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S.H.I.E.L.D.には、数多くの優秀なエージェントが存在する。


男女関係なく、様々な場所へ赴いては、情報収集にあたるもの、攻撃を専門として働くもの、他にも沢山。


その中で、誰よりもずば抜けて優秀なエージェントがいた。


ミルクティー色の髪を靡かせ、全身黒のスーツに身を包み、分厚い革手袋とマスク姿の彼女は、いつも忙しそうに動いている。


しかも、最近彼女は、アベンジャーズの一員として動き始めた。ニック・フューリーのお墨付きだとかで。


ロマノフも一目置いているらしく、最初に入ってきた時の彼女の顔は、驚きと興奮が入り交じっていたように思う。


『キャプテン、馬鹿みたいに口開けてると、いつかハエが中に入るわよ』


動く彼女を見ていれば、いつの間にか書類片手に僕の前まで来ていたのか、そんな事を言ってくるから、慌てて口を閉じる。


「やぁ、ドーラン」


『ごきげんよう。

今日は相変わらずの………筋肉ね。お変わりないようで良かったわ』


「どうも。

もしかして、休憩でもしに来たのか？」


『あら、私の観察でもしてたのかしら。』


アベンジャーズ用の共有スペースで、これまた専用の棚から自分のマグカップを取り出すと、彼女が家から持ってきた彼女専用（・・・・）のティファールでお湯を沸かし始める。


薄いピンク色のそれを見ながら、片手に持った書類にザッと目を通している姿に、再度見つめれば器用に片眉をあげて口を開いた。


『キャプテン、あなた、暇なの？』


「そう見えるかい？」


『見えすぎよ。

スタークのパーティーが始まるまで、特にすることがないならトレーニングでもして、その筋肉を可愛がってあげなさいよ』


「それはいい考えだ。でも、今日のメニューは10周やったんだ」


『……本当に暇なのね。

街でも見てくればいいじゃない。』


「いつ何が起きるか分からないだろう？」


『街を見ることも、1つの仕事よ。パトロール』


カチッと音が響き、彼女は鼻歌交じりに、ティーバックの紐をゆらゆらと動かしながら、お湯を入れる。


「……君、参加できることになったのか？」


『スタークの？ええ、雷様に文句の言葉もかけてあげたくて』


人の物は大切にしろってね。


ティファールを起きながら、のんびりと言った彼女はマグカップを片手に、また後で、と言ってキュッキュッと足音を立てて、出ていった。