short
『君と雨宿り』
「降ってきたな、雨」
「傘持ってきたらよかったね」
本日の天気、曇りのち雨。
「降りはしないだろう」と油断して傘も持たずに買い出しに出たシグレとヒメリを嘲笑うかのように雨は降り出した。
雨脚が強く、帰るに帰れなくなった2人は近くの店の軒下で雨宿りをする。
「ごめんね、ついて来てもらちゃったせいで」
「いいって、気にしなくて」
買い出しに付き添わせた――実際にはシグレが自ら申し出た――ヒメリは申し訳なさそうにする。が、シグレとしては2人きりになれて幸いなくらいで、なかなかとないこの時間をできれば長く満喫していたいとも思った。
「早く雨上がらないかな」
「え」
そんなシグレの思いとは裏腹に、ヒメリがそう言葉をこぼす。
まさかとは思いつつ、一瞬、自分と一緒にいるのが嫌なのかと思い、シグレは雨雲を見つめるヒメリの様子をうかがうようちらりと目を向けた。
「みんな待ってるから、早く帰らなきゃ」
そう言ってヒメリは買ってきた昼食の材料へと目を向ける。
「……そうだな」
自分といるのが嫌だったわけじゃないとわかり安心したが、他のやつらのことを考えてるのかと思うとシグレは少し微妙な気持ちになる。
このまま、雨が上がらなかったらいいのに。
(そしたら、この時間をずっとひとり占めできる)
「降ってきたな、雨」
「傘持ってきたらよかったね」
本日の天気、曇りのち雨。
「降りはしないだろう」と油断して傘も持たずに買い出しに出たシグレとヒメリを嘲笑うかのように雨は降り出した。
雨脚が強く、帰るに帰れなくなった2人は近くの店の軒下で雨宿りをする。
「ごめんね、ついて来てもらちゃったせいで」
「いいって、気にしなくて」
買い出しに付き添わせた――実際にはシグレが自ら申し出た――ヒメリは申し訳なさそうにする。が、シグレとしては2人きりになれて幸いなくらいで、なかなかとないこの時間をできれば長く満喫していたいとも思った。
「早く雨上がらないかな」
「え」
そんなシグレの思いとは裏腹に、ヒメリがそう言葉をこぼす。
まさかとは思いつつ、一瞬、自分と一緒にいるのが嫌なのかと思い、シグレは雨雲を見つめるヒメリの様子をうかがうようちらりと目を向けた。
「みんな待ってるから、早く帰らなきゃ」
そう言ってヒメリは買ってきた昼食の材料へと目を向ける。
「……そうだな」
自分といるのが嫌だったわけじゃないとわかり安心したが、他のやつらのことを考えてるのかと思うとシグレは少し微妙な気持ちになる。
このまま、雨が上がらなかったらいいのに。
(そしたら、この時間をずっとひとり占めできる)