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2. trigger
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翌朝。
予定通り早く起きれた。
普段は全くしないオシャレも雑誌(最近流行りのポケモンアイドルの子が表紙を飾っている)を見て研究し、なんとかそれらしくなった。
胸元に花の刺繍が入った白地のワンピースの真ん中を茶系のベルトで締め、髪もハーフアップでややまとめる。
「チャモ、どう?」
『……』
ベッドの端にあぐらをかいている、相棒のバシャーモに尋ねる。案の定、興味のなさそうな反応が返ってきた。
「あのねぇ、こんな格好滅多にしないんだから、目に焼き付けておかなくていいの?」
『……』
別に、という目顔で返してきたあと、ゴロン、と私のベッドに横になってしまった。
まったく、感想を聞こうとボールから出してみたらこれだ。他の子たちに聞くべきだった。
そうこうしているうちに時間が無くなってきた。バシャーモをボールに収め、コンパクトなショルダーバックに入れる。後の子たちと、その他必要なものは昨日のうちにリュックから移し替えておいた。
ちなみに、バシャーモはホウエン地方にいた頃、特に幼少期からのパートナーであり、メグの手持ちの中では最も古い仲間だ。
性別は♂、ニックネームはチャモ。プライドが高く、なんとも扱いにくい性格なのだが、実力は本物だ。
朝ごはんは着替える前に食べたので、あとは家を出るだけだった。リビングを通ると、母が新聞を机に広げながら、テレビを見ていた。昨日の例の事件のことが引き続き報道されているようだが、特に進展はない様子だ。
「あら、似合ってるじゃない」
「ほんと?チャモには微妙な反応されたんだけど」
「しょうがないでしょ。あの子たち普段服着てないし、聞かれても困るんじゃないの」
そういう問題だろうか。
じゃ、いってきまーす、と言いながら玄関に向かい、昨日のうちに用意しておいた靴を履く。
硬めのデニムパンプスを足にはめ込み、すこしならす。一応フットカバーは履いているが、新品ゆえに靴ずれは覚悟した方がよさそうだ。今日だけ我慢すればいい。
いってらっしゃい、と言う母の声は、長い旅立ちの時と変わらなかった。
『ここは トバリシティ いしに かこまれた くうかん』
この空間、いや、街が、メグの引っ越して来たところだ。初めて来た時は、怪しい倉庫に怪しいビル、怪しい隕石がひどく気になった。しかし、今はもう廃墟と化していて、立ち入り禁止となっている。以前は、宗教まがいの組織団のアジトだったらしい。悪名高い組織だったが、いつの日からか、街で組織の者を誰一人見かけなくなったという。その経緯の詳細は明らかにされていないそうで、メグもあまり興味がなかった。
その組織の本拠地なんてところを引っ越し先にした理由は、母のこの一言に尽きた。
『“デパート”がある街に住んでみたいのよね』
父は事前に組織や治安のことも調べており、この街を避けたがっていたが、母には逆らえなかった。もともと田舎育ちの母は、ホウエン地方を代表する百貨店、『ミナモデパート』を好み、よく通っていた。それで、新居を構えるなら、憧れの“デパート”がある街が条件だったのだから、選択肢は1つだった。
人混みを歩きながら、メグは例のデパートに向かっていた。
徒歩数分で着く。
お店に入ると、デパート特有のざわざわとした音と優雅なBGMが入り混じっていて、久々なせいかなんとなく懐かしい感じがした。
「いらっしゃいませ。なにかお探しでしょうか?」
お店に入ると、青い制服を着たお姉さんが優しく迎えてくれる。母は常連で顔も覚えられているらしいが、メグはたまにしかこの街に帰らないので、そうでもない。
「あの、お菓子の詰め合わせとかってありますか?」
「でしたら、こちらに……」
さすがデパートだけあって、品揃えは豊富だ。地下ではときどき物産展もやってるらしい。
ちなみに、今から買うのはシロナへの手土産である。チャンピオン戦の後、その記録や手続きなど、色々手配してもらったお礼だ。甘いもの、特にアイスが好きらしいが、さすがに溶けてしまうので買えない。パッと目に付いたのは、カラフルなマカロンやマドレーヌなど、焼き菓子の詰め合わせだった。ポケモンをかたどったものも混ざっていて、すごく可愛い。ちょっと値段は張るが、せっかくの機会だ。
「じゃあ、コレください」
「ありがとうございます。2000円になります」
お金を支払い、商品を受け取ろうとした時だった。
「あ、メグじゃん!」
「え」
不意に声をかけられ振り向くと、カジュアルなTシャツに七分丈のパンツ、派手な蛍光色のスニーカーといった、スポーティな格好をした男がいた。
「ショウマ…!」
「なに、買い物?」
「うん、まぁ…」
この男はショウマ(18)。この街に住んでおり、こう見えて、なんとこのトバリデパートを経営するオオバグループの御曹司である。こっちに引越してきてすぐ、彼がムクバードたちに襲われていた所を助けたのがきっかけで知り合った(助けたといっても、適当に追い払っただけ)。恐らく縄張りに踏み込んだのだろうが、どうやったらあそこまで集中的に襲われるのか、不思議だ。まぁこの男のことは、別段特記することも少なく、今は時間がないので追々話せばいい。
「てか今日の格好いつもと全然違くね?デートでもすんの?」
「うーん、まぁそんな感じ?」
「は、どゆこと?お前、彼氏いたの?ポケモンバカで男っ気ねーお前が??」
「失礼ね!冗談に決まってるでしょ。…女の子の友達と行くの」
「ふーん。でもなんからしくねーよな、その格好。うーん、やっぱ男を意識してるとしか…」
「あ、すみません、渡す用に袋もう1つ入れてもらえたら…」
「オイ無視んな」
話し出すとうるさいし面倒なので、無視して買い物を済ませる。それに、会う予定のシロナのこと、ましてや自分が殿堂入りしたことを話すのは何となくやめておいた。たしかに、いつもは “The ポケモントレーナー”の服装でパンツスタイルだし、今日のような女の子らしい格好は見慣れないのだろう。それは十分わかるが、だとしても、失礼極まりない奴である。それとも、今朝のチャモの反応からして、この格好は男ウケが良くないのだろうか。
お店のお姉さんがちらちらとショウマを気にしながら、商品をこちらに差し出した。メグはそれを受け取りつつ、ふと時間が気になった。腕の時計は約束の30分前を指している(いつもはポケモンウォッチだが今日の服装にそぐわなかった)。ミオシティまでは手持ちの子に乗ってぶっ飛ばしてもらう予定だが、さすがにそろそろ出ないといけない。
「じゃ、私そろそろいくね」
「ったく、じゃーな」
その時だった。
ドドォーン!!!!!
「っ!?」
「うお!?」
上階から爆発音がした。一瞬、地が揺れ、メグとショウマはバランスを崩すが、倒れずに持ちこたえた。
一瞬にしてデパート内は悲鳴や焦りの声で埋め尽くされ、慌てふためく人々の波が渦巻き始める。
「どうした、何が起きた!?」
「爆発した!?」
「やだーこわいよ!!」
「外に避難しろ!!」
パニックの人々を鎮めようと店員たちが呼びかけたりしているが、上階での出来事が不明なため、実際どうしたらいいかわからない様子だ。この非常時に安心するためか、多くの者が手持ちのポケモンを出し始めた。
予定通り早く起きれた。
普段は全くしないオシャレも雑誌(最近流行りのポケモンアイドルの子が表紙を飾っている)を見て研究し、なんとかそれらしくなった。
胸元に花の刺繍が入った白地のワンピースの真ん中を茶系のベルトで締め、髪もハーフアップでややまとめる。
「チャモ、どう?」
『……』
ベッドの端にあぐらをかいている、相棒のバシャーモに尋ねる。案の定、興味のなさそうな反応が返ってきた。
「あのねぇ、こんな格好滅多にしないんだから、目に焼き付けておかなくていいの?」
『……』
別に、という目顔で返してきたあと、ゴロン、と私のベッドに横になってしまった。
まったく、感想を聞こうとボールから出してみたらこれだ。他の子たちに聞くべきだった。
そうこうしているうちに時間が無くなってきた。バシャーモをボールに収め、コンパクトなショルダーバックに入れる。後の子たちと、その他必要なものは昨日のうちにリュックから移し替えておいた。
ちなみに、バシャーモはホウエン地方にいた頃、特に幼少期からのパートナーであり、メグの手持ちの中では最も古い仲間だ。
性別は♂、ニックネームはチャモ。プライドが高く、なんとも扱いにくい性格なのだが、実力は本物だ。
朝ごはんは着替える前に食べたので、あとは家を出るだけだった。リビングを通ると、母が新聞を机に広げながら、テレビを見ていた。昨日の例の事件のことが引き続き報道されているようだが、特に進展はない様子だ。
「あら、似合ってるじゃない」
「ほんと?チャモには微妙な反応されたんだけど」
「しょうがないでしょ。あの子たち普段服着てないし、聞かれても困るんじゃないの」
そういう問題だろうか。
じゃ、いってきまーす、と言いながら玄関に向かい、昨日のうちに用意しておいた靴を履く。
硬めのデニムパンプスを足にはめ込み、すこしならす。一応フットカバーは履いているが、新品ゆえに靴ずれは覚悟した方がよさそうだ。今日だけ我慢すればいい。
いってらっしゃい、と言う母の声は、長い旅立ちの時と変わらなかった。
『ここは トバリシティ いしに かこまれた くうかん』
この空間、いや、街が、メグの引っ越して来たところだ。初めて来た時は、怪しい倉庫に怪しいビル、怪しい隕石がひどく気になった。しかし、今はもう廃墟と化していて、立ち入り禁止となっている。以前は、宗教まがいの組織団のアジトだったらしい。悪名高い組織だったが、いつの日からか、街で組織の者を誰一人見かけなくなったという。その経緯の詳細は明らかにされていないそうで、メグもあまり興味がなかった。
その組織の本拠地なんてところを引っ越し先にした理由は、母のこの一言に尽きた。
『“デパート”がある街に住んでみたいのよね』
父は事前に組織や治安のことも調べており、この街を避けたがっていたが、母には逆らえなかった。もともと田舎育ちの母は、ホウエン地方を代表する百貨店、『ミナモデパート』を好み、よく通っていた。それで、新居を構えるなら、憧れの“デパート”がある街が条件だったのだから、選択肢は1つだった。
人混みを歩きながら、メグは例のデパートに向かっていた。
徒歩数分で着く。
お店に入ると、デパート特有のざわざわとした音と優雅なBGMが入り混じっていて、久々なせいかなんとなく懐かしい感じがした。
「いらっしゃいませ。なにかお探しでしょうか?」
お店に入ると、青い制服を着たお姉さんが優しく迎えてくれる。母は常連で顔も覚えられているらしいが、メグはたまにしかこの街に帰らないので、そうでもない。
「あの、お菓子の詰め合わせとかってありますか?」
「でしたら、こちらに……」
さすがデパートだけあって、品揃えは豊富だ。地下ではときどき物産展もやってるらしい。
ちなみに、今から買うのはシロナへの手土産である。チャンピオン戦の後、その記録や手続きなど、色々手配してもらったお礼だ。甘いもの、特にアイスが好きらしいが、さすがに溶けてしまうので買えない。パッと目に付いたのは、カラフルなマカロンやマドレーヌなど、焼き菓子の詰め合わせだった。ポケモンをかたどったものも混ざっていて、すごく可愛い。ちょっと値段は張るが、せっかくの機会だ。
「じゃあ、コレください」
「ありがとうございます。2000円になります」
お金を支払い、商品を受け取ろうとした時だった。
「あ、メグじゃん!」
「え」
不意に声をかけられ振り向くと、カジュアルなTシャツに七分丈のパンツ、派手な蛍光色のスニーカーといった、スポーティな格好をした男がいた。
「ショウマ…!」
「なに、買い物?」
「うん、まぁ…」
この男はショウマ(18)。この街に住んでおり、こう見えて、なんとこのトバリデパートを経営するオオバグループの御曹司である。こっちに引越してきてすぐ、彼がムクバードたちに襲われていた所を助けたのがきっかけで知り合った(助けたといっても、適当に追い払っただけ)。恐らく縄張りに踏み込んだのだろうが、どうやったらあそこまで集中的に襲われるのか、不思議だ。まぁこの男のことは、別段特記することも少なく、今は時間がないので追々話せばいい。
「てか今日の格好いつもと全然違くね?デートでもすんの?」
「うーん、まぁそんな感じ?」
「は、どゆこと?お前、彼氏いたの?ポケモンバカで男っ気ねーお前が??」
「失礼ね!冗談に決まってるでしょ。…女の子の友達と行くの」
「ふーん。でもなんからしくねーよな、その格好。うーん、やっぱ男を意識してるとしか…」
「あ、すみません、渡す用に袋もう1つ入れてもらえたら…」
「オイ無視んな」
話し出すとうるさいし面倒なので、無視して買い物を済ませる。それに、会う予定のシロナのこと、ましてや自分が殿堂入りしたことを話すのは何となくやめておいた。たしかに、いつもは “The ポケモントレーナー”の服装でパンツスタイルだし、今日のような女の子らしい格好は見慣れないのだろう。それは十分わかるが、だとしても、失礼極まりない奴である。それとも、今朝のチャモの反応からして、この格好は男ウケが良くないのだろうか。
お店のお姉さんがちらちらとショウマを気にしながら、商品をこちらに差し出した。メグはそれを受け取りつつ、ふと時間が気になった。腕の時計は約束の30分前を指している(いつもはポケモンウォッチだが今日の服装にそぐわなかった)。ミオシティまでは手持ちの子に乗ってぶっ飛ばしてもらう予定だが、さすがにそろそろ出ないといけない。
「じゃ、私そろそろいくね」
「ったく、じゃーな」
その時だった。
ドドォーン!!!!!
「っ!?」
「うお!?」
上階から爆発音がした。一瞬、地が揺れ、メグとショウマはバランスを崩すが、倒れずに持ちこたえた。
一瞬にしてデパート内は悲鳴や焦りの声で埋め尽くされ、慌てふためく人々の波が渦巻き始める。
「どうした、何が起きた!?」
「爆発した!?」
「やだーこわいよ!!」
「外に避難しろ!!」
パニックの人々を鎮めようと店員たちが呼びかけたりしているが、上階での出来事が不明なため、実際どうしたらいいかわからない様子だ。この非常時に安心するためか、多くの者が手持ちのポケモンを出し始めた。