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名前変換
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最近、名前がよく教室に遊びに来る。
今も白石と楽しそうに話している。
きっと白石のことが好きなのだろう。
自分の前ではあんなに楽しそうに笑っているところを見たことがない。
ただ、残念ながら白石の方はそうでも無いことを俺は知っている。
謙也は名字のことどう思っとるんやとか2人はお似合いやと思うでとか俺に言ってくるのだ。
これは完全に脈ナシだろう。
そろそろかなと席を立つ準備を始める。
やっぱり好きな人との会話は大変なのだろう。
いつも名前はチラチラとこちらを見て助け舟を求めてくるのだ。
今回も例に漏れず先程からチラチラとこちらを見ている。
一呼吸。
浪速のスピードスターだとしても時間が必要な時もあるのだ。
なぜなら俺は名前が好きだから。
好きすぎて名前をずっと見ていたら悲しいかな白石への好意にも気がついてしまった。
好きな人が好きな人と話しているとこに突撃するなんて、一呼吸でも足りないくらいやわ。
「なんや偉い楽しそうに話しとるなあ」
意を決していつもの様に話に混ざる。
俺は知っている、俺が来ると名前がほっとした様な顔をすること、他愛のない会話がチャイムの音が鳴るまで続くことを。
時は流れ放課後。
俺は1人教室でぼけーとしていた。
浪速のスピードスター足るもの部室に一番乗りや!と教室を飛び出そうとしたところ、白石に捕まった。
大事な話があるから教室残ってくれと真顔な顔で言われたらそりゃ頷くしかない。
しかし、当の本人である白石の姿が見つからない。
俺が待つの苦手なの知ってるやろ。
「あいつどこ行ったんや…」
ひとりごとを呟いた次の瞬間、教室のドアが開く。
名前だ。
「あれ?白石くんは?」
名前は俺の顔を見るなり慌ててキョロキョロと白石を探し始めた。
名前も白石に呼び出されたんだろうか。
何がしたいんや、白石。
「白石やのうて、俺にしたらええのに」
「えっ」
慌てふためく名前の姿を見てぽろりと心の声が飛び出た。
一度溢れた言葉は止まらない。
「名前が白石好きなのは分かっとる!白石がすげえええ奴なのも分かっとる。けど、白石モテるから大変やで!俺にしときや!俺だったら絶対悲しい思いさせへん!」
「ま、待って!待って謙也くん!」
言ってしまった後に自分のアプローチ下手すぎん?とかもっといい言葉あったやろとか色々思ったがもう遅い。
目の前には顔を真っ赤にさせて立っている名前が居た。
「謙也くん違うの…」
そっと名前の小さな手が可愛くラッピングされた袋を差し出す。
「あ、あの今日が謙也くんの誕生日だって聞いたから…」
「お、おおきに」
名前の手からそれを受け取る。
受け取る瞬間に触れた手を離すのが勿体なくて握れば名前は耳まで真っ赤にした。
言葉にしなくても名前から感情が伝わってくる。
それでも確かめたかった。
「白石と楽しそうに話してたんは?」
「…謙也くんの話してた」
「こっちたまに見るから助け舟求めとるんかと」
「つい見ちゃうじゃん」
もういいかなと言わんばかりに名前は俯く。
「名前、好きや」
「私も好き」
プレゼントに貰ったベルトを付けて部活に向かう。
「よう似合っとるやん」
「全部知っとったんやな」
横に来た白石に口を尖らせる。
なんのことやと言う男にお礼を言えば嬉しそうに笑ったのだった。
Happybirthday 謙也!!!
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