京は似たようなところばかりだからな。迷うのは変なことじゃねぇよ。案内してやるから、ついて来いよ」
そう背を向けて歩き出す原田に、加子は「ありがとうございますっ」と素直に甘えた。
――……‥‥
無事に文を届け終えた加子は、帰りも送ってもらうことになった。
「本当にすみません。ありがとうございます」
「いや、大したことじゃねぇよ。……それより、大丈夫だったのか? 親父さんに例の、反対されたんだろ?」
「え、あ、はい。とりあえずは。でも、厳しい父ですから原田さんとの文通も知られてしまわないか冷や冷やしてます。知られたら、止めなければなりませんから」
加子は言ってから少し気恥ずかしくなった。
「そりゃ、困るな……」
「え?」
「あ、いや。とにかくいまんとこは知られてねぇんだろ? だったら大丈夫だ」
文通が終わったら困る、と原田は確かにそう口にした。期待してしまうような発言に、加子の心臓は高鳴ったがそれ以上聞くことは出来なかった。
「弟がいつも文の管理をしているんですけど、口が堅いので安心してます」
「弟は味方ってわけだな。加子の作家活動も応援してくれてるんだろ?」
「ええ、まぁ……」
そんな話をしているうちに、加子は旅館に帰ってきてしまった。
もうついてしまったのか、と肩を落とす。するとそこへ丁度、加子の父親と母親が出て来た。
声の主は、加子がずっと会いたかった人。そして見知った人に出会ったことで、同時にほっとした。
「お久しぶりです! お元気でしたか?」
「あぁ。お前も元気そうだな」
「はい、おかげさまで……」
夕陽に照らされた原田と目が合い、思わず下を向く加子の頬はほんのり紅い。
「ところで、こんなとこで何してんだ? 迷ったのか?」
その言葉で加子は本来の目的を思い出す。
「そ、そうなんです……。今、お世話になっている旅館の主人からお使いを頼まれていまして、ここに行きたいんですけど分からなくて」
そう地図を指し示し、原田に見せた。
「あー……お前、ここは逆方向だぜ?」
「えっ!」
「まぁ、京は似たようなところばかりだからな。迷うのは変なことじゃねぇよ。案内してやるから、ついて来いよ」
そう背を向けて歩き出す原田に、加子は「ありがとうございますっ」と素直に甘えた。
――……‥‥
無事に文を届け終えた加子は、帰りも送ってもらうことになった。
「本当にすみません。ありがとうございます」
「いや、大したことじゃねぇよ。……それより、大丈夫だったのか? 親父さんに例の、反対されたんだろ?」
「え、あ、はい。とりあえずは。でも、厳しい父ですから原田さんとの文通も知られてしまわないか冷や冷やしてます。知られたら、止めなければなりませんから」
加子は言ってから少し気恥ずかしくなった。
「そりゃ、困るな……」
「え?」
「あ、いや。とにかくいまんとこは知られてねぇんだろ? だったら大丈夫だ」
文通が終わったら困る、と原田は確かにそう口にした。期待してしまうような発言に、加子の心臓は高鳴ったがそれ以上聞くことは出来なかった。
「弟がいつも文の管理をしているんですけど、口が堅いので安心してます」
「弟は味方ってわけだな。加子の作家活動も応援してくれてるんだろ?」
「ええ、まぁ……」
そんな話をしているうちに、加子は旅館に帰ってきてしまった。
もうついてしまったのか、と肩を落とす。するとそこへ丁度、加子の父親と母親が出て来た。