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RAN AWAY!
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走れ!
逃げろ!
ran away!!
こんな疲れる毎日、もううんざりだ。
この日常に、終止符を打て!!
「あいつらなんざに、これ以上振り回されてたまるかぁぁあああ!!」
♢
一年間の抱負、平和な毎日を送ること。
高校2年生になり、始業式の日に掲げた抱負は、どちらかと言えばそうであってほしいという願望だった。
入学したての頃は、新しい高校生活に楽しみを感じていた。
勿論、今も楽しい。
楽しいのだが……疲れる。
それは、何ヶ月か経った頃から、私を追っかけ回すようになった奴らの所為である。
運動部に入らずとも、私の日常生活は十分ハードなものとなっていた。
「名無しちゃーん?おはよー!」
「迎えに来たで御座るよ、名無し殿!」
「……来たよ」
私のハードな一日は、奴らの頼んでもいないお迎えから始まる。
現在は5月だが、結局のところ何の進歩もない。
「しかぁし!今日の私は一味違うのさ!!」
そう、今日こそ私はレベルアップするのだ!
そんな思いを胸に、荷物を持って庭へと出た。
「ふはは、残念だったのうお主ら。この私がのこのこと出てくと思うてか!
ジャーン、隠し通路!!」
キャラが変なところも、何独り言呟いてるんだってところも、今は突っ込まないでほしい。
とにかく、こんな時のために隠し通路を作っておいたのだ。
作ってる時はかなり馬鹿馬鹿しかったが、たった今役に立っているのだから安いものだ。
「んじゃ、お先に!」
「おや、冷たいですね。一緒に行ってもいいじゃありませんか」
「ってぎゃぁあああ!!明智いぃいいいいい!?」
扉を開けた先には、いつ見ても顔色の悪い病んでる顔が、ドアップでそこにあった。
これ心臓に悪すぎるよ!貞子も吃驚のホラーだよ!!
「ククク……いいですねぇ、その驚いた顔……!」
「ひえぇ……!!」
一応紹介しておこう。
この歩くホラー野郎の名前は、明智光秀。
いろいろと信じられないことをする上に、性格も病んでいる。
私は奴を、最早人間として認めていません!!
「さぁ……一緒に行きましょう」
一歩ずつ、一歩ずつと、明智は私に近づいてくる。
この状況をどうする……!?
「名無しちゃん!?」
「どうしたで御座るか!?」
「佐助、幸村!!」
その時、神からの救いの手が差し伸べられた!!
きっと、さっき私が叫んだのを聞きつけたのだろう。
彼らは、猿飛佐助と真田幸村。
古風な喋り方をする方が幸村だ。
奴らも追っかけ軍団の一員で、家が近いからと毎朝迎えに来る。
普段なら迷惑だこの野郎とか思うところだけど
……ていうか、さっきまで思ってたけど
今日は心の底から感謝だ!!
「しかも自転車とか、超ナイスでしょ!乗せて!!」
「勿論で御座る!」
「よろしく佐助っ」
「はいは~い」
「……!!」
意気込む幸村には悪いが、佐助のほうが安全そうなので佐助の後ろに乗せてもらうことにした。
幸村は、断られたことがショックだったのか、顔を少し俯かせながら自転車をこいでいる。
……耳が垂れているように見えるのは気のせいだ、うん。
とにかく、これで安心だと私は思っていた。
「ククク……逃がしませんよ!」
「ギャァァアアアアアア!?」
しかし予想に反して、後ろから明智がクネクネしながら追ってきているではないか!!
その異様な動きは、気持ち悪い以外に言い様がない。
っていうか、何でそんな動きしながら自転車に着いて来れるんですか!?
やっぱこの人、人間じゃないよ!!
「佐助、もっとスピード上げて!」
「もう無理だって!」
「何ぃ!?……なら幸村、そこの気持ち悪いの踏み潰せ!!」
「えぇえええ!?」
「御意!!」
幸村が、私たちと明智の間に入って思いっきり前輪を振り上げる。
スピードに乗っている明智は止まることが出来ず、そのまま振り下ろされた前輪に見事に踏みつぶされた。
「グアァッ!!」
「ナイス幸村っ」
普通なら、下手すれば死にそうなくらい危険だ。
しかし、明智を相手にそんなことを気にする人は、誰一人いなかった。
実際、私たちが学校に到着した10分後に、明智は遅刻することなく登校してきた。
……ちっ、今日くらい休んでくれても良かったのに。
「名無しちゃん?なんか凄い眉間に皺が寄ってるけど」
「え?気のせいだよ」