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屑桐さん家のプレゼント交換

「むがにぃ~寒いよ~もうお家入ってていーい?」

「あ、ゴメンね…お兄ちゃん達もうちょっとお話してからにするから、先に暖かくしておいで」
「はーーーい!ありがとう御門お兄ちゃん♪」

たたたーっと木造の昭和の名残がある家へと兄妹達が入っていく。

「…キサマはむがにいちゃんではないだろう。何故キサマが兄面しているのだ」
「えっ それどういう方向のヤキモチなんだい?」
「ヤキモチなどではない!!」

引き戸を閉める寸前、長男の怒声が聞こえたのか、
しっかり者の長女がじーーーーっとコチラを睨んでいる。

「わ、わかっている。喧嘩はしない」
「ほんとぉ?約束だからね!約束やぶったら、今日のおかずむがにぃだけ一個少なくするからねっ」
「う……」

成長期真っ只中の中学生、まして過酷な野球部。
おかず抜きの刑はおっかない顔の彼にも効いたようだ。

「ふふっ…」
「笑うな。喧嘩になるだろう」

喧嘩になるから、妹に怒られるから、
そんな理由付けをする彼が可愛らしくて、また笑ってしまいそうになるのを必死に堪えて続ける。


「…ごめん。キミが最初から乗り気じゃなくて、嫌がってたのも知ってたんだ」
「…………」
「でも、妹さんや弟くん達はまだサンタクロースを信じてて、プレゼント交換とか、年相応の事もさせてあげたくて…その……」

「…先に皆を乗り気にさせちゃって、ごめんなさい」
「謝るなら、今度からは先に俺に相談しろ。
それに、アイツらの顔を見たらキサマに任せてよかったと今日は思ったぞ」

「えっ?」
てっきりこのまま重い雰囲気のままだと思っていたから、意外な言葉にぴょこんっと目を丸くして思わず屑桐の顔を見上げてしまう。
「………ッ////」

屑桐の方から見ると、それが上目遣いでぴょんっと自分の方へ顔を寄せてきたように思えて、頬が怒りとは別の朱に染まる。

「? くずきり??」
「~~~~ッッ その、その首のポーズをやめろっ」
こてん、と首を傾げる牛尾は無自覚なのだが、
無自覚ゆえに、とんでもなくあざとい仕草や言動をする。

それも、屑桐相手にだけでは無い。
本当に、本当に気が気でない。
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