第7章 うちは一族
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この小説の夢小説設定主人公はイタチとサスケの姉という設定。
その他、名前変換可能のオリキャラ登場します。
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「寒っ」
火鉢を消して部屋の外に出ると、冬の風が龍厦の体を包み込んだ。
こう、廊下が外にむき出しだと家の中にいるのに外にいるようだ。そう常々感じていたが、特に冬はそれが嫌になる。
手首の上までしかない袖を伸ばそうとするが、やはり無理があった。
「やっぱり上着を……」
踵を返そうとした時、向こうからイタチが歩いてくるのが見えた。
しかし、最近のイタチは家族との交流を避けてどこかへ出かけることが多く龍厦もあまり会話をしていない。今回も、いつものように話をすることもないだろう。
そう思い、部屋に上着を取りに戻ろうとドアに手をかけた。
「姉上」
「!」
――まさか、話しかけられるとは思っておらず驚いてイタチの顔を見た。
「少し時間ありますか?」
至って普通に告げるイタチに一瞬動揺したが、すぐに落ち着きを取り戻した。
「あるけど……どうしたの?」
「……ここでは少し……」
移動を求めて来たイタチに龍厦は頷く。
「分かった。でもちょっと待って。上着取って来るから」
「はい」
イタチに断ってから龍厦はドアノブを回して部屋に入った。
――……‥‥
イタチに連れてこられたのは、南賀ノ神社の本堂。正確にはその下にある、一族の秘密の場所であった。
「ここなら誰にも聞かれることはない……」
先に入ったイタチが背を向けたままそっと呟いた。
「どういうこと?」
「……」
振り返ったイタチの眼を見た龍厦は軽く息を呑んだ。
「……それはいつから?」
万華鏡写輪眼がはっきりと浮かび上がっていた。
「それは……またいずれ……」
幻術をかけるつもりはないらしい。イタチは目を伏せた。
「……」
「問題は、姉上の眼です」
龍厦の目を見たイタチはもう普通の写輪眼に戻っていた。
「問題は二つ。まず一つ目、姉上はこれをその眼で見たことがありますか?」
イタチが指したのは、そこに置いてある古い石碑だった。
言い伝えでは、忍の祖である六道仙人が残したという。
「……ないけど、見ないとまずい物?」
「では、まず普通の写輪眼で見てください」
イタチは横に避け、石碑の前に龍厦を誘った。
不思議に思いながらも、石碑の前に立ち写輪眼を発動させた。
すると、今までよく分からない文字が書いてあった石碑が解読出来るではないか。
「……これは」
まさかこんな仕掛けがあったとは――。
龍厦は読み進める。しかし、ある程度進んだところでまた文字が読めないものになっていた。
「何これ」
「万華鏡写輪眼があれば九尾を操ることが出来る。そして万華鏡写輪眼を多用すればやがて失明する。……姉上、あまりその眼を酷使しない方がいい。先日の任務で見た姉上の瞳術……かなり眼に負担がかかっているように見えましたが」
「まぁ、それは実感してるけども……そんなにまだ使ってるわけじゃ、ないと思うし……」
――とはいえ、イタチの言う通りだった。
他の万華鏡写輪眼開眼者がどのくらいの早さで視力低下が進んでいるのかは知らない。
しかし、龍厦の眼はその力を一回使うごとに明らかに使う前よりも見えが悪くなっていた。
「どういうわけか、姉上の瞳術はリスクが大きいように思えます」
「何でそう思った?」
「この前、任務から帰ってきてから姉上はずっと……遠くの文字を目を細めて見ていた。それまではそんなことなかったでしょう」
イタチの指摘は龍厦の心臓を跳ねあがらせた。
(……鋭すぎじゃない?)
「出来れば使わないでいただきたい。姉上の実力は、万華鏡を使わずとも普通の相手なら戦えるはずです」
「過大評価しすぎだよ」
「いいえ。俺は知っています。姉上がもはや上忍クラスの実力を持っていることを」
真顔で褒めちぎるイタチに龍厦は「あ、うん……」と照れたように視線を逸らした。
「話しが逸れました。恐らくその瞳術は万華鏡の瞳術の中でも強い方なんだと思います。強すぎる瞳術はそれ相応のリスクが何らかの形で伴う」
うちは最強と言われたうちはシスイのことを思い出す。
彼の眼は、別天神という瞳術を宿していた。それは相手に気付かれることなく幻術をかけ操ることが出来る。その強すぎる瞳術のリスクは、一度使用すると十数年は使用できないというものだった。
「……強いかどうかは分からないけど、確かに一回使うごとに明らかに視力が落ちているのは自分でも分かる。あまり使わないようにはしているけどさ。……というか、この石碑途中までしか読めないけど」
「……この石碑の先は万華鏡写輪眼があれば見える」
龍厦はその言葉を聞いて、即座に万華鏡写輪眼を発動させた。すると、さっきまで読めなかった部分が浮かび上がってきた。
「……一つの神が安定を求め陰と陽に分極した。 相反する二つは作用しあい森羅万象を得る……?」
そしてその先は――
「また読めない」
「……万華鏡写輪眼を持ってしても、その後ろは読めない。まだ何かある。父さんはそう言っていた」
「は? 父さんが?」
振り返ってイタチを見ると、視線を伏せて何かを思い出しているかのような表情をしていた。
やがて、ゆっくり瞬きをすると龍厦の目を見つめた。
「父さんも、万華鏡写輪眼を持っている」