兄弟馬と主達
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俺の名はヘクトル。
調査兵団の馬さ。だが、ただの馬じゃないという自信があるぜ。
脚はどの馬の中でも速いと自負しているし、見た目も悪くないと思う。小さい頃から誰にも負けたくないと、必死に走る訓練をしてきた。毛並はまぁ人間が綺麗にしてくれているが、やっぱり俺自身が前向きでいないと艶が出ないだろ?
ストレスは大敵だ。
俺の主は、調査兵団分隊長のマーラ・イェーガー。馬である俺の事を信頼してくれている。俺もマーラを信頼している。
人間が次々と死んでいく壁の外で、俺は彼女だけは守りたいといつも思っている。俺の脚で、絶対走り抜いてみせるんだ。
《鼻息荒いぞ。何を想像してた》
《……うるさいな。何でもない》
俺の兄馬。俺と同じ黒毛馬で、俺より少しでかい。兄馬の主は調査兵団で最も最強とされる、リヴァイ兵長だ。
兵長に選ばれた馬として、兄馬は他の馬からは羨望の眼差しだ。だけど俺には羨む気持ちはなく、むしろ誇りに思う。俺は兄馬のことが好きだからな。
ちなみに、この厩ではいつも隣にいる。
《まぁいい。もうすぐ飯の時間だ》
《腹減ったな。今日はマーラ、来ると良いな》
俺達馬の世話は必ずしも主がやってくれるとは限らない。
飯くれるやつは毎回違うし、散歩させてくれるやつも違う。
ただ毛の手入れだけは主がやってくれる。生きていればの話だが。
《噂をすれば来たぞ》
兄馬の言葉に、厩の出入口を見た。
そこにいたのはマーラ……ではなく、まさかのまさか。
リヴァイ兵長とハンジ分隊長だった。
飯が入った容器を手にし、中に入ってくる二人に他の馬たちも早く飯が欲しいと待ち構えた。
《残念だったな、マーラじゃなくて》
《ちょっと残念だが、別に嫌いじゃない二人だ》
俺達の会話は人間には分からない。
人間には鳴き声に聞こえるらしく「なんでそんなに呻いているの」と言われたことがある。
「皆ー? ご飯の時間だよー」
ハンジ分隊長が、俺達の飯の器に次々と飯を投入していく。
リヴァイ兵長は特に何もしなかったが、兄馬のところへ来て撫でた。
《兄さん、兵長大好きかよ》
兵長の手に顔をすりすりとする兄馬が面白かった。
《当たり前だ。主を好きなのはお前も一緒だろ?》
《今の兄さん、まるで母ちゃんに甘える仔馬のようだ》
《うるせぇ、リヴァイが手を出したら擦り付けられずにはいられないんだ》
すりつけるだけでなく、その手を舐める兄馬。綺麗好きの兵長だが、兄馬が舐めても別に嫌がる素振りを見せない。
「本当、この子はリヴァイによくなついてるよね」
ハンジさんが近付いてきて、俺達の飯入れにも飯を入れた。
兄馬はするのを止めて、食べるのに集中した。俺もそうした。
その間も、二人の会話を聞いていた。
調査兵団の馬さ。だが、ただの馬じゃないという自信があるぜ。
脚はどの馬の中でも速いと自負しているし、見た目も悪くないと思う。小さい頃から誰にも負けたくないと、必死に走る訓練をしてきた。毛並はまぁ人間が綺麗にしてくれているが、やっぱり俺自身が前向きでいないと艶が出ないだろ?
ストレスは大敵だ。
俺の主は、調査兵団分隊長のマーラ・イェーガー。馬である俺の事を信頼してくれている。俺もマーラを信頼している。
人間が次々と死んでいく壁の外で、俺は彼女だけは守りたいといつも思っている。俺の脚で、絶対走り抜いてみせるんだ。
《鼻息荒いぞ。何を想像してた》
《……うるさいな。何でもない》
俺の兄馬。俺と同じ黒毛馬で、俺より少しでかい。兄馬の主は調査兵団で最も最強とされる、リヴァイ兵長だ。
兵長に選ばれた馬として、兄馬は他の馬からは羨望の眼差しだ。だけど俺には羨む気持ちはなく、むしろ誇りに思う。俺は兄馬のことが好きだからな。
ちなみに、この厩ではいつも隣にいる。
《まぁいい。もうすぐ飯の時間だ》
《腹減ったな。今日はマーラ、来ると良いな》
俺達馬の世話は必ずしも主がやってくれるとは限らない。
飯くれるやつは毎回違うし、散歩させてくれるやつも違う。
ただ毛の手入れだけは主がやってくれる。生きていればの話だが。
《噂をすれば来たぞ》
兄馬の言葉に、厩の出入口を見た。
そこにいたのはマーラ……ではなく、まさかのまさか。
リヴァイ兵長とハンジ分隊長だった。
飯が入った容器を手にし、中に入ってくる二人に他の馬たちも早く飯が欲しいと待ち構えた。
《残念だったな、マーラじゃなくて》
《ちょっと残念だが、別に嫌いじゃない二人だ》
俺達の会話は人間には分からない。
人間には鳴き声に聞こえるらしく「なんでそんなに呻いているの」と言われたことがある。
「皆ー? ご飯の時間だよー」
ハンジ分隊長が、俺達の飯の器に次々と飯を投入していく。
リヴァイ兵長は特に何もしなかったが、兄馬のところへ来て撫でた。
《兄さん、兵長大好きかよ》
兵長の手に顔をすりすりとする兄馬が面白かった。
《当たり前だ。主を好きなのはお前も一緒だろ?》
《今の兄さん、まるで母ちゃんに甘える仔馬のようだ》
《うるせぇ、リヴァイが手を出したら擦り付けられずにはいられないんだ》
すりつけるだけでなく、その手を舐める兄馬。綺麗好きの兵長だが、兄馬が舐めても別に嫌がる素振りを見せない。
「本当、この子はリヴァイによくなついてるよね」
ハンジさんが近付いてきて、俺達の飯入れにも飯を入れた。
兄馬はするのを止めて、食べるのに集中した。俺もそうした。
その間も、二人の会話を聞いていた。
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