初陣
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巨人殺しの精鋭である調査兵団でも、壁外遠征に出ると毎回三割以上が命を落とす。
新兵が初陣で生還できる確率は五割と言われており、調査兵団に入団すると死を迎えると言っても過言ではないのだ。
当然、家族からは反対されることが多い。
――私も家族、特に母からは強く反対されていた。調査兵団にだけは入るなと。
それでも無視をして入団して、今日初陣を迎えた。
ずっと壁を見て生活していたからか、初めての壁外がとてつもなく広い世界に感じた。
そこには壁という隔たりはなく、いつも見ている青い空が果てしなく遠くまで続いていたのだ。
大地もずっと先まで続いていて、どこまでも羽ばたいていける気がした。
――……‥‥
「霧が濃くなって来たな……」
さっきまで、晴天だったのに天気は崩れていった。
班長のフランゲルさんの顔が険しくなるのを見た。
元々いかつい顔だとは思っていたけれど、更に怖い顔になった気がする。
「新兵! 離れるなよ!」
班の先輩の言葉に、私ともう一人の新兵の子が返事をする。
返事はしたものの、正直先輩の馬のお尻しかそれが尻だと認識できない状況だ。
霧が濃くてほとんど見えておらず、必死に馬を走らせるしかなかった。
その時であった。
霧の中から「うわぁああ!」という叫び声が聞こえたのだ。
それは、誰の者か私にはすぐ分からなかったがフランゲル班長の「ルイゲ!」という叫びが、声の主を示した。
「ルイゲ先輩!?」
何が起こったのか分からない私は、馬を止めてしまった。
それは、もう一人の新兵の子も一緒だった。
「マーラ、そこにいる?」
「いるよ」
「先輩たちはどこ? 班長は?」
もしかしたら馬を止めてはいけなかったのかもしれない。
互いの姿が認識できるくらいの距離まで近づいたが、他の班員の姿はまるで見えない。
するとまた、
「うわぁああああ!!」
という声が響いた。
「な、何?」
「分からない。この霧だから、馬が何かに躓いてこけたのかも」
「きょ、巨人じゃない……よね……?」
ここは壁外だ。
巨人じゃないっていう根拠は皆無なのである。
そして、また叫び声が聞こえた。
「え、どうしよう!? どうすればいいの!?」
慌てるその子に、私は「落ち着いて」と諭した。
「何か聞こえるよ!」
低いうめき声のようなものが当たりに響く感じだった。
「誰かいるのかな……」
「しっ、静かにして」
耳を澄ました。
今度はしん、と静まり返っている。
「何も聞こえないね。進んでみ――っ!」
「!?」
それは一瞬だった。
新兵が初陣で生還できる確率は五割と言われており、調査兵団に入団すると死を迎えると言っても過言ではないのだ。
当然、家族からは反対されることが多い。
――私も家族、特に母からは強く反対されていた。調査兵団にだけは入るなと。
それでも無視をして入団して、今日初陣を迎えた。
ずっと壁を見て生活していたからか、初めての壁外がとてつもなく広い世界に感じた。
そこには壁という隔たりはなく、いつも見ている青い空が果てしなく遠くまで続いていたのだ。
大地もずっと先まで続いていて、どこまでも羽ばたいていける気がした。
――……‥‥
「霧が濃くなって来たな……」
さっきまで、晴天だったのに天気は崩れていった。
班長のフランゲルさんの顔が険しくなるのを見た。
元々いかつい顔だとは思っていたけれど、更に怖い顔になった気がする。
「新兵! 離れるなよ!」
班の先輩の言葉に、私ともう一人の新兵の子が返事をする。
返事はしたものの、正直先輩の馬のお尻しかそれが尻だと認識できない状況だ。
霧が濃くてほとんど見えておらず、必死に馬を走らせるしかなかった。
その時であった。
霧の中から「うわぁああ!」という叫び声が聞こえたのだ。
それは、誰の者か私にはすぐ分からなかったがフランゲル班長の「ルイゲ!」という叫びが、声の主を示した。
「ルイゲ先輩!?」
何が起こったのか分からない私は、馬を止めてしまった。
それは、もう一人の新兵の子も一緒だった。
「マーラ、そこにいる?」
「いるよ」
「先輩たちはどこ? 班長は?」
もしかしたら馬を止めてはいけなかったのかもしれない。
互いの姿が認識できるくらいの距離まで近づいたが、他の班員の姿はまるで見えない。
するとまた、
「うわぁああああ!!」
という声が響いた。
「な、何?」
「分からない。この霧だから、馬が何かに躓いてこけたのかも」
「きょ、巨人じゃない……よね……?」
ここは壁外だ。
巨人じゃないっていう根拠は皆無なのである。
そして、また叫び声が聞こえた。
「え、どうしよう!? どうすればいいの!?」
慌てるその子に、私は「落ち着いて」と諭した。
「何か聞こえるよ!」
低いうめき声のようなものが当たりに響く感じだった。
「誰かいるのかな……」
「しっ、静かにして」
耳を澄ました。
今度はしん、と静まり返っている。
「何も聞こえないね。進んでみ――っ!」
「!?」
それは一瞬だった。
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