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「ねぇ、あの子どうしたの？」


任務から戻ったハナは、武器商人が見つかったと連絡を貰い、そのまま仲間がいるジェット機に乗り込んでいた。

だが、どこか様子がおかしい彼女に、ナターシャは眉をひそめ近くにいたバナーにそう尋ねた。


「…それが、僕にもさっぱりなんだ。トニーたちが聞いても、何も話そうとしてくれなくて」


「昨日呼ばれた任務で、何か彼女の身体に異変が起きたんじゃないの？」


「それを調べたいんだけど、何ともないの一点張りで」


バナーも困っているのか、肩を竦めて言うため、彼女は呆れたように溜息をつき、スーツから注射器を取り出すと自分の腕にそれを刺す。


「ほんと、うちの男たちは情けないわ」


「…なんか、すまないね」


「まぁいいわ。彼女と2人きりになれるなら、私得だもの」


そう言って、ナターシャに睨まれたバナー含む男性陣は気まずそうに視線を逸らす（ただしトニーは、僕は悪くないと言ってのけたが）。


1人、ジェット機に備え付けられた小窓から視線を外さないでいるハナの隣に、彼女が腰掛けるとそっと手を伸ばし、肘掛に作られた小さな拳に触れる。


『……打ったの？』


「ええ、もちろん。」


『ナットの手、安心する』


「そう？嬉しいこと言ってくれるのね。」


『博士たちに、私が大丈夫かどうか、聞いて欲しいとでも頼まれた？』


「いいえ？サムと何か進展があったんじゃないかと思って」


『…私、分かりやすかった？』


「あら、進展があったのね」


『ﾁｯ……酷い、嵌めたんだねナット』


まんまと騙されナターシャに嵌められたハナは、悔しそうに舌打ちをし鼻を鳴らすと、彼女は意地悪く口角を上げる。


「それで？サムに何をされたの？」


『彼に聞いたの。ほら、私って戦闘の時は羽を出すでしょう？

だから、羽の手当をしてくれた時に、この姿を見てどう思ったか聞いたら、クールだったって答えたの。』


「良かったじゃない、好きな人に自分の姿を褒められたのね」


『しかも、私が持つ毒に、自分にとっては好都合だとも言ったのよ』


「好都合？なぜ？」


『誰も触ることも出来なければ、私から触ることも出来ないからって。』


「なるほどねぇ、彼以外に触られている所は見たくないってこと」


『そんなこと言う人、今まで出会ったことがないから、どうすればいいのか分からなくて』


本当に分からない、そんな顔でため息をついた彼女に、ナターシャは優しく頭を撫でてあげた。