分かってはいるけども
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弟のエレンが巨人化できる人間だと知れ、地下牢に入れられた。
その処遇をどうするかで、憲兵団と調査兵団の意見が分かれたのだが……私は数日に渡って憲兵団の取り調べを受けた。
それは私がエレンの姉であるからだった。巨人化出来るのを知っていたのか、エレンがどんな子供時代を送っていたかという質問から……姉弟だからお前も巨人化出来るのだろうという偏見の言葉も浴びせられた。(まぁその偏見はある意味正解なのだが)
もちろん、知らぬ存ぜぬを通した。
とはいえ、さほど期待していなかったのだろう。そこまでの深い追求はされず、私は解放された。
一方、エルヴィン団長からはエレンを調査兵団に引き込む予定だと通達を受けた。
本人の意思も確認済み。それと、エレンの処遇を決める審議が行われることも同時に通達された。この通達は調査兵団全員にされたのだった。
――……‥‥
とても鈍い音が審議所に響く。私は今、愛する男が大切な弟を酷く蹴っているとこをを目の当たりにしている。
いくら再生するとはいえ、歯が吹っ飛び血が飛び散っている様を見ると顔を手で覆いたくなった。
分かってはいる。エレンを調査兵団なら管理出来ることを示す策だというのは。
だけど、これはいくら何でもやりすぎでは?
ここまでするなんて聞いてない。
「これは持論だが、躾に一番効くのは痛みだと思う」
意味わからない。躾? 確かにエレンは先程、言いたいことを言い放ち……正直「何なの、こいつ」と思われそうな発言をした。分かる。分かるのだけれど、やはりリヴァイの蹴りは酷いものがある。人の頭を踏みつけるとか信じられない……。ましてや恋人の弟にその仕打ち。
アルミンに止められているミカサの気持ちときっと同じ。リヴァイに殺意が湧いたのは初めてだった。
ただ、彼が私の愛する人というのはその殺意を複雑な気持ちにもさせた。
――審議は、調査兵団にエレンを委ねる決断となった。
その後、私はエレンが今調査兵団の幹部連中と一緒にいることを知り、その部屋へと急いだ。
「失礼します!」
勢いよくドアを開けると、団長・ミケさん・ハンジさん・リヴァイに囲まれるエレンの姿があった。
びっくりした、とハンジさんだけが声を出した。エレンは、元気そうだけどまだ顔に暴行の跡がある。
私はそそくさとエレンに近寄り、その両肩を掴んだ。じっと顔を見ているせいか、エレンは少し戸惑っている。
「痛い?」
沈黙数十秒の後に聞いた。
「え……あ……まぁ。でも大丈――!!?」
エレンが答えきる前に、思いっきり抱きしめた。エレンが久々に身近に感じたからだ。
訓練兵の三年間で、一〜二回会ったくらいなので本当に久しぶりに家族と再会した瞬間なのだ。こんなにそばにいるのは嬉しかった。
十五歳の体は三年前と違い、随分男らしくなっていた。兵士らしく筋肉もついているようで、それが一段と成長を感じさせた。
ただひたすら抱きしめ、小さい声で「良かった」と繰り返し呟いている私は不思議すぎただろう。第一声に言葉をかけてきたのはエルヴィン団長だった。
その処遇をどうするかで、憲兵団と調査兵団の意見が分かれたのだが……私は数日に渡って憲兵団の取り調べを受けた。
それは私がエレンの姉であるからだった。巨人化出来るのを知っていたのか、エレンがどんな子供時代を送っていたかという質問から……姉弟だからお前も巨人化出来るのだろうという偏見の言葉も浴びせられた。(まぁその偏見はある意味正解なのだが)
もちろん、知らぬ存ぜぬを通した。
とはいえ、さほど期待していなかったのだろう。そこまでの深い追求はされず、私は解放された。
一方、エルヴィン団長からはエレンを調査兵団に引き込む予定だと通達を受けた。
本人の意思も確認済み。それと、エレンの処遇を決める審議が行われることも同時に通達された。この通達は調査兵団全員にされたのだった。
――……‥‥
とても鈍い音が審議所に響く。私は今、愛する男が大切な弟を酷く蹴っているとこをを目の当たりにしている。
いくら再生するとはいえ、歯が吹っ飛び血が飛び散っている様を見ると顔を手で覆いたくなった。
分かってはいる。エレンを調査兵団なら管理出来ることを示す策だというのは。
だけど、これはいくら何でもやりすぎでは?
ここまでするなんて聞いてない。
「これは持論だが、躾に一番効くのは痛みだと思う」
意味わからない。躾? 確かにエレンは先程、言いたいことを言い放ち……正直「何なの、こいつ」と思われそうな発言をした。分かる。分かるのだけれど、やはりリヴァイの蹴りは酷いものがある。人の頭を踏みつけるとか信じられない……。ましてや恋人の弟にその仕打ち。
アルミンに止められているミカサの気持ちときっと同じ。リヴァイに殺意が湧いたのは初めてだった。
ただ、彼が私の愛する人というのはその殺意を複雑な気持ちにもさせた。
――審議は、調査兵団にエレンを委ねる決断となった。
その後、私はエレンが今調査兵団の幹部連中と一緒にいることを知り、その部屋へと急いだ。
「失礼します!」
勢いよくドアを開けると、団長・ミケさん・ハンジさん・リヴァイに囲まれるエレンの姿があった。
びっくりした、とハンジさんだけが声を出した。エレンは、元気そうだけどまだ顔に暴行の跡がある。
私はそそくさとエレンに近寄り、その両肩を掴んだ。じっと顔を見ているせいか、エレンは少し戸惑っている。
「痛い?」
沈黙数十秒の後に聞いた。
「え……あ……まぁ。でも大丈――!!?」
エレンが答えきる前に、思いっきり抱きしめた。エレンが久々に身近に感じたからだ。
訓練兵の三年間で、一〜二回会ったくらいなので本当に久しぶりに家族と再会した瞬間なのだ。こんなにそばにいるのは嬉しかった。
十五歳の体は三年前と違い、随分男らしくなっていた。兵士らしく筋肉もついているようで、それが一段と成長を感じさせた。
ただひたすら抱きしめ、小さい声で「良かった」と繰り返し呟いている私は不思議すぎただろう。第一声に言葉をかけてきたのはエルヴィン団長だった。
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