十一.朗報
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「京に行くことになったけぇの」
夕食時。父の台詞。
加子はすかさず父の顔を見た。
「どういうこと?」
「京の名旅館に研修しに行くことになった」
「ほいじゃあ、この旅館はどうするん?」
兄の言葉に、皆の視線も集まる。研修しにいくことは、この旅館を空けなければならない。
しかし父は慌てる様子もなく答えた。
「京に行くんは、わしと母さん。そして加子じゃけぇ、留守番はお前らに任せるけんの」
「はぁ!?」
「わ、私も行くの?」
「あぁ。手伝ってくれや」
加子はこうして京に行くことになった。兄と弟は初めての留守番であったが、もういい歳であり従業員といっても過言ではないほどの経験を積んでいた。父はそんな男兄弟を信頼しているのである。
――……‥‥
原田から返事が来たのは今朝方であった。加子はさっそく返書をしたためる。
もちろん、今日父親に言われた上洛の件も文に記す。
「……京へ出ることが決まりました。父の研修で」
筆を滑らせていくと同時に、小さく呟いていることは本人さえも気付かない。
加子は、父親から聞かされた出発の日と到着予定の日も忘れずに入れる。おこがましいことかもしれないと思った加子だったが、念のためであるしここまで書いたのだから知らせておくのが筋としたのだった。
夕食時。父の台詞。
加子はすかさず父の顔を見た。
「どういうこと?」
「京の名旅館に研修しに行くことになった」
「ほいじゃあ、この旅館はどうするん?」
兄の言葉に、皆の視線も集まる。研修しにいくことは、この旅館を空けなければならない。
しかし父は慌てる様子もなく答えた。
「京に行くんは、わしと母さん。そして加子じゃけぇ、留守番はお前らに任せるけんの」
「はぁ!?」
「わ、私も行くの?」
「あぁ。手伝ってくれや」
加子はこうして京に行くことになった。兄と弟は初めての留守番であったが、もういい歳であり従業員といっても過言ではないほどの経験を積んでいた。父はそんな男兄弟を信頼しているのである。
――……‥‥
原田から返事が来たのは今朝方であった。加子はさっそく返書をしたためる。
もちろん、今日父親に言われた上洛の件も文に記す。
「……京へ出ることが決まりました。父の研修で」
筆を滑らせていくと同時に、小さく呟いていることは本人さえも気付かない。
加子は、父親から聞かされた出発の日と到着予定の日も忘れずに入れる。おこがましいことかもしれないと思った加子だったが、念のためであるしここまで書いたのだから知らせておくのが筋としたのだった。