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君に学ぶ
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「名無し、帰るぞ」
「はーい、ちょっと待って!」
放課後、政宗は直接私の家に来ることになった。
教室の扉のとこで、私の支度が終わるのを待ってくれている。
私は、急いで支度をし教室を出た。
「「……」」
教室を出る時、一瞬女子たちの視線が私に集まった。
その視線は冷ややかで、何か文句を言いたげにしている。
私が政宗の隣の席を離れたいと思う原因は、彼女たちにもある。
政宗はモテる。
一年生から三年生まで、かなりの広範囲でモテている。
そういうモテる男子と仲がいい女子というのは、周りの女子には羨ましがられるか恨まれるかのどちらかだ。
で、私の場合は後者。
ぶっちゃけ、大変迷惑な話である。
私はそのことで、クラスの女子に呼び出しを喰らったこともあった。
その時は大怪我もしてしまい、本当散々だった。
……でも一つだけ言っておくと、大怪我をしたのはその女子たちのせいではなかったりする。
その時、呼び出されたことを聞いて政宗がキレて暴走しだしたのだ。
それを私が必死に止め、結果大怪我をしたわけである。今思うと、本末転倒だ。
まぁそのおかげで、女子たちから呼び出しを喰らったのはそれが最初で最後だったが……。
政宗には二度とキレてほしくないと思った。
(自分のために怒ってくれたことは嬉しいが)
とにかく、政宗の近くにいるといろいろと困る部分がある。
どうせだったら、その女子たちに隣の席を譲ってやりたい。
……きっと、三日もすれば彼女たちも気が変わるだろうな。
「おい、名無し?」
「へ?うわぁっ!?」
名前を呼ばれて我に返ると、目の前に政宗の顔があって驚いた。
「どうしたんだ、ボーッとして。具合でも悪いのか?」
「な、なんでもないよ」
やけに顔が近くて、ドキドキする。
そのせいで、返事が少し素っ気ないものとなってしまった。
「そうか?だったら早く行くぞ」
「う、うん」
政宗はさほど気にせず、先に歩きだす。
私は慌ててその後を追った。
(まったく、あんなことされたら恥ずかしいじゃん……)
さっきまで散々言っといてなんだけど、私は政宗が好きだ。
困る部分はたくさんあるけど、やっぱり根はいい人で。
面白くて気が合うし、優しい。
これもモテ要素の一つなのかと思うと、私も見事に負けたわけだ。
でも、だからと言って虐められるのが好きなわけはないし
(私は断じてMじゃない!)
隣の席を離れたいと思うのも本音だけど。
楽しく話をしたり、気を使って優しくしてくれた時は本当に幸せだったりする。
まぁ、この気持ちを打ち明けるのはまだまだ先になりそうだ。