短編夢
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
――ネオ童実野シティ郊外付近。
シティ中央部と比べ人影は少ないのだが、旅を始める者など新しいスタートを踏み始める者の姿を見かける事ができる。
そして、ここにも今新しいスタートを踏み始めようとするボマーの姿があった。
「わざわざ私の見送りになどいらなかったものを」
荷物をD・ホイールに載せながらボマーが言うと、
優香とクロウはその荷物を乗せるのを手伝って口を開いた。
「だってボマーさんが旅に出るって聞いて、いてもたってもいられなくて」
「ああ、遊星やジャックは鬼柳の方に見送りにいったし、ボマーの方にも行ってやらねえとなと思って。
お前は俺達の『仲間』なんだからよ」
「優香、クロウ……」
一度は自分は死してダークシグナーとなりこの二人を傷つけ、操られていたといっても自分が限界まで追い詰めたのは事実。
本来ならばこうやって見送りになど来てくれるどころか、
『仲間』と呼ばれる資格もあるはずもない。
だが、優香とクロウや遊星達はダークシグナーへ堕ちた自分のやった過ちを許してくれた。
ボマーはあまり表情には出さないが、心から二人に感謝していた。
荷物をD・ホイールへとすべて置くと、優香は何か思いだしたようにボマーの方へと振り返った。
「ボマーさん、旅に出るって暫くはこっちに戻ってこないって事だよね?」
「ああ、私はもう一度自分を見つめ直し、故郷へは一度戻ろうと思う」
「そっかー……。しばらくボマーさんと話できないのかぁ。子供さん達にもよろしくね」
ボマーが暫くは戻ってこないと聞いて、優香は少し残念そうに呟く。
それを見たクロウは、面白くない様に眉をしかめた。
「なんだよ、ボマーと話って」
「あ、ボマーさんとはね、いろいろ相談とか乗ってもらってたんだ」
ね、とボマーの方を向いて優香が訊くと、ボマーは静かに頷いて付け加える。
「ああ、優香とはこの前まで二人でよく会っていた」
「ふ、二人!?」
「うん、3日前くらいはボマーさんの家に遊びに行ったよ」
「はああっ!?」
次々と飛び出る驚愕の事実に、思わずクロウは素っ頓狂な声をあげた。
優香がボマーの家に行った事どころか、ボマーと二人で会っていた話など一度も聞いた事もない。
優香とボマーは、今回まともに話すのは初めてだろうと思っていた矢先の事実だった。
「ちょっと待て! 俺は聞いてねえぞ、んな話!」
クロウはつい声を荒げて優香へと問う。
「あれ、クロウに言ってなかったっけ? 遊星達には言ったんだけどなぁ……」
優香はクロウとは視線を合わせようとせず、とぼけた口調で言った。
自分には話さず遊星達には言っている事に、クロウは大きく眉をしかめたが、
それより今はボマーの家に行って何をしていたかだ。
本当に遊びに行っていたのならまだしも、もしも……という微かな不安がクロウを襲う。
「遊星だけかよ……それよりもボマー! その家ん中で優香に、その……何もしてねえだろうな!」
クロウより数倍は大きい身体をしているボマーにビクともせず、ギロリと睨んでクロウは言い放った。
ボマーは予想通りの反応を示したクロウに、フッと思わず笑みを零す。
「私と優香がそんな関係だと思うか? ただ相談に乗っただけと言っただろう」
「うっ……ま、まあそうだが、その相談って何なんだよ」
「それは私より優香に直接聞いてみたらどうだ?」
ボマーに横目で見られ、突然話を振られれた優香は「えっ」と驚くと、
しばらく口ごもって、俯いてしまった。
急に口ごもった優香にクロウは訳が分からず、ボマーに理由を聞こうとすると
既に彼はヘルメットを被りD・ホイールに乗っていた。
「お、おい、ボマー! もう行くのかよ!?」
「そろそろ私も時間でな。クロウ、優香の事をよろしく頼むぞ。それと――優香」
名前を呼ばれ、ボマーの方へと俯いていた顔を上げる優香。
ボマーと一瞬目が合い、何時になく真剣な目つきに優香は神妙な表情を浮かべた。
「告白、優香ならきっと上手くいくはずだ」
軽く微笑んで優香に告げると、D・ホイールのエンジンを掛け、ボマーはその場を立ち去って行った。
クロウと優香は彼の姿が見えなくなるまで、しばらくその姿を見送った。
それからの帰り道、ブラックバードに乗せてもらい、しっかりとクロウにしがみ付いていた優香は、前で運転するクロウの表情をこっそり窺った。
だが、ヘルメットをしているためクロウの表情は窺えない。
ボマーと別れてからクロウとは一言も喋っていない。
(もしかしてボマーさんとの別れがショックだったとか……?)
行き道はいろんな事を喋って来ただけに、急に黙り込んでしまったクロウが流石に心配になる。
優香は何か話しかけようと話題を模索していると、急にD・ホイールが止まった。
もうガレージに着いたのかと思い、ヘルメットを取り優香は辺りを見渡したが、そこは見慣れない景色。
代わりに目の前には青い海が広がっていた。
「クロウ、ここは……?」
「へへっ、たまにはこういう所もいいだろ?ほら、早く行こうぜ!」
クロウがさっさと行くぞとばかりに促すと、優香の手を取って、海へと駆け出した。
先程の沈んだ様子とは打って変わって、はしゃぐクロウに優香は戸惑いながらも笑みを零してクロウの手を握り返した。
波打ち際からは少し離れた砂浜に二人は腰を下ろすと、優香は目の前の海を眺めた。
波の音と、遠くからの小さなはしゃぎ声がいくつか聞こえる。
優香はしばらく周囲の音に耳を澄ませていると、クロウが不意に口を開いた。
「……なあ、告白って誰にするんだ?」
思いもよらない質問に優香はドキリと心臓が唸った。
(やっぱり聞かれてた……!)
ひどく動揺した優香は、まさか「クロウだよ」と言う事など出来ず、声を出せずに黙りこんでしまった。
その様子を見たクロウは、優香が動揺している事にすぐに気付き、言葉を続ける。
「俺に言えねえ相手なのか? まさか遊星とかジャックとかじゃ無えよな!?」
クロウは優香の方へ顔を向き、真剣な眼差しで問う。
返答に困った優香は、このまま思い切って告白しようと思ったが、やはりクロウがどう思っているのか考えると怖くて聞くことができない。
黙って何も答えない優香に、痺れを切らせたクロウは、強引に優香を自分の胸の中へと引き寄せた。
「く、クロウ?」
「……俺は優香の事が好きだ。他の奴が好きだとしても誰にも渡さねえ」
切ない表情で優香の耳元で囁くクロウの言葉に、優香は耳を疑った。
(クロウも私の事が好き……?)
優香は夢かと一瞬疑ったが、自分を力いっぱい抱き締めるクロウの腕が現実だと実感させた。
ドキドキと高鳴る心臓がクロウに聞こえそうで余計にドキドキしてしまう。
優香はそれを悟られないよう、そっとクロウの背に腕を回した。
「私が告白しようとしてた相手は――クロウだよ。ボマーさんにはクロウとの事で相談に乗ってもらってたの。
先に告白されちゃったけど……私もクロウが好きだよ」
そう言って、クロウの腕の中で優香はその胸に頭を預けた。
彼の胸の中は温かく、強い安心感を心から感じる。
「んだよ、ボマーとの相談って俺の事だったのか」
「だってクロウにさり気にアプローチしても、全然気付いてくれないし……。ボマーさんに相談とか愚痴とか聞いてもらってたの」
「はあ!? 俺だってこの前思い切って『好きだ』って告白したら『私もBF好きだよ』とか関係ねえ事言いやがって!」
「え!? あれって告白だったの!? てっきりBFの話題かと……でもこれでお互い様でしょ」
「あのなぁ……」
優香はふふっと小さく笑みを零す。
不服そうな表情のクロウだったが、優香に釣られてかすかに顔をほころばせた。
しばらく抱き合ったまま、見つめ合った二人は顔を近づけ互いの唇を重ねた。
触れるだけのキスだったが、優香は甘くとろけるような感触を感じたのだった。
そして顔や耳を真っ赤にさせたクロウが「帰るか」と優香の手を取った。
数日後。
クロウが宅配の仕事から帰ってくると、優香の部屋から楽しそうに誰かと会話している優香の声が聞こえた。
(遊星かジャックか?)
こんなに楽しそうに喋る優香も珍しい。
相手が気になったクロウは、偶然を装って優香の部屋に入ることにした。
「優香、明日の飯って――」
『そうか、クロウとは両想いになったのだな』
「うん、おかげ様で……って、クロウ!?」
部屋に入ってみると、優香の目の前のPCのモニターにはボマーの姿があった。
どうやらモニター越しで会話をしていたらしい。
状況が把握出来たクロウは、驚く優香を気にせずモニターの前へ近寄り、笑みを浮かべてボマーへと声を掛けた。
「よお、元気そうだな。ボマー」
『クロウか、お前も元気そうだな。優香とは上手くいっているか?』
「……ま、まあ、それなりによ。なんつーか……ありがとな」
急に礼の言葉を口にするクロウに、ボマーは意味が分からず不思議そうな顔をした。
『何がだ?』
「だ、だから、俺と優香の事応援してくれた事だよ! ……今こうやって優香といれんのもお前のお陰だ」
ぶっきらぼうに言うと、クロウは照れくさいのかプイっと顔を逸らした。
そんなクロウの反応を見て、優香はクスっと笑い、ボマーはやれやれといった顔で答える。
『私は別に何もしていない。優香に助言をしたくらいだ』
「でも、ボマーさんって私たちの恋のキューピットには間違いないって!」
『……私が……キューピット……』
「何でそこでときめくんだよ、おい」
クロウの少し引き気味の表情での冷たい突っ込みは、既にボマーの耳には届いていなかった。
この後、ボマーが恋のキューピットだというのを優香が周囲の人間に広げていくのを、全力でクロウは阻止していく派目となった――。
fin.
<あとがき>
ようするにボマーさんを出したかった。
ボマーさん好きです、大好きです。
今度マジでボマーさん夢書こうかしら、と思ったら、クロウ夢の案しかでない。
どういう事なんだ。
ボマーさんは、ヒロインの味方です。
タイトルは思いつかなかったので、もうボマーさんにした。
あれ、これなんてボマーさん病?
シティ中央部と比べ人影は少ないのだが、旅を始める者など新しいスタートを踏み始める者の姿を見かける事ができる。
そして、ここにも今新しいスタートを踏み始めようとするボマーの姿があった。
「わざわざ私の見送りになどいらなかったものを」
荷物をD・ホイールに載せながらボマーが言うと、
優香とクロウはその荷物を乗せるのを手伝って口を開いた。
「だってボマーさんが旅に出るって聞いて、いてもたってもいられなくて」
「ああ、遊星やジャックは鬼柳の方に見送りにいったし、ボマーの方にも行ってやらねえとなと思って。
お前は俺達の『仲間』なんだからよ」
「優香、クロウ……」
一度は自分は死してダークシグナーとなりこの二人を傷つけ、操られていたといっても自分が限界まで追い詰めたのは事実。
本来ならばこうやって見送りになど来てくれるどころか、
『仲間』と呼ばれる資格もあるはずもない。
だが、優香とクロウや遊星達はダークシグナーへ堕ちた自分のやった過ちを許してくれた。
ボマーはあまり表情には出さないが、心から二人に感謝していた。
荷物をD・ホイールへとすべて置くと、優香は何か思いだしたようにボマーの方へと振り返った。
「ボマーさん、旅に出るって暫くはこっちに戻ってこないって事だよね?」
「ああ、私はもう一度自分を見つめ直し、故郷へは一度戻ろうと思う」
「そっかー……。しばらくボマーさんと話できないのかぁ。子供さん達にもよろしくね」
ボマーが暫くは戻ってこないと聞いて、優香は少し残念そうに呟く。
それを見たクロウは、面白くない様に眉をしかめた。
「なんだよ、ボマーと話って」
「あ、ボマーさんとはね、いろいろ相談とか乗ってもらってたんだ」
ね、とボマーの方を向いて優香が訊くと、ボマーは静かに頷いて付け加える。
「ああ、優香とはこの前まで二人でよく会っていた」
「ふ、二人!?」
「うん、3日前くらいはボマーさんの家に遊びに行ったよ」
「はああっ!?」
次々と飛び出る驚愕の事実に、思わずクロウは素っ頓狂な声をあげた。
優香がボマーの家に行った事どころか、ボマーと二人で会っていた話など一度も聞いた事もない。
優香とボマーは、今回まともに話すのは初めてだろうと思っていた矢先の事実だった。
「ちょっと待て! 俺は聞いてねえぞ、んな話!」
クロウはつい声を荒げて優香へと問う。
「あれ、クロウに言ってなかったっけ? 遊星達には言ったんだけどなぁ……」
優香はクロウとは視線を合わせようとせず、とぼけた口調で言った。
自分には話さず遊星達には言っている事に、クロウは大きく眉をしかめたが、
それより今はボマーの家に行って何をしていたかだ。
本当に遊びに行っていたのならまだしも、もしも……という微かな不安がクロウを襲う。
「遊星だけかよ……それよりもボマー! その家ん中で優香に、その……何もしてねえだろうな!」
クロウより数倍は大きい身体をしているボマーにビクともせず、ギロリと睨んでクロウは言い放った。
ボマーは予想通りの反応を示したクロウに、フッと思わず笑みを零す。
「私と優香がそんな関係だと思うか? ただ相談に乗っただけと言っただろう」
「うっ……ま、まあそうだが、その相談って何なんだよ」
「それは私より優香に直接聞いてみたらどうだ?」
ボマーに横目で見られ、突然話を振られれた優香は「えっ」と驚くと、
しばらく口ごもって、俯いてしまった。
急に口ごもった優香にクロウは訳が分からず、ボマーに理由を聞こうとすると
既に彼はヘルメットを被りD・ホイールに乗っていた。
「お、おい、ボマー! もう行くのかよ!?」
「そろそろ私も時間でな。クロウ、優香の事をよろしく頼むぞ。それと――優香」
名前を呼ばれ、ボマーの方へと俯いていた顔を上げる優香。
ボマーと一瞬目が合い、何時になく真剣な目つきに優香は神妙な表情を浮かべた。
「告白、優香ならきっと上手くいくはずだ」
軽く微笑んで優香に告げると、D・ホイールのエンジンを掛け、ボマーはその場を立ち去って行った。
クロウと優香は彼の姿が見えなくなるまで、しばらくその姿を見送った。
それからの帰り道、ブラックバードに乗せてもらい、しっかりとクロウにしがみ付いていた優香は、前で運転するクロウの表情をこっそり窺った。
だが、ヘルメットをしているためクロウの表情は窺えない。
ボマーと別れてからクロウとは一言も喋っていない。
(もしかしてボマーさんとの別れがショックだったとか……?)
行き道はいろんな事を喋って来ただけに、急に黙り込んでしまったクロウが流石に心配になる。
優香は何か話しかけようと話題を模索していると、急にD・ホイールが止まった。
もうガレージに着いたのかと思い、ヘルメットを取り優香は辺りを見渡したが、そこは見慣れない景色。
代わりに目の前には青い海が広がっていた。
「クロウ、ここは……?」
「へへっ、たまにはこういう所もいいだろ?ほら、早く行こうぜ!」
クロウがさっさと行くぞとばかりに促すと、優香の手を取って、海へと駆け出した。
先程の沈んだ様子とは打って変わって、はしゃぐクロウに優香は戸惑いながらも笑みを零してクロウの手を握り返した。
波打ち際からは少し離れた砂浜に二人は腰を下ろすと、優香は目の前の海を眺めた。
波の音と、遠くからの小さなはしゃぎ声がいくつか聞こえる。
優香はしばらく周囲の音に耳を澄ませていると、クロウが不意に口を開いた。
「……なあ、告白って誰にするんだ?」
思いもよらない質問に優香はドキリと心臓が唸った。
(やっぱり聞かれてた……!)
ひどく動揺した優香は、まさか「クロウだよ」と言う事など出来ず、声を出せずに黙りこんでしまった。
その様子を見たクロウは、優香が動揺している事にすぐに気付き、言葉を続ける。
「俺に言えねえ相手なのか? まさか遊星とかジャックとかじゃ無えよな!?」
クロウは優香の方へ顔を向き、真剣な眼差しで問う。
返答に困った優香は、このまま思い切って告白しようと思ったが、やはりクロウがどう思っているのか考えると怖くて聞くことができない。
黙って何も答えない優香に、痺れを切らせたクロウは、強引に優香を自分の胸の中へと引き寄せた。
「く、クロウ?」
「……俺は優香の事が好きだ。他の奴が好きだとしても誰にも渡さねえ」
切ない表情で優香の耳元で囁くクロウの言葉に、優香は耳を疑った。
(クロウも私の事が好き……?)
優香は夢かと一瞬疑ったが、自分を力いっぱい抱き締めるクロウの腕が現実だと実感させた。
ドキドキと高鳴る心臓がクロウに聞こえそうで余計にドキドキしてしまう。
優香はそれを悟られないよう、そっとクロウの背に腕を回した。
「私が告白しようとしてた相手は――クロウだよ。ボマーさんにはクロウとの事で相談に乗ってもらってたの。
先に告白されちゃったけど……私もクロウが好きだよ」
そう言って、クロウの腕の中で優香はその胸に頭を預けた。
彼の胸の中は温かく、強い安心感を心から感じる。
「んだよ、ボマーとの相談って俺の事だったのか」
「だってクロウにさり気にアプローチしても、全然気付いてくれないし……。ボマーさんに相談とか愚痴とか聞いてもらってたの」
「はあ!? 俺だってこの前思い切って『好きだ』って告白したら『私もBF好きだよ』とか関係ねえ事言いやがって!」
「え!? あれって告白だったの!? てっきりBFの話題かと……でもこれでお互い様でしょ」
「あのなぁ……」
優香はふふっと小さく笑みを零す。
不服そうな表情のクロウだったが、優香に釣られてかすかに顔をほころばせた。
しばらく抱き合ったまま、見つめ合った二人は顔を近づけ互いの唇を重ねた。
触れるだけのキスだったが、優香は甘くとろけるような感触を感じたのだった。
そして顔や耳を真っ赤にさせたクロウが「帰るか」と優香の手を取った。
数日後。
クロウが宅配の仕事から帰ってくると、優香の部屋から楽しそうに誰かと会話している優香の声が聞こえた。
(遊星かジャックか?)
こんなに楽しそうに喋る優香も珍しい。
相手が気になったクロウは、偶然を装って優香の部屋に入ることにした。
「優香、明日の飯って――」
『そうか、クロウとは両想いになったのだな』
「うん、おかげ様で……って、クロウ!?」
部屋に入ってみると、優香の目の前のPCのモニターにはボマーの姿があった。
どうやらモニター越しで会話をしていたらしい。
状況が把握出来たクロウは、驚く優香を気にせずモニターの前へ近寄り、笑みを浮かべてボマーへと声を掛けた。
「よお、元気そうだな。ボマー」
『クロウか、お前も元気そうだな。優香とは上手くいっているか?』
「……ま、まあ、それなりによ。なんつーか……ありがとな」
急に礼の言葉を口にするクロウに、ボマーは意味が分からず不思議そうな顔をした。
『何がだ?』
「だ、だから、俺と優香の事応援してくれた事だよ! ……今こうやって優香といれんのもお前のお陰だ」
ぶっきらぼうに言うと、クロウは照れくさいのかプイっと顔を逸らした。
そんなクロウの反応を見て、優香はクスっと笑い、ボマーはやれやれといった顔で答える。
『私は別に何もしていない。優香に助言をしたくらいだ』
「でも、ボマーさんって私たちの恋のキューピットには間違いないって!」
『……私が……キューピット……』
「何でそこでときめくんだよ、おい」
クロウの少し引き気味の表情での冷たい突っ込みは、既にボマーの耳には届いていなかった。
この後、ボマーが恋のキューピットだというのを優香が周囲の人間に広げていくのを、全力でクロウは阻止していく派目となった――。
fin.
<あとがき>
ようするにボマーさんを出したかった。
ボマーさん好きです、大好きです。
今度マジでボマーさん夢書こうかしら、と思ったら、クロウ夢の案しかでない。
どういう事なんだ。
ボマーさんは、ヒロインの味方です。
タイトルは思いつかなかったので、もうボマーさんにした。
あれ、これなんてボマーさん病?