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side story 1
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「んー……どうしようかなぁホント」
真昼間だというのに、陰気な空気が立ち込める森の中、ひっそりと佇む館がある。
苦手意識と好奇心の両方を天秤にかけながら、アタシはよくここに通っている。
通ってるって言っても、館の周囲を少しウロウロして帰るだけなんだけどね。
で、アタシは自然が好きだからこの森は大好きなんだけど、虫ポケモンの住処になっちゃってて、草ポケモンがほとんどいないのがちょっと不満だったりもする。
……とにかく、この街を任されてるアタシが、この森のことを知らないなんておかしいよね。胸張って観光案内できるくらいにならなくちゃ。……それが本業かどうかはまた別だけど。
館の入り口に立つと、やはり恐怖心が押し寄せる。
1人では心細すぎるので、1番頼れる仲間を連れて行くことにした。
「あー、もうホントかわいいっ♡オトモよろしくね♡♡」
ボールから出てきたところをすかさず抱き締めると、彼女が嫌そうに、花束のような手で押し返してくる。
その美しい手の中にある棘がブスブスとアタシの顔に食い込んでも、その棘に猛毒があっても、愛があれば気にならないのよね。
荒れ果てた館の壁にはツタが生い茂り、塗装も剥げているが、よく見ると、建物自体は豪華な造りで、元々はかなり立派なものだったのかもしれない。
意を決して、扉の前に立ち、錆びついた取っ手に手をかけ、ゆっくりと引いた。
鍵はかかっていなかった。
ギギギ……と嫌な音がして、ドアが開く。
冷たい空気が中から流れてきて、思わず身震いする。外からの光が全く入らないらしく、真っ暗で何も見えない。明かりを持ってくるべきだった。
てか、もうこれ完全におばけフラグだし。
そう思っていると、お供のロズレイドがアタシの前に立ち、花束の手を掲げてくれた。その手にはポワ、と光が灯る。
「ズバリ、"フラッシュ"の応用…!さすがね!!」
ロズレイドは少し得意そうな顔をした後、くるりと前を向いて歩き始める。そういうクールなところも愛らしい。
ぼんやりと明るくなった館の中は、荒廃していたが、思っていたよりも内装は保たれていた。洋風の壁掛けや敷物は、かつての主の好みが強すぎて、よけい不気味な感じだ。てかぜんぜんアタシの好みじゃないかな。
入ってすぐ両側に階段があって、二階に上がれるようになっている。とりあえず、一階から探索してみようと歩き始めた途端、
ガタガタッ
二階の方から物音がした。
ポケモンだろうか。
「え……なに、今の音」
泣きそうな顔でロズレイドの方を見ると、彼女も不安そうな顔をしているが、気になっているみたいだ。
怖いけど、確かめに行くしかない。ここに住みつくポケモンがいるなら、調査しておくに越したことはない。
軋む階段を登っていくと、ふと、背筋に寒気を感じた。
恐る恐る振り返るが、何もいない。
余計に怖くなったので、前を歩くロズレイドに身を寄せ、ひたすら階段を登った。
なんとか階段を登り切り、先へ進むと部屋があった。それも5つ。これを今日で全部調べ上げるなど、心臓が持ちそうになかった。しかも、まだ一階すら見ていない。
「さっきの物音、どの部屋からだったのかな……」
耳を澄ませても、何も聞こえてこない。
しん、とした静けさに恐怖感が増し、ふと見ると、ロズレイドは何かに引かれるかように一番左の部屋に向かっている。慌てて光の源を追いかけ、部屋に入ると、そこは書斎のような場所だった。
ロズレイドの後ろ姿が見え、安心して声をかける。
「ちょっと、いきなりどうし……ひっ」
思わず息を飲んだ。
部屋の奥に、何かいる。
ぼんやりとした明かりの向こうで、黒い影が揺らめいた。
光に照らされ、その両目が怪しく光る。
「や、やだ…なんなのっ……!」
ポケモンだろうがおばけだろうが、判断する余裕はなかった。
とりあえず、恐怖をかき消すように叫ぶ。
「ロズレイドッ!マジカルリーフ!!」
『ロロッ!!』
ズバババ、と勢いよく技が発動する。
"フラッシュ"の影響で葉がキラキラと光り、まるで大量の光弾が放たれたようにも見える。
「や、やった……?」
こわごわと技の出た先を見ると、さっきまでの黒い影はなく、キラキラとした葉が本棚らしき物に無数に突き刺さっている。
さっきのは気のせいだったのかな。
実は自分の影だったりして。
うんうん、きっとそうよね。
そう思った途端、床から、黒い影がむくりと起き上がる。
「ひぃっ!?」
それはゆっくりとこちらに近づいてきて、
何かを発した。
『ーーー?』
「ぎやあああああああぁぁーー!!!」
真昼間だというのに、陰気な空気が立ち込める森の中、ひっそりと佇む館がある。
苦手意識と好奇心の両方を天秤にかけながら、アタシはよくここに通っている。
通ってるって言っても、館の周囲を少しウロウロして帰るだけなんだけどね。
で、アタシは自然が好きだからこの森は大好きなんだけど、虫ポケモンの住処になっちゃってて、草ポケモンがほとんどいないのがちょっと不満だったりもする。
……とにかく、この街を任されてるアタシが、この森のことを知らないなんておかしいよね。胸張って観光案内できるくらいにならなくちゃ。……それが本業かどうかはまた別だけど。
館の入り口に立つと、やはり恐怖心が押し寄せる。
1人では心細すぎるので、1番頼れる仲間を連れて行くことにした。
「あー、もうホントかわいいっ♡オトモよろしくね♡♡」
ボールから出てきたところをすかさず抱き締めると、彼女が嫌そうに、花束のような手で押し返してくる。
その美しい手の中にある棘がブスブスとアタシの顔に食い込んでも、その棘に猛毒があっても、愛があれば気にならないのよね。
荒れ果てた館の壁にはツタが生い茂り、塗装も剥げているが、よく見ると、建物自体は豪華な造りで、元々はかなり立派なものだったのかもしれない。
意を決して、扉の前に立ち、錆びついた取っ手に手をかけ、ゆっくりと引いた。
鍵はかかっていなかった。
ギギギ……と嫌な音がして、ドアが開く。
冷たい空気が中から流れてきて、思わず身震いする。外からの光が全く入らないらしく、真っ暗で何も見えない。明かりを持ってくるべきだった。
てか、もうこれ完全におばけフラグだし。
そう思っていると、お供のロズレイドがアタシの前に立ち、花束の手を掲げてくれた。その手にはポワ、と光が灯る。
「ズバリ、"フラッシュ"の応用…!さすがね!!」
ロズレイドは少し得意そうな顔をした後、くるりと前を向いて歩き始める。そういうクールなところも愛らしい。
ぼんやりと明るくなった館の中は、荒廃していたが、思っていたよりも内装は保たれていた。洋風の壁掛けや敷物は、かつての主の好みが強すぎて、よけい不気味な感じだ。てかぜんぜんアタシの好みじゃないかな。
入ってすぐ両側に階段があって、二階に上がれるようになっている。とりあえず、一階から探索してみようと歩き始めた途端、
ガタガタッ
二階の方から物音がした。
ポケモンだろうか。
「え……なに、今の音」
泣きそうな顔でロズレイドの方を見ると、彼女も不安そうな顔をしているが、気になっているみたいだ。
怖いけど、確かめに行くしかない。ここに住みつくポケモンがいるなら、調査しておくに越したことはない。
軋む階段を登っていくと、ふと、背筋に寒気を感じた。
恐る恐る振り返るが、何もいない。
余計に怖くなったので、前を歩くロズレイドに身を寄せ、ひたすら階段を登った。
なんとか階段を登り切り、先へ進むと部屋があった。それも5つ。これを今日で全部調べ上げるなど、心臓が持ちそうになかった。しかも、まだ一階すら見ていない。
「さっきの物音、どの部屋からだったのかな……」
耳を澄ませても、何も聞こえてこない。
しん、とした静けさに恐怖感が増し、ふと見ると、ロズレイドは何かに引かれるかように一番左の部屋に向かっている。慌てて光の源を追いかけ、部屋に入ると、そこは書斎のような場所だった。
ロズレイドの後ろ姿が見え、安心して声をかける。
「ちょっと、いきなりどうし……ひっ」
思わず息を飲んだ。
部屋の奥に、何かいる。
ぼんやりとした明かりの向こうで、黒い影が揺らめいた。
光に照らされ、その両目が怪しく光る。
「や、やだ…なんなのっ……!」
ポケモンだろうがおばけだろうが、判断する余裕はなかった。
とりあえず、恐怖をかき消すように叫ぶ。
「ロズレイドッ!マジカルリーフ!!」
『ロロッ!!』
ズバババ、と勢いよく技が発動する。
"フラッシュ"の影響で葉がキラキラと光り、まるで大量の光弾が放たれたようにも見える。
「や、やった……?」
こわごわと技の出た先を見ると、さっきまでの黒い影はなく、キラキラとした葉が本棚らしき物に無数に突き刺さっている。
さっきのは気のせいだったのかな。
実は自分の影だったりして。
うんうん、きっとそうよね。
そう思った途端、床から、黒い影がむくりと起き上がる。
「ひぃっ!?」
それはゆっくりとこちらに近づいてきて、
何かを発した。
『ーーー?』
「ぎやあああああああぁぁーー!!!」