拍手夢③ナンパから守らせてみた
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
今日の私はイライラしていた。
というのも、久しぶりにガレージに遊びに来たにも関わらず、相変わらずブルーノはD・ホイールばかりに夢中で、
彼女である私の相手をほとんどしてくれなかったからだ。
そりゃブルーノがD・ホイールを弄るのが好きっていうのは、私だって百も承知済みだけど……もうちょっと彼女にも気を遣うとかあるでしょ!
機械相手に「いい子ちゃん」とか言っちゃってさ、ばっかみたい!
……そんな事があったりで、我慢出来なくなった私は「ブルーノのばか!!」と叫んで、つい先ほどガレージから出て来てしまった。
これから行く先も考えずに、街中をズタズタと足音を立てて歩いていると、突然私の視界の前に三人のガタイが良い大男が現れた。
一瞬カツアゲかと思ってビクッと肩が揺れたけど、男達は巨体に似つかわしくない爽やかな笑みをひろげ、それぞれ口を開いた。
「ハーイ、キミ。何でそんなに怒ってるの?」
「もしかして、彼氏と喧嘩でもしたの?」
「なんだったら俺達が慰めてあげようか~?」
どうやらコイツ等はカツアゲではなく、ただのナンパ男のようだった。
生まれて初めてのナンパにちょっと棒立ちになったけど、さっきのブルーノのD・ホイールを弄っていて楽しそうな顔を思い出す。
――どうせブルーノは私よりD・ホイールが大事なんだから、私がこんな奴等と遊んでいたって心配なんてしないんだわっ!!
半ばやけくそになって男達にOKの返事をしようとした時、背後から「待って!」という聞き慣れた馴染み深い声と、バイクのエンジン音が聞こえた。
まさかと思って私が振り返ると、そこにはミニバイクに乗ったブルーノの姿があった。
ブルーノ……私を追いかけて来てくれたの……?
てっきり今もブルーノはD・ホイールに夢中になっている頃だと考えていたので、ただ呆然とブルーノだけを見つめていた。
ブルーノはミニバイクを停めてヘルメットを外すと、私の前に飛び出して男達をキッと睨みつけた。
「この子は僕の彼女だ! 連れて行くなんて許さないよ!」
「ハァ? 嘘ついてんじゃねーよ。お前みてぇな弱っちい野郎が彼氏なワケねぇだろ」
男の一人が逆に睨み返して、ブルーノの胸倉を掴んだ。
いくら身長がジャック並に高いブルーノでも、ジャックのように身体能力に長けている訳でもない。
こ、こんな巨体三人相手とブルーノがマトモにやり合ったりでもしたら―――!
「ぼ、暴力反対っ!」
「うっせえんだよ!」
ガッ―――
問答無用で男はブルーノの腹部を拳で殴りつけた。
鋭い音が辺りに響くと共に、その衝撃でブルーノの体が後ろに吹き飛ぶ。
「ブルーノ! ……ッ!?」
急いで倒れたブルーノに駆け寄ろうとしたけど、いつの間にか私の背後に回った男に腕を掴まれてしまい身動きがとれなくなっていた。
必死で身をよじって抵抗してみても、女の私じゃ巨体の男の力には敵わない。
「は、離して!!」
「出しゃばったのが悪かったなぁ……二度とそんな世迷い言を言わねえように、ボコボコにしてやんよ」
ブルーノを殴った男がパキポキと指を鳴らしながらブルーノに一歩ずつ近付いていく。
もう絶体絶命だ―――と思えた瞬間、ブルーノがこの場に相応しくない不敵な笑みを浮かべた。
「いいの? そんな事して。君の後ろを見てみなよ」
「あぁ? ―――って、あああ、あいつらは!?」
ブルーノに言われた通り、男が見返ると目を見開いて一瞬で青ざめた顔になっていった。
他の男二人の反応も同じもので、どうしたのかと私も後ろに振り向いてみると、
なんと牛尾さんやセキュリティの皆さんが凄い形相でこちらを見ていたのだった。
「悪漢がいると通報があって来てみりゃ……まさかお前らもいるとはな。そいつら三人、ちょっと署まで来てもらおうか」
牛尾さんがそう告げると、セキュリティの皆さんはそれぞれ男を捕まえにかかった。
「て、てめー! 卑怯だぞ、あの牛尾哲を呼ぶなんて!」
「ちゃんと僕、暴力反対って言ったよ?」
ニッコリといつもの笑顔で答えるブルーノに、私はただ呆然とするしかなかった。
流石の巨体男三人もセキュリティの力にはお手上げのようで、あっさりと連行されて行った。
去っていくセキュリティの姿を見送りながら、そういえばもう自分が自由の身になっている事にやっと気付いて、
腹部を手で押さえて座り込んでいるブルーノの元へ駆け寄った。
「ぶ、ブルーノ!? 大丈夫!?」
「アハハ、大丈夫、大丈夫。覚悟してた程、痛くもなかったよ」
ぶっちゃけジャックにやられた時の方が痛かったかも、とか言い出すブルーノに、
我慢出来なくなった私はしがみつくようにブルーノの胸に頭を押し付けて、声をひきつらせて叫んだ。
「バカブルーノ! あんた弱いんだから、あんな大の男三人に突っかかったら、ボコボコにされるのは目に見えてたじゃない! それなのにどうして後先考えずに私を助けようとするのよ!」
違う! 違う!!
こんな事が言いたいんじゃない!
助けに来てくれてありがとう……って、D・ホイールを放ってすぐに追いかけて来てくれて嬉しかったって言いたいのに!
素直に言えない私。
きっとブルーノだって呆れたに違いない……。
それなのにブルーノは、私の吐いた悪態を気にせず、そっと私の頭を優しく撫でてくれた。
「ごめんね? 僕弱いけど、それでも大事なキミを守りたかったんだ………僕のこと、嫌いになった?」
「な、何言ってるの、ブルーノ……」
ブルーノのことを嫌いになんてなるわけないじゃない……。
私がそう口に出そうとしたら、頭に手を置いたままブルーノは重い口を開く。
「だって僕は人に自慢できるような彼氏じゃない。力もない、デュエルも出来ない……そして記憶もない。こうやって助けようとしても、結局牛尾さん達とか力がある人に頼ってしまう。こんな情けない男……君に好きになってもらう価値もない」
黙っていればさっきから自虐的な事しか言わないブルーノに、思わずブルーノの頬を引っ叩いていた。
パァン、と乾いた音が響き、ポカンとした顔で私を見つめるブルーノの頭を自分の胸に押し込んで、ギュッと抱き締めた。
「バッカじゃない、ブルーノ。好きになってもらう価値がない? アンタが決める事じゃないでしょ。私が決める事よ! 私はブルーノのカッコイイ所に惹かれたんじゃなくて、なっさけなくて弱っちい所に惹かれたの!」
「そうなの?」
「そうよ!」
「そっか……、そうなんだ……」
胸に抱き締めたブルーノがくすくすと笑うのが振動で分かった。
私が「バカブルーノ……笑うな」と小さく呟いて、さらに強く抱き締めてあげた。
するとブルーノがふいに顔を上げて、私の赤くなっているだろう頬を両手で包み込んで、目を合わせてきた。
ブルーノの顔が目の前にくると、私が一番ドキドキするって知ってるくせに。
……やっぱバカブルーノだ。
と、小さく心の中でこぼして瞼を閉じた。
というのも、久しぶりにガレージに遊びに来たにも関わらず、相変わらずブルーノはD・ホイールばかりに夢中で、
彼女である私の相手をほとんどしてくれなかったからだ。
そりゃブルーノがD・ホイールを弄るのが好きっていうのは、私だって百も承知済みだけど……もうちょっと彼女にも気を遣うとかあるでしょ!
機械相手に「いい子ちゃん」とか言っちゃってさ、ばっかみたい!
……そんな事があったりで、我慢出来なくなった私は「ブルーノのばか!!」と叫んで、つい先ほどガレージから出て来てしまった。
これから行く先も考えずに、街中をズタズタと足音を立てて歩いていると、突然私の視界の前に三人のガタイが良い大男が現れた。
一瞬カツアゲかと思ってビクッと肩が揺れたけど、男達は巨体に似つかわしくない爽やかな笑みをひろげ、それぞれ口を開いた。
「ハーイ、キミ。何でそんなに怒ってるの?」
「もしかして、彼氏と喧嘩でもしたの?」
「なんだったら俺達が慰めてあげようか~?」
どうやらコイツ等はカツアゲではなく、ただのナンパ男のようだった。
生まれて初めてのナンパにちょっと棒立ちになったけど、さっきのブルーノのD・ホイールを弄っていて楽しそうな顔を思い出す。
――どうせブルーノは私よりD・ホイールが大事なんだから、私がこんな奴等と遊んでいたって心配なんてしないんだわっ!!
半ばやけくそになって男達にOKの返事をしようとした時、背後から「待って!」という聞き慣れた馴染み深い声と、バイクのエンジン音が聞こえた。
まさかと思って私が振り返ると、そこにはミニバイクに乗ったブルーノの姿があった。
ブルーノ……私を追いかけて来てくれたの……?
てっきり今もブルーノはD・ホイールに夢中になっている頃だと考えていたので、ただ呆然とブルーノだけを見つめていた。
ブルーノはミニバイクを停めてヘルメットを外すと、私の前に飛び出して男達をキッと睨みつけた。
「この子は僕の彼女だ! 連れて行くなんて許さないよ!」
「ハァ? 嘘ついてんじゃねーよ。お前みてぇな弱っちい野郎が彼氏なワケねぇだろ」
男の一人が逆に睨み返して、ブルーノの胸倉を掴んだ。
いくら身長がジャック並に高いブルーノでも、ジャックのように身体能力に長けている訳でもない。
こ、こんな巨体三人相手とブルーノがマトモにやり合ったりでもしたら―――!
「ぼ、暴力反対っ!」
「うっせえんだよ!」
ガッ―――
問答無用で男はブルーノの腹部を拳で殴りつけた。
鋭い音が辺りに響くと共に、その衝撃でブルーノの体が後ろに吹き飛ぶ。
「ブルーノ! ……ッ!?」
急いで倒れたブルーノに駆け寄ろうとしたけど、いつの間にか私の背後に回った男に腕を掴まれてしまい身動きがとれなくなっていた。
必死で身をよじって抵抗してみても、女の私じゃ巨体の男の力には敵わない。
「は、離して!!」
「出しゃばったのが悪かったなぁ……二度とそんな世迷い言を言わねえように、ボコボコにしてやんよ」
ブルーノを殴った男がパキポキと指を鳴らしながらブルーノに一歩ずつ近付いていく。
もう絶体絶命だ―――と思えた瞬間、ブルーノがこの場に相応しくない不敵な笑みを浮かべた。
「いいの? そんな事して。君の後ろを見てみなよ」
「あぁ? ―――って、あああ、あいつらは!?」
ブルーノに言われた通り、男が見返ると目を見開いて一瞬で青ざめた顔になっていった。
他の男二人の反応も同じもので、どうしたのかと私も後ろに振り向いてみると、
なんと牛尾さんやセキュリティの皆さんが凄い形相でこちらを見ていたのだった。
「悪漢がいると通報があって来てみりゃ……まさかお前らもいるとはな。そいつら三人、ちょっと署まで来てもらおうか」
牛尾さんがそう告げると、セキュリティの皆さんはそれぞれ男を捕まえにかかった。
「て、てめー! 卑怯だぞ、あの牛尾哲を呼ぶなんて!」
「ちゃんと僕、暴力反対って言ったよ?」
ニッコリといつもの笑顔で答えるブルーノに、私はただ呆然とするしかなかった。
流石の巨体男三人もセキュリティの力にはお手上げのようで、あっさりと連行されて行った。
去っていくセキュリティの姿を見送りながら、そういえばもう自分が自由の身になっている事にやっと気付いて、
腹部を手で押さえて座り込んでいるブルーノの元へ駆け寄った。
「ぶ、ブルーノ!? 大丈夫!?」
「アハハ、大丈夫、大丈夫。覚悟してた程、痛くもなかったよ」
ぶっちゃけジャックにやられた時の方が痛かったかも、とか言い出すブルーノに、
我慢出来なくなった私はしがみつくようにブルーノの胸に頭を押し付けて、声をひきつらせて叫んだ。
「バカブルーノ! あんた弱いんだから、あんな大の男三人に突っかかったら、ボコボコにされるのは目に見えてたじゃない! それなのにどうして後先考えずに私を助けようとするのよ!」
違う! 違う!!
こんな事が言いたいんじゃない!
助けに来てくれてありがとう……って、D・ホイールを放ってすぐに追いかけて来てくれて嬉しかったって言いたいのに!
素直に言えない私。
きっとブルーノだって呆れたに違いない……。
それなのにブルーノは、私の吐いた悪態を気にせず、そっと私の頭を優しく撫でてくれた。
「ごめんね? 僕弱いけど、それでも大事なキミを守りたかったんだ………僕のこと、嫌いになった?」
「な、何言ってるの、ブルーノ……」
ブルーノのことを嫌いになんてなるわけないじゃない……。
私がそう口に出そうとしたら、頭に手を置いたままブルーノは重い口を開く。
「だって僕は人に自慢できるような彼氏じゃない。力もない、デュエルも出来ない……そして記憶もない。こうやって助けようとしても、結局牛尾さん達とか力がある人に頼ってしまう。こんな情けない男……君に好きになってもらう価値もない」
黙っていればさっきから自虐的な事しか言わないブルーノに、思わずブルーノの頬を引っ叩いていた。
パァン、と乾いた音が響き、ポカンとした顔で私を見つめるブルーノの頭を自分の胸に押し込んで、ギュッと抱き締めた。
「バッカじゃない、ブルーノ。好きになってもらう価値がない? アンタが決める事じゃないでしょ。私が決める事よ! 私はブルーノのカッコイイ所に惹かれたんじゃなくて、なっさけなくて弱っちい所に惹かれたの!」
「そうなの?」
「そうよ!」
「そっか……、そうなんだ……」
胸に抱き締めたブルーノがくすくすと笑うのが振動で分かった。
私が「バカブルーノ……笑うな」と小さく呟いて、さらに強く抱き締めてあげた。
するとブルーノがふいに顔を上げて、私の赤くなっているだろう頬を両手で包み込んで、目を合わせてきた。
ブルーノの顔が目の前にくると、私が一番ドキドキするって知ってるくせに。
……やっぱバカブルーノだ。
と、小さく心の中でこぼして瞼を閉じた。