二人のパダワン
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アソーカ・タノは輸送船の船室のベッドの上で横になっていた。彼女は食糧や医薬品の輸送任務を終えて、何週間ぶりかの自由な夜の時間を楽しんでいた。
パダワンとして様々な任務を請け負うアソーカが、こうしてゆっくりとベッドの上で体を伸ばせる機会は少ない。
それに今はマスターの目も届かなかった。
アソーカは隣のベッドの上に横たわるバリスに視線を向けた。
バリスは目を閉じていたが、アソーカの視線を感じて、くすぐったそうに身をよじった。
「眠れないの?」
バリスが目を開けてそう尋ねると、アソーカは小さく微笑んだ。
「何だかそわそわしちゃって」
そんなアソーカの返事に、バリスのほうもこのまま眠ってしまうのが勿体なく感じた。
視線を合わせた二人は、とても楽しい気分になって、くすくすと笑い合った。
二人のパダワンはベッドの上で頭だけを起こし、互いに体を向け合った。
同じ年頃の少女が眠る前に始める事といったら、どこの星に行っても変わらないだろう。
「バリスは好きな人っている?」
アソーカの質問に、バリスは冷静に答えた。
「ジェダイは恋愛を禁じてるわ」
アソーカは唇を尖らせた。彼女はバリスの生真面目な答えには満足していないのだ。
だからバリスは、アソーカが満足するような答えもちゃんと用意している。
「禁じられていても、誰かを好きになるのは自由だと思うわ」
その答えに、アソーカは何度も頷いた。
彼女が望んでいるのは、少女らしいごく普通の答えなのである。
バリスはアソーカに聞き返す。
「貴女はどうなの?誰かに恋したことはある?」
「それが、まだなの」
意外な答えにバリスは目を瞬かせて質問を重ねた。
「本当に?ただの一人も?」
アソーカは頷いた。
「ジェダイ聖堂にいると、運命の出会いなんて無いみたい」
アソーカはそう言って笑った。
アソーカは表情豊かな少女だった。笑ってみたり、時には拗ねてみたり。
笑顔を見せる事も、不満げに唇を尖らせる事も、平気でしてしまうのだった。
バリスはそんなアソーカに魅力を感じていた。
少々好戦的すぎると称されるアソーカは、自分のマスターに反抗的な口を聞いてみたりれ、素直に命令に従わない傾向があった。
生真面目で控え目なバリスとは正反対の性格だったが、二人のパダワンはとても仲が良かった。
バリスは、もしアソーカがごく普通の少女だとしたら、きっと男の子達は彼女を放ってはおかないだろうと思った。
アソーカのマスターは、彼女の事を小生意気な少女(スニップス)だと呼ぶが、そこが彼女の魅力でもあるのだ。
事実、バリスは何時もアソーカから目が離せなかった。
どんな相手にも臆すること無く立ち向かい、困難な状況においても希望を捨てなかった。
アソーカは優れたジェダイの模範からは外れていたかもしれないが、少なくともバリスはアソーカの事を信頼のおける仲間だと感じていた。
現在のジェダイ・オーダーでは、信頼できる仲間は貴重なものだった。バリスはジェダイ・オーダーの在り方に対して疑問を感じていたのだ。
アソーカは、バリスの目が潤んだり、小さく揺らぐのを静かに見つめていた。そして、バリスが自分に何か話したい事があるのだと感じていた。
「バリスは好きな人がいるの?」
直感だったが、外れてはいないだろう思って、アソーカはそう尋ねた。バリスはきっと、自分に恋の悩みを打ち明けてくれるはずだと思ったのだ。
しかし、バリスは悲しそうな目をしてアソーカから視線を反らした。
しばらくの間、二人のパダワンはベッドの上で、天井を見つめたり、部屋の中に響く空調の音を聴いたりしていた。
アソーカは隣にいるバリスの様子を伺ったが、バリスは何か考え事に耽っているようだった。
眠気がアソーカの体を包み始めた頃になって、バリスはようやく口を開いた。
「アソーカ」
名前を呼ばれたアソーカは、バリスに視線を向けた。
バリスは体を起こして、しなやかに伸びをすると、ベッドから立ち上がった。
そしてバリスはアソーカのベッドまで歩いていって、ベッドの上に腰を下ろした。
アソーカの体温で温められたシーツを撫でながら、バリスはそのシーツの中にあるアソーカの体のラインを見つめていた。
アソーカはバリスの雰囲気が普段と違っている事に気付いてはいたが、それが何を意味しているのかまでは気付いていなかった。
「アソーカ」
もう一度、バリスはアソーカの名前を呼んだ。
低くて、とても落ち着いた声だった。
バリスはアソーカに体を寄せて、とても近い距離で、アソーカの青い瞳を捉えた。
少しでも動けば唇が触れ合うほどの距離だった。
それでもアソーカは、顔を反らしたり、バリスを引き離そうとはしなかった。
バリスの瞳は随分と熱っぽかった。その瞳に囚われたように、アソーカは体を動かす事すら忘れていたのだ。
そんなアソーカに対して、バリスは自分の心に、彼女を愛しく思ったり、彼女を欲する強い感情が湧きあがるのを感じていた。
それは今までバリスが目を背けていた感情だった。
ジェダイは恋愛を禁じている。だからこそ、気付いてはいけない感情だった。
バリスは、アソーカの唇を奪った。そして、アソーカの厚ぼったい唇の心地よさを楽しんだ。
アソーカは目を瞑って、バリスの為すがままに彼女の唇や舌を受け入れた。そして、互いの熱い呼吸がまるで自分の体をとろかす様に感じた。
二人の少女は、しばらくの間、初めてのキスを味わい楽しんだ。
そして唇を離して二人は見つめ合った。
アソーカは離れたバリスの唇を名残惜しそうに見つめながら、彼女の名前を呼んだ。
「バリス」
誘うような甘い声は、バリスの心を強く揺さぶった。
しかしバリスはじっと身を固くしてその場から動こうとはせず、再び二人がキスする事は無かった。
一度だけなら、冗談や過ちで済む。二度目は無いのだ。
ジェダイは恋愛を禁じている。
バリスはジェダイの掟を心の中で反復した。
「ごめんなさい」
バリスは小さな声で謝罪した。その声はとても震えていた。
アソーカはバリスの謝罪を静かに受け入れた。アソーカもまた、パダワンとしての自分の立場を弁えていたのだ。
その後、近い未来では、二人のパダワンはそのどちらもジェダイ・オーダーを去る事になる。
もしも二人のパダワンが愛し合うのを恐れずに、ジェダイの掟を破っていたとしたら、未来は少しだけ変わっていたのかもしれない。
おわり
パダワンとして様々な任務を請け負うアソーカが、こうしてゆっくりとベッドの上で体を伸ばせる機会は少ない。
それに今はマスターの目も届かなかった。
アソーカは隣のベッドの上に横たわるバリスに視線を向けた。
バリスは目を閉じていたが、アソーカの視線を感じて、くすぐったそうに身をよじった。
「眠れないの?」
バリスが目を開けてそう尋ねると、アソーカは小さく微笑んだ。
「何だかそわそわしちゃって」
そんなアソーカの返事に、バリスのほうもこのまま眠ってしまうのが勿体なく感じた。
視線を合わせた二人は、とても楽しい気分になって、くすくすと笑い合った。
二人のパダワンはベッドの上で頭だけを起こし、互いに体を向け合った。
同じ年頃の少女が眠る前に始める事といったら、どこの星に行っても変わらないだろう。
「バリスは好きな人っている?」
アソーカの質問に、バリスは冷静に答えた。
「ジェダイは恋愛を禁じてるわ」
アソーカは唇を尖らせた。彼女はバリスの生真面目な答えには満足していないのだ。
だからバリスは、アソーカが満足するような答えもちゃんと用意している。
「禁じられていても、誰かを好きになるのは自由だと思うわ」
その答えに、アソーカは何度も頷いた。
彼女が望んでいるのは、少女らしいごく普通の答えなのである。
バリスはアソーカに聞き返す。
「貴女はどうなの?誰かに恋したことはある?」
「それが、まだなの」
意外な答えにバリスは目を瞬かせて質問を重ねた。
「本当に?ただの一人も?」
アソーカは頷いた。
「ジェダイ聖堂にいると、運命の出会いなんて無いみたい」
アソーカはそう言って笑った。
アソーカは表情豊かな少女だった。笑ってみたり、時には拗ねてみたり。
笑顔を見せる事も、不満げに唇を尖らせる事も、平気でしてしまうのだった。
バリスはそんなアソーカに魅力を感じていた。
少々好戦的すぎると称されるアソーカは、自分のマスターに反抗的な口を聞いてみたりれ、素直に命令に従わない傾向があった。
生真面目で控え目なバリスとは正反対の性格だったが、二人のパダワンはとても仲が良かった。
バリスは、もしアソーカがごく普通の少女だとしたら、きっと男の子達は彼女を放ってはおかないだろうと思った。
アソーカのマスターは、彼女の事を小生意気な少女(スニップス)だと呼ぶが、そこが彼女の魅力でもあるのだ。
事実、バリスは何時もアソーカから目が離せなかった。
どんな相手にも臆すること無く立ち向かい、困難な状況においても希望を捨てなかった。
アソーカは優れたジェダイの模範からは外れていたかもしれないが、少なくともバリスはアソーカの事を信頼のおける仲間だと感じていた。
現在のジェダイ・オーダーでは、信頼できる仲間は貴重なものだった。バリスはジェダイ・オーダーの在り方に対して疑問を感じていたのだ。
アソーカは、バリスの目が潤んだり、小さく揺らぐのを静かに見つめていた。そして、バリスが自分に何か話したい事があるのだと感じていた。
「バリスは好きな人がいるの?」
直感だったが、外れてはいないだろう思って、アソーカはそう尋ねた。バリスはきっと、自分に恋の悩みを打ち明けてくれるはずだと思ったのだ。
しかし、バリスは悲しそうな目をしてアソーカから視線を反らした。
しばらくの間、二人のパダワンはベッドの上で、天井を見つめたり、部屋の中に響く空調の音を聴いたりしていた。
アソーカは隣にいるバリスの様子を伺ったが、バリスは何か考え事に耽っているようだった。
眠気がアソーカの体を包み始めた頃になって、バリスはようやく口を開いた。
「アソーカ」
名前を呼ばれたアソーカは、バリスに視線を向けた。
バリスは体を起こして、しなやかに伸びをすると、ベッドから立ち上がった。
そしてバリスはアソーカのベッドまで歩いていって、ベッドの上に腰を下ろした。
アソーカの体温で温められたシーツを撫でながら、バリスはそのシーツの中にあるアソーカの体のラインを見つめていた。
アソーカはバリスの雰囲気が普段と違っている事に気付いてはいたが、それが何を意味しているのかまでは気付いていなかった。
「アソーカ」
もう一度、バリスはアソーカの名前を呼んだ。
低くて、とても落ち着いた声だった。
バリスはアソーカに体を寄せて、とても近い距離で、アソーカの青い瞳を捉えた。
少しでも動けば唇が触れ合うほどの距離だった。
それでもアソーカは、顔を反らしたり、バリスを引き離そうとはしなかった。
バリスの瞳は随分と熱っぽかった。その瞳に囚われたように、アソーカは体を動かす事すら忘れていたのだ。
そんなアソーカに対して、バリスは自分の心に、彼女を愛しく思ったり、彼女を欲する強い感情が湧きあがるのを感じていた。
それは今までバリスが目を背けていた感情だった。
ジェダイは恋愛を禁じている。だからこそ、気付いてはいけない感情だった。
バリスは、アソーカの唇を奪った。そして、アソーカの厚ぼったい唇の心地よさを楽しんだ。
アソーカは目を瞑って、バリスの為すがままに彼女の唇や舌を受け入れた。そして、互いの熱い呼吸がまるで自分の体をとろかす様に感じた。
二人の少女は、しばらくの間、初めてのキスを味わい楽しんだ。
そして唇を離して二人は見つめ合った。
アソーカは離れたバリスの唇を名残惜しそうに見つめながら、彼女の名前を呼んだ。
「バリス」
誘うような甘い声は、バリスの心を強く揺さぶった。
しかしバリスはじっと身を固くしてその場から動こうとはせず、再び二人がキスする事は無かった。
一度だけなら、冗談や過ちで済む。二度目は無いのだ。
ジェダイは恋愛を禁じている。
バリスはジェダイの掟を心の中で反復した。
「ごめんなさい」
バリスは小さな声で謝罪した。その声はとても震えていた。
アソーカはバリスの謝罪を静かに受け入れた。アソーカもまた、パダワンとしての自分の立場を弁えていたのだ。
その後、近い未来では、二人のパダワンはそのどちらもジェダイ・オーダーを去る事になる。
もしも二人のパダワンが愛し合うのを恐れずに、ジェダイの掟を破っていたとしたら、未来は少しだけ変わっていたのかもしれない。
おわり
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