…帰る場所がない？

『…どう言う事ですか？』

振り返れば、眉を寄せ悔しそうな表情で真っ直ぐ私を見ていた

「〝歴史の改変があった〟と私は言いました、この時代の一部の歴史改変があったんです。」

その言葉に凄く嫌な予感がした
ドクドクと速まる心臓の音

『それ、って…』

「あの時間、貴女がいた地域の人間の歴史が改変されたんです」

『う、そ…っ』

部屋にあった電話を勝手に借りて覚えている限りの連絡先に掛けたが同じ機械の声しか聞こえない

ーこの電話番号は現在使われておりませんー

その言葉に、家族、友人、私の大事な人の顔が走馬灯の様に頭を巡り、そこから私の意識は黒く塗り潰され深い闇に沈んだ


倒れる寸前の所で、山姥切は主となった女を抱きとめ、上川に視線を向けた

「…あんたは悪くない」

そういうと、上川は眉尻を下げ少し困った様に笑い、医務室へ案内した






真っ暗闇…音も風もない世界に私はいた

やっぱり、あれは夢だったんだ
きっと、もうすぐ目が覚めていつもの日常が始まる

ー主ー

突如私しかいなかった世界に凛とした、けれど柔らかな声が聞こえた
主？主って私？

ー俺の名は…ー

何？聞こえない、、

ーきっとそなたの元へー

ー待っているぞー

その時、闇色が一瞬にして藍色になり目が覚めた…



視界に入ったのは自分の部屋ではない天井
瞬きを数回すると声を掛けられた

「身体はどうだ」

声の主は山姥切で、昨日の事が夢ではないのだといっていた
深く息を吐いて起き上がり彼を見上げた

『昨日は言えなくてごめんなさい…助けてくれてありがとう山姥切』

そう言うと彼は何故か布を深く被ってしまった

え？可笑しな事言った？、、それとも嫌われた？

『あの、山姥切？』

「なんだ」

『どうしたの？』

「何がだ」

『何がって、顔見せてよ』

「嫌だ」

えー、嫌われた…