拍手夢③ナンパから守らせてみた
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「今度の日曜、宅配の仕事休みだからよ、その、二人でどっか行かねぇか?」
それはクロウからの初デートのお誘いだった。
普段からクロウには、私の方が背が高いとか女のくせに行動がガサツだとか言われて、
頻繁に喧嘩になったりして恋人らしい事なんて全然無かったんだけど、まさかこんな急に誘ってくるなんてビックリした。
けど折角デートって事だから、日ごろ着ない可愛いフリルのワンピースとか、アキちゃんに選んだりしてもらい、
ちょっと女の子っぽい言動や仕草もついでに教えてもらった。
伝授してもらった甲斐があってか、今日のクロウはやけに大人しい。
いつもなら私との身長差が目立つから嫌がるのに、手だって繋いでくれてるし……。
もしかしてアキちゃんの言う通り、いつもより私の事を女の子扱いしてくれてるのかな?
そう考えるとニヤつきそうになる顔を、慌ててふふふ、と女の子らしく笑ってみせる。
ジャックとかからはオトコ女って言われるほどオシャレとか普段から意識してないけど、私だってやる時は女の子らしくなるんだから!
今日のデートは絶対成功させてやる!!
「クロウ、次はファンシーショップとか行きたいなぁ……ねぇ、ダメ?」
「へっ!? あ、あー……良いんじゃねえの」
「やったぁ、じゃ、早く行こっ!」
クロウの手を引っ張ってアキちゃんに教えてもらった女の子らしい店に行こうとした途端、
私たちの前に、いかにもチャラチャラしてますっていう若い男の人が現れた。
よく見れば、あのジャック並に背も高いかも。
とまぁ、よく分からないけど、私の方を見て何故かニコニコしながら声を掛けて来たのだった。
「はーい、君。イケてるねー。弟と買い物でもしに来たの? そんなんより俺と一緒にどっかに行こうぜ」
「おとっ……!? てめえ、何だいきなり!? 人の女に手ェ出そうとするとは良い度胸だな!」
クロウは私から手を離すと、私を庇うように自分の背後に立たせた。
なに、こいつナンパなの……?
そりゃクロウより私の方が背は高いけども、
出会って早々人の彼氏を弟呼ばわりするなんて許せない……!
今すぐにでもこのフザけた男をぶん殴ってやりたいところだったけど、
今日一日女の子らしくすることを思い出し、クロウの後ろに隠れておくことにした。
そうよ、今は我慢、我慢しないと……!
「えっ、まさかお前彼氏なの? ありえね~、この子は俺みてぇな背の高い男がピッタリに決まってんだろ。見栄えも良いと思うしな、ハハハ!」
男がゲラゲラ笑いながら言った瞬間、私の中で何かがブチンと切れた。
ゴメン、ヤッパリ我慢デキナイ。
そう一人で自分に謝ると、男に歩み寄り勢いよく両手で胸倉を掴んだ。
「言いたい事はそれだけ!? あんたみたいなつまんねー男と隣なんて絶対並びたくないっつーの! 見栄えとかそんなの関係ない、私が隣にいたいと思う男はクロウだけなの! 分かったらどっかに消えな、このノッポヤローが!!」
「ひ、ひい……す、すんませんでしたぁぁ!!」
私から溢れる気迫に完全にビビッた男は、ガタガタと身体を震わせながら怯えた様に逃げて行った。
さっきの威勢は何処にいったのか、あまりに情けない男の様子に、「小っせー男!」とペッと言葉を投げてやった。
……と同時に、当初の自分の目的をハッと思い出す。
そ、そうだ、今日くらいは女の子らしくいこうって決めてたのに……私ったらつい……。
折角こんな可愛い服まで選んだのに、全部台無しじゃない!
あーあ、これじゃクロウだってドン引きだよ、きっと!
と、その時クロウがザッと私の前に出て来て、ビクッと肩が揺れた。
きっと「ちょっとは女らしくしろ」とか言われて怒られるんだろうな―――と覚悟したけど、耳から聞こえて来たのは予想とは全く違うものだった。
「守られちまったな、お前に……」
「えっ、クロウ……?」
フッとクロウの口元が緩む。
もしかして呆れられてる……?
や、やっぱり出しゃばらずにクロウの影に隠れておくべきだったんだ。
本来ならナンパを追い返すのは、彼氏のクロウの役目でもあるし―――。
モヤモヤとした感情が湧き上がってくる中、私の額にクロウがコツンとコブシで小突かれた。
「そんな顔すんなっつーの。そういう男顔負けなところに、俺は惚れたんだぜ?」
きょとんとしている私に、クロウは頬を掻きながら照れくさそうに続ける。
「そういうフリフリな格好も似合うけどよ、すっげー可愛すぎて俺……直視出来ねぇわ。いつもの男っぽいカッコのほうが安心する」
「クロウ……」
「んな無理して女らしくなんなくて良いんだぜ? 自然体なお前が……俺は一番好きだからな」
その言葉に今日の朝からあった肩の力が一気に抜けた。
そして、あーあ、とわざとらしく声を上げてため息をついてやった。
「なーんだ。初デートだからと思って張り切ってたのに空振りだったのね。こんな事ならいつものカッコで来れば良かった~」
無理してワンピースなんて着るんじゃなかった、と心の中で思ってしまった。
スカートだと動きにくいっていうか、はしゃげないし。
……まぁ、今日は珍しく大人しいクロウも見れたし良しとするか。
ナンパが来る前の緊張しまくってたクロウの様子を思い出し、吹き出しそうになるのを堪えていると、
急に肩を組まれてクロウの傍に引き寄せられた。
クロウの顔が結構近くて、ちょっとドキッと心臓が鳴る。
「あんまり女のコ女のコしすぎてお前じゃねぇのかと思ったぜ。今度のデートん時は、いつものカッコでよろしく」
「はいはい、分かりましたー。……あっ、次はゲーセン行きたい! DTの新弾出たらしーし! さっきのファンシーショップは無しで」
「……っていきなりゲーセンかよ、ま、お前らしいな。ほら、さっさと行くぞ!」
ニヤリと笑ったクロウは、私の肩から腕を外して手を掴むと歩き始めた。
さっきよりも強くなった力に、私はギュッと握り返して後を追いかけた。
最初のデートは私が張り切りすぎてちょっと失敗しちゃったけど……
これから何度でもデートだって出来るし、無理して女の子らしくする必要だってないし。
今度のデートはもっともっと楽しめるように頑張るからね、クロウ!
それはクロウからの初デートのお誘いだった。
普段からクロウには、私の方が背が高いとか女のくせに行動がガサツだとか言われて、
頻繁に喧嘩になったりして恋人らしい事なんて全然無かったんだけど、まさかこんな急に誘ってくるなんてビックリした。
けど折角デートって事だから、日ごろ着ない可愛いフリルのワンピースとか、アキちゃんに選んだりしてもらい、
ちょっと女の子っぽい言動や仕草もついでに教えてもらった。
伝授してもらった甲斐があってか、今日のクロウはやけに大人しい。
いつもなら私との身長差が目立つから嫌がるのに、手だって繋いでくれてるし……。
もしかしてアキちゃんの言う通り、いつもより私の事を女の子扱いしてくれてるのかな?
そう考えるとニヤつきそうになる顔を、慌ててふふふ、と女の子らしく笑ってみせる。
ジャックとかからはオトコ女って言われるほどオシャレとか普段から意識してないけど、私だってやる時は女の子らしくなるんだから!
今日のデートは絶対成功させてやる!!
「クロウ、次はファンシーショップとか行きたいなぁ……ねぇ、ダメ?」
「へっ!? あ、あー……良いんじゃねえの」
「やったぁ、じゃ、早く行こっ!」
クロウの手を引っ張ってアキちゃんに教えてもらった女の子らしい店に行こうとした途端、
私たちの前に、いかにもチャラチャラしてますっていう若い男の人が現れた。
よく見れば、あのジャック並に背も高いかも。
とまぁ、よく分からないけど、私の方を見て何故かニコニコしながら声を掛けて来たのだった。
「はーい、君。イケてるねー。弟と買い物でもしに来たの? そんなんより俺と一緒にどっかに行こうぜ」
「おとっ……!? てめえ、何だいきなり!? 人の女に手ェ出そうとするとは良い度胸だな!」
クロウは私から手を離すと、私を庇うように自分の背後に立たせた。
なに、こいつナンパなの……?
そりゃクロウより私の方が背は高いけども、
出会って早々人の彼氏を弟呼ばわりするなんて許せない……!
今すぐにでもこのフザけた男をぶん殴ってやりたいところだったけど、
今日一日女の子らしくすることを思い出し、クロウの後ろに隠れておくことにした。
そうよ、今は我慢、我慢しないと……!
「えっ、まさかお前彼氏なの? ありえね~、この子は俺みてぇな背の高い男がピッタリに決まってんだろ。見栄えも良いと思うしな、ハハハ!」
男がゲラゲラ笑いながら言った瞬間、私の中で何かがブチンと切れた。
ゴメン、ヤッパリ我慢デキナイ。
そう一人で自分に謝ると、男に歩み寄り勢いよく両手で胸倉を掴んだ。
「言いたい事はそれだけ!? あんたみたいなつまんねー男と隣なんて絶対並びたくないっつーの! 見栄えとかそんなの関係ない、私が隣にいたいと思う男はクロウだけなの! 分かったらどっかに消えな、このノッポヤローが!!」
「ひ、ひい……す、すんませんでしたぁぁ!!」
私から溢れる気迫に完全にビビッた男は、ガタガタと身体を震わせながら怯えた様に逃げて行った。
さっきの威勢は何処にいったのか、あまりに情けない男の様子に、「小っせー男!」とペッと言葉を投げてやった。
……と同時に、当初の自分の目的をハッと思い出す。
そ、そうだ、今日くらいは女の子らしくいこうって決めてたのに……私ったらつい……。
折角こんな可愛い服まで選んだのに、全部台無しじゃない!
あーあ、これじゃクロウだってドン引きだよ、きっと!
と、その時クロウがザッと私の前に出て来て、ビクッと肩が揺れた。
きっと「ちょっとは女らしくしろ」とか言われて怒られるんだろうな―――と覚悟したけど、耳から聞こえて来たのは予想とは全く違うものだった。
「守られちまったな、お前に……」
「えっ、クロウ……?」
フッとクロウの口元が緩む。
もしかして呆れられてる……?
や、やっぱり出しゃばらずにクロウの影に隠れておくべきだったんだ。
本来ならナンパを追い返すのは、彼氏のクロウの役目でもあるし―――。
モヤモヤとした感情が湧き上がってくる中、私の額にクロウがコツンとコブシで小突かれた。
「そんな顔すんなっつーの。そういう男顔負けなところに、俺は惚れたんだぜ?」
きょとんとしている私に、クロウは頬を掻きながら照れくさそうに続ける。
「そういうフリフリな格好も似合うけどよ、すっげー可愛すぎて俺……直視出来ねぇわ。いつもの男っぽいカッコのほうが安心する」
「クロウ……」
「んな無理して女らしくなんなくて良いんだぜ? 自然体なお前が……俺は一番好きだからな」
その言葉に今日の朝からあった肩の力が一気に抜けた。
そして、あーあ、とわざとらしく声を上げてため息をついてやった。
「なーんだ。初デートだからと思って張り切ってたのに空振りだったのね。こんな事ならいつものカッコで来れば良かった~」
無理してワンピースなんて着るんじゃなかった、と心の中で思ってしまった。
スカートだと動きにくいっていうか、はしゃげないし。
……まぁ、今日は珍しく大人しいクロウも見れたし良しとするか。
ナンパが来る前の緊張しまくってたクロウの様子を思い出し、吹き出しそうになるのを堪えていると、
急に肩を組まれてクロウの傍に引き寄せられた。
クロウの顔が結構近くて、ちょっとドキッと心臓が鳴る。
「あんまり女のコ女のコしすぎてお前じゃねぇのかと思ったぜ。今度のデートん時は、いつものカッコでよろしく」
「はいはい、分かりましたー。……あっ、次はゲーセン行きたい! DTの新弾出たらしーし! さっきのファンシーショップは無しで」
「……っていきなりゲーセンかよ、ま、お前らしいな。ほら、さっさと行くぞ!」
ニヤリと笑ったクロウは、私の肩から腕を外して手を掴むと歩き始めた。
さっきよりも強くなった力に、私はギュッと握り返して後を追いかけた。
最初のデートは私が張り切りすぎてちょっと失敗しちゃったけど……
これから何度でもデートだって出来るし、無理して女の子らしくする必要だってないし。
今度のデートはもっともっと楽しめるように頑張るからね、クロウ!
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