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RAN AWAY!
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「ふ……ちょろいな」
別に、焼きそばパンは今は欲しくない。
でも、全員の足を購買へ向かわせておけば、私はその間に逃げることが出来る。
「……さて、屋上にでも行きますか」
全員が完全に行ったのを見計らって、お弁当とお茶を鞄から出し行こうとしたその時。
「ただいまー」
「うわぁああ!?」
いつの間に買ってきたのか。
手に購買で売られている焼きそばパンを持ち、早くも佐助が帰ってきた。
「はい、買ってきたよ!」
「早すぎでしょ……」
私の教室から購買までは、走っても2分はかかる。
それを1分足らずで帰ってくるのは明らかにおかしい。
「……買っておいた?」
「まさか。昼にならないと出ないの、名無しちゃんだって知ってるでしょ?」
「ぐ……き、昨日の」
「昨日は日曜日だけど」
「じゃあそれより前!」
「いや、認めようよ……。俺様、名無しちゃんと食べたくて頑張ったのに」
佐助が、珍しく潮らしくなる。
何だか、私が悪いことをしたみたいだ。
「……ごめん」
「まぁいいか。ご褒美はチューがいいなー」
「は?」
何だ、この立ち直りの早さは。
さっき謝ったことが、凄く無駄に思えてくるんですけど。
「何言ってんの、チューなんてするわけ……っ!?」
反論しようとした瞬間、何かで口を塞がれた。
妙に柔らかい感触のするそれが、佐助の唇だと理解するのには数秒かかった。
「……っは!佐助、何して……!?」
「へへ、ご馳走様ー」
「なっ……!
さ、さ……佐助ぇぇえええ!!」
♢
走れ!
逃げろ!
ran away!!
こんな疲れる毎日、もううんざりだ。
この日常に終止符を打て!
……でも
それはもしかしたら、終りのない物語かもしれない。
今の私は、区切るべき場所さえ知らないのかもしれない。
END