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遊園地に行こう!その2
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「Ahー、名無し。ちょっとこっち来い」
「んー、何ー?」
幼馴染みの政宗に手招きをされて、私は彼に近寄る。
何をするのかと思ったら、いきなりチケットらしき物を渡された。
……これはもしや、遊園地のチケットじゃ?
「何で、遊園地のチケットを?」
「明日、遊園地行くぞ」
「は!?」
まったくもって聞いてない話だ。
約束した覚えもない。
「あの、そんなこと聞いた覚えも約束した覚えもありませんが?」
「そりゃ、言ってねぇし。勿論、拒否権はねぇからな」
(出た、俺様!!)
こんな時に限って、明日は何の予定も入っていない。
予定さえあれば断ることが……
「もし予定入ってんなら、キャンセルしろよ」
出来ないようだ。
「大事な予定だったらどうすんの」
「どっちにしたってねぇだろ、名無しだし」
「どういう判断だよ!!」
「とにかく、これは決定事項だ」
「げぇ……」
かくして私は、政宗と遊園地に行くことになった。
♢
次の日、私は携帯の呼び出し音で目が覚めた。
ディスプレイを見ると、政宗からの着信だった。
「もしもしー……?」
私は、幾分寝ぼけたような声で出る。なんせ寝起きだ。
電話の向こうからは、掛けた本人からの返事がなかなか来ない。
「もしもーし、政宗ー?」
「……Good morning、名無し。寝起きのところ悪いが、待ち合わせの時間過ぎてるぜ?」
「……え?」
慌てて携帯を離し、画面に映る時間を確認する。
8時30分。
「8時に待ち合わせって、あれほど言ったよなぁ……?30分も過ぎるとはいい度胸だな」
「すみませぇぇええん!!」
電話越しだというのに、政宗の声だけでかなりの威圧がかかる。
思わず電話を切ってしまったが、今はそれどころではなかった。
(どうしよう、凄く怒ってる!やばいよ……!!)
怒っている政宗の怖さは、重々承知している。
私は、あまりの怖さに少し涙目になりながら、急いで準備をした。
暫くして、待ち合わせの場所まで走っていくと、政宗が腕を組みながら待っていた。
「本当ごめん……!」
「随分と待ったぜ。覚悟は出来てんだろうなぁ、名無し?」
(ひぇぇええ……!!)
政宗に、そのまま殺されそうな勢いで睨まれ、身体が強張る。
蛇に睨まれた蛙の気分だ。
私の命日は今日かもしれません、お母さん……。
「名無しの苦手なもんは知ってるからな、とことん付き合ってもらうぜ?」
ニヤリと。
政宗が睨むのを止め、口角を釣り上げて笑う。
明らかに、何かを企んだ笑み。
私は、嫌な予感がして寒気立った。
そしてその予感は、見事に的中していたのだった。
「まずは、ジェットコースターを全制覇といくぜ」
「な"っ……!?」
最悪だ。
私は、ジェットコースターが大の苦手だというのに。
あぁ、知っててやってるんだったな……。
「ほら、ボッとしてんな」
政宗が、私の腕を掴んで歩きだす。
鼻歌まで歌いだして、至極楽しそうだ。
(こんの、ドSめ……!)
だが、私には政宗を止める術がなかった。