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あの強化人間の双子は、私たちにいい夢を見させてくれた。トニーとクリントは見てないけど、でもそれ以外はみんな夢を見て、心に影を宿してる。


だから、唯一居場所を知られること無く生活をしてるクリントの家で少しの間療養する事になった訳で、私は博士と相部屋に。


ソーはどこかに消えて、トニーとキャプテンは外で対談中。博士も、自分の失態に反省でもしているのか大人しい。


だけど、みんなそれぞれが心をどうにかして落ち着けているし、私も過去に囚われないで次に何をやるべきか考えることが出来始めたのに、ただ1人、心に深い闇を宿し続けてる子がいた。


「あ、ナターシャ、ちょうど良かった」


「どうかしたの？」


飲み物を取りに下へ降りると、困った顔をしたクリントの奥さんでもあるローラが、グラスを持って私を呼び止める。


「ハナの所に、飲み物を持っていきたいんだけど、彼女、納屋から出てこようとしないの。

私が入ろうとしても、今来たら傷付けるから絶対に来ないでって言うし……」


「納屋？

まさか、ここに来てからずっとそこにいるの？」


「そうみたい。

ほら、昼間でもこの辺りは寒くなるし、毛布も持って行ってあげたいの。それに、彼女が使う部屋にも案内したいし。

私が妊婦じゃなかったら、薬を飲んで行けたんだけど、この子が居ると……」


ハナが未だに納屋から出てこない、ってローラが心配そうに言ってくる。


私と彼女は、唯一ハナに触れるための抗毒薬が効いたけど、妊婦が今それを使うって事の安心性はまだないから、喜んでグラスを受け取った。


そして、納屋へと向かえばカプセルを飲んで一応ノックしてみると、だいぶやられてるのかあまり聞くことのない声が帰ってくる。


「ハナ、私よ」


『……ナット？』


「そう、貴方の事が大好きなナットよ。

入っていいかしら」


『っ、だめ！！絶対、だめ、来ないで、お願いだから』


私の声に安心したのか、優しい声で愛称を呼んでくれたのに、入っていいかと聞けば必死にそれは断ってくる。


「大丈夫よ、ちゃんと飲んだわ。

ローラから頼まれたの。飲み物を持ってきたから、開けてもいい？」


『やだ……お願いよ、ローラには私は平気だからって伝えて……ね？』


頑なに断り続けてるから、そんなに言うならって事で勝手に扉を開けると、その音で中で動く音と椅子が倒れる音が聞こえた。