ほしいものひとつだけ 初出:2018年6月15日
「グッモーニン、国木田君!」
「っ!?」
突然、大声とともに上がけをはがれて俺は飛び起きた。
混乱のまま忙しなく首を巡らすと、薄暗い部屋を背景に太宰の姿がある。
手には上がけ。もしかしなくても凶行の犯人はこいつしかいない。
「……なにが『グッドモーニング』だ! まだ夜中ではないか!」
眼鏡を手繰ってかけ、壁の時計を見上げると三時だ。十五時ではない。午前三時。
常識外れの時間に加えて乱暴に起こされて、俺の機嫌はすこぶる悪い。
目の前の阿呆を睨みつけるが、当の太宰はまるで気にした様子もなく満面の笑みだった。
「起床の挨拶は『おはよう』だと思ってね。だから、おはよう!」
「意味が分からん! 俺の睡眠の邪魔をするな!」
「えぇーだって君が言ったのだよ?」
「……は?」
太宰が口を尖らせる。
まるで「嘘つき」と言わんばかりのそれに、俺はますます険を鋭くするはめになった。
昨日、布団に入る前に念入りに確認した今日の予定は零時就寝七時起床。こんな時間に叩き起こされる予定はない。
「今日は私につき合ってくれるって言ってたじゃないか! もうとっくに『今日』だよ!」
「……あ。いや、お前。それは」
自信をもって宣言されてようやく思い出す。
それなら心当たりがあった。
数日前のことだ。
そういえばもうじき誕生日だな、と太宰になに気なく話を振ったのが始まりだった。
俺も特に他意があったわけではない。
社員全員の略歴くらいは頭に入っていたから、ふと暦が目に入ったときに思い出しただけだ。
「あぁそうだねぇ。そういえば」
太宰は淡々としたものだ。
もうそんなものを喜ぶ歳ではないのかもしれないが、この男のこうした態度はいつも意外に思う。
入社から数年、普段の様子を鑑みればしつこく贈り物をねだられてもおかしくないのに、その実そんな風にされたことは一度もなかった。
だからいつも俺から言うことになる。
本当に他意はない。ないぞ。
「同僚のよしみだ。ほしいものはあるか?」
「おや、嬉しい。今年も祝ってくれるのかい」
「と言っても毎年、酒を奢るあたりに落ち着いているが。お前は見かけによらず物欲が薄いからな」
「見かけによらずってなにさ」
ふふ、と笑った太宰が、そうだなあと思案げにする。
と、太宰の隣で会話を聞きつけた敦が丸めた目を太宰に向けた。
「太宰さん、もうすぐ誕生日なんですか?」
「うん。六月十九日ね」
「そうなんですね! じゃあ僕もなにか……」
「いいよぉ。そんな気を遣わなくても」
「いいえ! この間、僕の誕生日にはお米もらっちゃいましたし!」
「あれはたまたま福引で当たったんだってば。ちょうど誕生日だったなんてタイミングがよかったねぇ」
ひらひらと手を振ってみせる太宰に、敦が拳を握って力説している。
よほど嬉しかったらしく、目をきらきらさせているのが少し面白かった。
そうなのだ。
この男は自分の誕生日には頓着しないくせに、周りの者にはそつなく贈り物をしていたりする。
おそらく敦の誕生日にしても福引のくだりは嘘だろう。
呆れ半分、感心半分で目の前のやり取りを見ていると、こちらの視線に気づいた太宰がにこりと笑った。
「じゃあ国木田君、考えておくね。物はいらないから、とりあえず君の時間を少しおくれよ」
「分かった。できる限りつき合ってやる」
どうせ気に入りの飲み屋で好きなだけ飲ませろとかそういったことになるのだと思っていた。
「……言った。言ったが『できる限り』だと」
「思い出したかい? だからちょうだいよ。君の『手帳にない時間』をね」
「そうきたか……」
太宰はにこにこと笑っている。
どうしてこいつはこうも俺が予想もできない事態を引き起こすことができるんだ。
頭が痛くなってきた。
「さ、起きて国木田君! 今日という日は二十四時間しかないのに、もう三時間も経っているのだよ! もう一分一秒たりとも無駄にはできない!」
「こんな時間に騒ぐな。というかお前は俺をどれだけ引っぱり回すつもりだ……」
なんなんだ今年は。
テンション高く急き立てられて、俺は仕方なく立ち上がった。
この事態を想定できずに安易に約束をしてしまった俺の不覚でもある。
身支度をしつつ、つい大きな欠伸をしてしまう。
「ふふーん、さては国木田君、手帳どおりに零時に寝たね? 昨日、二十時くらいに寝るのがおすすめだよって言ってあげたのにぃ」
「……言っていたな」
やれやれとこれ見よがしに肩を竦めた太宰に、深い深いため息が出る。
そのときは「阿呆か」の一言で終わらせてしまった。
もしかするとこいつなりの優しさだったかもしれないが、つまりは端から真夜中に叩き起こすつもりだったということでもある。
「ま、三時間も寝れば十分だよね。出かけよう」
「お前と一緒にするな。睡眠というより仮眠じゃないか……」
冷水で顔を洗えば多少頭もしゃっきりした。
洗面所から出ると、太宰がどこかわくわくした様子で待っていて、小さく心臓が跳ねる。
時間や状況には腹が立つが、こうして誕生日になった途端、ほかの誰でもなく俺を誘い出しにきたことに嬉しさを感じないわけではない。
もうずいぶんと前から、俺は目の前の男に対して口にできない気持ちを抱えている。
太宰に連れられて夜の町に出た。
「どこへ行くんだ?」
「んー特には。夜の散歩も楽しいものだよ」
強引に連れ出したくせに行き先を決めていないらしい。
俺は癖になりつつあるため息をついて、少し先を行く太宰の背中を眺めた。
いつも着ている砂色の外套をなびかせて軽やかに歩いていく。
そうした姿は昼間目にするよりもずっと自然で、瞬く間に夜気に馴染んで溶けていってしまいそうに見えた。
「……お前は夜が似合うな」
ぽつりと思わず零れた言葉に太宰が振り返る。
一瞬丸くなった目が、すぐに笑みに細められた。
「それはありがとう」
「なぜ礼を言う」
「似合う、は褒め言葉でしょう? 国木田君こそどうして『なぜ』と訊くの」
「それは……」
俺は言葉を濁してしまう。
俺自身、褒めたのか分からなかったからだ。
ただ漠然とそう思っただけで。
こちらを不思議そうに覗き込んでくる太宰の表情はすでにいつもどおりだったが、先ほどの笑みはなんだか寂しそうに見えた。
だから礼の言葉を口にするのはおかしいと思ったのだ。
軽率なことを言ったかもしれない。今さらながらに後悔が滲んでくる。
「……そうだ。あそこに行こう。そうしよう」
「ま、待て!」
ふいに太宰がにこりとしてまた歩き出した。
ひょいひょいと先へ行く背中がすぐに闇に紛れそうになるのに俺は慌てて追いかける。
どうやら海の方に向かっているようだった。
「……って、なぜ墓場なんだ……!」
やがて辿りついた場所に俺は思わず押し殺した叫びをあげた。
そこは海を望む位置に設けられた小ぢんまりとした墓所で、俺も知っている場所だ。何度も訪れたことがある。
だがそれはすべて昼間のできごとであって、夜に来たことは一度もなかったというのに。
常ならば陽に照らされて白く輝いているはずの墓石も、夜の闇に沈むとなにやらおどろおどろしく見える。植えられた草花や木の影が濃く浮き上がっていて、意味もなく不安な気持ちになった。
なにかが億単位で潜んでいそうだ。
「ふふ。夜といえば肝試しでしょう? あ、こういうの怖い人だっけ」
「こ、怖くなどない! 莫迦か貴様は!」
「そうかいそうかい」
太宰は含み笑いをしつつ軽快な足取りで墓所に続く階段を下りていく。
嘘だろう。
そのリラックスしきった、なんの気負いもない様子に焦りつつ、俺はとにかく離されまいと後に続いた。
本当に肝試しのつもりなのか、太宰は墓の間を一筆書きでもするように満遍なく歩いていく。俺は必死に追い、太宰の背中を凝視することしかできない。
「国木田君」
「な、なんだ」
唐突に呼ばれて飛び上がりそうになった。
努めて冷静を心がけながら応えると、なぜか手が差し出される。
「そんなに怖いなら手を繋いであげようか」
「こっここ怖くないと言っているだろう! いらんわ!」
「まぁまぁ遠慮しないで。誰も見てないし。年上の言うことは聞くべきだよ~」
「今だけ、たった数ヵ月のことだろうが! あ、こら! 待て……!」
よく分からない理屈で強引に手を攫われる。
すぐに振り解こうとしたが、思いのほか強く握り込まれてできなかった。
よもやこいつも怖かったのだろうかと思うが、細い手は震えてもいないし手汗もかいていない。
……俺は手汗、大丈夫だろうか。
「太宰。楽しいか?」
「まぁそこそこ?」
近くなった太宰の顔を見下ろす。
掌に直接感じる太宰の体温に、心臓がさっきまでと違う理由で早鐘を打ちはじめていた。体の芯が熱を持つ。
こうして距離が縮まったことになんとなく安心するし、繋いだ手が別の感情を連れてくるのでずいぶんと恐怖は薄れた。まぁもともと怖くはなかったがな。
太宰はぷらぷらと繋いだ手を揺らしながら、鼻歌でも歌いそうな足取りで墓場を進む。
と、太宰の肩にぶつかった。
「あ、すまん」
「ううん」
慌てて体を引くと、にこりとした太宰が先に進んでいく。
今、一瞬立ち止まったのか?
はたと気づいて振り返る。
俺は手を引かれるまま、惰性で足を動かしていただけだ。太宰が同じペースで進んでいればぶつかるはずはない。
「……知り合いの墓か?」
「ん? いいや?」
敷地の端にひっそりと佇む墓石は、ほかのものとなにも変わらないように見えた。
一瞬で読み取れたのはSという頭文字だけだ。
少し前を行く太宰の表情は見えない。
「さ、次はどこに行こうかな~」
「……まさか朝まで歩く気じゃないだろうな」
結局、墓場を一周してしまった。
階段を上る。やっと墓所の敷地内から出られたことに俺は息をついた。
太宰がそんな俺をにやにやと見上げている。
「まさか。私が疲れてしまうじゃないか」
疲れるのは嫌だよ。
俺を散々振り回しておいて、自分勝手なことを言った太宰がまた歩き出した。
どうしてか手は繋がれたままだ。俺もなんとなく言い出せないまま進む。
「きれいだねぇ、夜景」
「あぁ」
次は公園だった。
街の灯りが見渡せる位置に置かれたベンチに並んで、それぞれ缶珈琲を啜る。
俺は無糖、太宰はミルクと砂糖入りのもの。ここに入るときにねだられて贖った。
繋いだ手はさすがに座るときに離れてしまっている。
「ここから探偵社(うち)見えるかなぁ」
「方角的に反対だろう」
「だねー。知ってた」
俺たちは時折ぽつぽつと話をしては景色を眺める。
昼間は勤め人や観光客であふれ、忙しない印象を受ける街はすっかり静まり返っていた。
それでも灯りは消されることなく横浜を彩っている。
あまりに静かで、世界に俺たち二人だけのような錯覚すらあった。
それでもかまわない、とぼんやり思う。
「……ふぁ」
欠伸を耐えきれない。
叩き起こされてからようやく訪れた穏やかな時間に、忘れかけていた眠気が忍び寄ってきていた。
そのせいで、霞のかかった頭はおかしなことを考えてしまう。
この時間が永遠に続けばいいのに、などと。
「眠そうだねぇ」
太宰はくすくす笑う。
その視線は街に向けられたまま、ベンチにだらしなく背を預けてちびちびと珈琲を舐めている。
珍しく表情は薄く、なにを考えているのか窺い知ることはできなかった。
「……さて、じゃあそろそろ帰ろうか」
無言でいることしばし、唐突に太宰が身を起こす。勢いよく立ち上がると、くるりとこちらを向いた。
「あんまり国木田君を振り回すとかわいそうだしね」
「自覚があるならもう少し自重をしろ……」
横浜の夜景を背に笑う太宰にため息しかつけない。
ようやく眠れそうなことにほっとしつつ、この時間の終了を残念がる気持ちを残りの珈琲と一緒に飲み下した。
「そうだ、最後にもう一つもらってもいい?」
「あぁ? もうなんでも持っていけ。俺がやれるものならな」
まだあるのか。
首を傾げてこちらを伺う太宰に、俺はやけくそ気味に頷いてみせる。
ここまできたら最後までつき合ってやるしかない。なにしろ誕生日だしな。
「ありがと」
太宰が軽い足取りで近づいてくる。
肩に手がかかった。
「ん?」
ちゅ、と唇に柔らかいものが触れて目を瞬かせる。
こいつ、なにをした。いま、おれに。
あまりに驚いて言葉が出てこない。
触れるだけで離れていった唇を凝視してしまう。
「ふふ、ごめんね。初めてだった?」
太宰が悪戯が成功した子供のような顔で笑う。
暗がりでは分かりにくかったが、その目元がわずかに赤くなっているのに気づいてどっと汗が噴き出した。
唐突な気づきに心臓が早鐘を打ちはじめる。
「…………お前は好きな女子をいじめる子供か」
「なにそれ。私、女の子には優しいよ? これは君の変な顔をもう少し見たかっただけだもの」
呆然と呟いた俺に、太宰は怪訝そうな顔をする。
それで気づかれていないと思っているのか。隠し通せると本気で?
口づけの瞬間、あんな幸せそうな顔をしておいて。
「太宰、駄目だ」
胸が苦しくなってきて、俺は呻くように言って両手で顔を覆う。
顔だけでなく耳まで熱かった。
「え、なに。どうしたの?」
太宰は屈み込み、顔を覗き込もうとしてくる。
手を伸ばし、手探りで肩を掴んだ。
意を決して顔を上げると、太宰が驚きで目を見開く。その黒曜石のような瞳の中に、予想どおり顔を赤く染めて情けない顔をした俺が映っていた。
「駄目だ、これでは。俺の方がもらっている」
「国木田く……」
首を伸ばしてぎこちなく唇を重ねる。
押しつけただけで離れると、太宰は目をぱちぱちさせ、はくりと口を戦慄かせた。
瞬間、理解が追いついたらしく、ぼっと頬が赤く染まる。
今までに見たことのない顔に、胸を突かれたような衝動があった。
「だ、ざい」
「ちょ、と、ま……っ」
頭を引き寄せるようにして再び唇を自分のもので塞ぐ。
体勢を崩した太宰がベンチの背もたれに勢いよく腕をついた。距離が近づいたのをいいことに、腰を抱いて強引に膝の上に乗せてしまう。
本能のまま口腔に舌を捩じ込んだ。
「んん、……は、ぁ」
正しいやり方なんて知らない。夢中で相手の舌を探って吸うと、腕の中の体がひくりと強張った。
肩にかかった太宰の両腕がこちらを押しのけようと動くので、抱きしめる力を強くする。
「ふ、ぁ。……っん」
「はっ、はぁっ」
だんだん息が苦しくなってくる。
もっとしていたかったが仕方なく口づけを解いた。
「……太宰、好きだ」
堪らなくなる。言葉が転がり出ていた。
俺の目の前で、とろりと溶けていた鳶色の瞳が見開かれる。
「う、嘘だ。……そんな」
「嘘なものか。俺はずいぶん前からお前に懸想していた」
太宰は本当に混乱しているらしく、こちらを愕然と見下ろしていた。
俺は苦笑いする。
「驚いたな。敏いお前が気づいていなかったとは」
自慢じゃないが俺は嘘をつくのも隠し事をするのも苦手だ。
太宰に口づけられた一瞬、てっきり俺の想いを知られていて揶揄われたのかと疑ったくらいだったのに。
「……だ、だって。だって私、男だよ? 君の理想どおりじゃないよ? 元マフィアだし、それに……」
「分かっている。俺自身、充分驚いたあとだし、痘痕も靨を毎日実感しているところだ」
太宰は戸惑いに視線を彷徨わせる。
往生際悪くぐずぐず言う太宰が珍しかった。こんな姿を見られるのなら、真夜中に叩き起こされたのも悪くないとすら思ってしまう。
ほら、結局俺は相手が太宰ならなんでもいいのだ。恐ろしいことに。
「好きだ」
重ねて想いを告げれば、太宰は息を呑んで黙り込んでしまった。
うろうろと視線を彷徨わせる。その頬がじわじわとまた赤く染まりだした。
「……こんなすごいもの、もらえない……」
太宰が不安げに呟く。俯いてしまったので表情は見えなかった。
それでもシャツにかかった手にぎゅっと力が入る。
まるでほしいものを言い出せないまま、それでも掴んで離せない子供のようだ。
「俺はもらってほしい。それに、すごいかは分からんぞ。お前も渡さなければいけないし」
「……う、ん」
「も、らってくれるか?」
いまだ迷って曖昧に首を振る太宰に、俺は上ずりそうになる声を抑えて言い募ってしまう。
考える時間を与えてやった方がいいのは分かっていたが、みっともなく気持ちが急いた。
太宰はもはや耳まで赤くしている。俺もずっと体が火照ったままだ。心臓の音がとにかくうるさい。
「……国木田君、本当に私でいいのかい?」
「あぁ。もちろんだ」
ちらりと太宰が伺うように視線を投げてくる。
告白は勢いだったが、俺の心はもう決まっていた。
もとよりこの想いは墓まで持っていくつもりだったのだ。覆りようがない。
力強く頷くと、太宰はぱちりと目を丸くして小さく笑った。
「……うん。ほしい。もらう」
腕が肩口に回される。ぎゅっとしがみつかれた。
「あげる、から。ちょうだい」
「太宰……」
すきだよ、と吐息に溶ける声音で、それでもちゃんと届いたそれに突き動かされる。
細い体を強く抱きすくめると、息をついた太宰がくたりと体から力を抜いた。
膝の上に座ったまま全身を預けてくる。
「……あぁもう。最後にしようと思ったのになぁ」
「お前……」
残念そうにする太宰に眩暈がした。
いつからかは分からないが、太宰も俺のことを好いてくれていたらしい。
きっと太宰にとって今日のこれは最初で最後のデートのつもりだったのだろう。
普段から物欲の薄い太宰が誕生日にほしがったのは「俺との思い出」だったのだと知って震えてしまう。もちろん歓喜にだ。
「太宰」
「んー?」
腕の中の愛しい人を丁寧に抱き直して呼ぶと、気のない返事が返ってくる。
だが頬を寄せた胸元から聞こえるのは俺と同じくらい早い心音だ。
いかなポーカーフェイスの使い手でも、隠せないものもあるらしい。
「誕生日おめでとう。これからよろしくな」
「……うん。まぁよろしく、ね」
身を離して顔を覗き込むと、太宰は眉尻を下げて笑う。
素直に閉じられた瞳に気をよくして、俺はその唇に口づけたのだった。
了
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二〇一八年、明るい方の誕生日です。
すでに馴れ初め二本目で笑ってしまう……昔は馴れ初め一本を延々広げていたのにね……。今は何パターンも見たいし書きたい。
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