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「顔が赤いが、熱もあるんじゃないか？」


『熱は無いよ。本当にだるいだけだから』


発作は今まで何度も起こしたけど、至れり尽くせりな状況は今回が初めてで、別に起き上がることが出来たら自分でできるんだけど、この男はまだ知らないから色んなことをしてくれるらしい。


リビングに戻ったら、椅子を引いて座らせてくれて、かと思えば何が食いたいか分からなかったから、って前置きを並べながら、目の前にたくさんの食器を置いてくれた。


スクランブルエッグにカリカリのベーコン、きつね色に焼かれたトーストにコーンスープ。しかも、ミネストローネまであるし、なんなら博士が教えてくれた、ジャパニーズが食べてるって言う、白いドロドロした物まで。


取り皿を置いて、向かいの席に落ち着いたウィルソンは、じっと私の顔を見ると、熱があるじゃ、って言ってきた。そう、あの最初の会話になるんだけど。


「頭は？」


『痛くないわ』


「喉は？」


『それも平気。

お腹も痛くないし、身体も痛くない……まぁ、身体は戦いの後で、ちょっとは痛いけど、でもそれくらい。』


そもそも、顔が赤くなっちゃうのは、絶対に彼が目の前に座って見てくるからだし、だるさも吸われば落ち着くし、だからそんなに私の事見ないで。


「……あぁ、そうだ。飲み物のご希望は？」


『え、あなたの家って、選択肢が言えるくらい常備してるの？』


「いや？水かフルーツジュースかミルクしかない」


『なら、フルー……』


「フルーツジュースな、だと思った。」


最後まで言わせてくれなかったウィルソンは、鼻歌交じりにグラスにジュースをたっぷりと注いで置いてくれる。


「そういや、これ忘れてた」


『…ピーナッツバター、ジャムサンド』


「悪い、ストロベリーが無かったから代わりにブルーベリーなんだ。」


出来たてほやほやなのか、ピーナッツバターとジャムが熱々のトーストのおかげで今にも零れそうで、美味しそう、って見つめてたら、彼はジャムの種類が違くて不満なんじゃないかと思ったらしく、弁解するように言ってくる。


『ねぇ、ウィルソン』


「なんだ？」


『私が、ここにある食べ物全てが好物だってこと、あなた知ってたの？』


ナットにも何が好きかってことを、詳細に話したことがないから、もし勘で作ったって言うのなら、素直に凄いと彼に言ってあげたい。