ピチャン……

『っ…』

頬に落ちる冷たい雫に意識を取り戻した

『…っ！』

意識がはっきりすると同時に右腕の痛みが蘇える

微かに光が入ってきている
夜が明けてしまったのだろうか…

どうやら、どこかの倉庫の様な所に閉じ込められているみたいだった

足首と手首は縄で前に縛られている


ここから脱出しなきゃ…

私は壁につたいながらどうにか立つ事に成功した

よし、これなら行けるかも…

ジャンプしながら出口に向かう

もうちょっと、あと、もう少し…

ガラッ‼︎

『っ‼︎』

いきなりドアが開き、あの時の男がそこに不気味な笑みでそこに立っている

「次はないと言っただろぉ」

バシッ‼︎
ドサァァァ‼︎…

『‼︎っ…』

男は私の頬を平手打ちで思いっきり叩いた
鉄臭い味が口の中に広がる

男は、抜刀すると私に近づいてきた
そして刀を振り上げた

何も出来ずに、私はただその動作を見る事しか出来ない
何もかもがスローモーションの様に見える…



私は、そのまま瞼を閉じた



「諦めんじゃねぇよ」

ふわりと香る大好きな匂いと
久々に感じる温もりに目を開けた

『…銀ちゃん』

銀ちゃんは、泣きそうな顔で
”すまねぇ”と私に言った
そして、私の顔と斬られた腕を見るなり怖い顔になっていく

どうして、そんな顔をしてるの？

「痛かったよな、怖かっただろ…ちょっと、待ってろ」

そう言い私を安全な場所に優しく下ろしてくれた

「おい！姫はどうした！」

「あ？俺は連れてくるなんて、一言も言ってないけど」

「なんだと‼︎」

「それより、こいつをこんなにしやがって、覚悟出来てんだろうな」

「ちっ、お前らこいつを殺せ！！」

銀ちゃんの周りに数人の男達が群がる

『っ！！』

「心配すんな、お前は俺が絶対守る」

そう言った彼の背中は、とても大きく安心感を与えてくれた