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遅いモーニングが終わると、ハナは酷く申し訳なさそうな顔で、洗い物をする俺の姿を、コーヒーを飲みながら眺めていた。


「おいおい、そんな熱視線で見られちゃ恥ずかしいだろ」


『別に熱視線なんて向けてない。』


「じゃあ、なんでこっちみてんだ？もしかして、まだ食い足りない？」


『何言ってるの、そんなわけないじゃない』


何となく、彼女が何を思い感じているのか分かった気がして、もしそうだとしたら、別に俺はなんとも思わない。


『……ねぇ、ウィルソ、』


「ハナ、この後走りに行くんだ、良かったらどうだ？」


『……私が？……体力作りで走るなんて、した事ない』


「気持ちいいぞ、考え事をした時とか、リフレッシュできる」


『いや、それはそうだと思うけど、』


「走り終わった後、S.H.I.E.L.D.に寄るのもよし、カフェに行くのもよし」


『………考えとく』


手伝いたい、その言葉を言わせる前に、俺から午後にやることの提案すれば、何か言いたげだったが、ピタリと口を閉じて考え込んだ後立ち上がる。


『私も、行く』


「そうか？嫌なら無理しなくていいんだぞ」


『無理なんかじゃない。

……状況をS.H.I.E.L.D.に行って把握したいだけ』


何故か視線を逸らし、聞こえるか聞こえないかのギリギリの声で言われれば、俺よりも先に玄関に行っていた。


自室に行き、とりあえずウィングパットを背負い彼女の元に向かえば、物珍しそうに俺の背中を見てくる。


『それで空を飛ぶの？』


「あぁ、まぁな」


『なかなかイケてるじゃない。ちょっとダサいけど』


「ん？なんだって？」


今ダサいって言った？これのどこがダサいってんだ。そんなことを思いながら言えば、ケラケラと楽しそうに笑って、ダサいを連呼するハナ。


段々と気分が戻ってきたのか、申し訳なさげな顔はもうない。あるのは、ブラック・ウィドウといる時の顔。


『………あら、なに、ウィルソン』


「いや、別に」


『なに、気になるじゃない。言って、何を思ってたの』


眉寄せ、疑うように俺の顔を覗き込んでくるから、その近い距離に心臓がうるさい。が、俺はそんな余裕のない男に見せるほど弱くない。


だから、油断する彼女に近付き耳元で囁く。


「あんたの笑顔に見蕩れてた」