君と恋の100日戦争
君の名は!
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昨日の形勢逆転がなんとやら。
「名字って渋い趣味してるんだね」
肩を震わせて笑う幸村くん。
私が水戸黄門だったら印籠突き付けて幸村くんを土下座させることができるのに…!
実際のとこ同級生、しかも私の方が何故か若干立場が弱い。
それにしても、だ。
「丸井くんチクったな…」
「チクったなんて人聞きの悪い。丸井は面白い話を教えてくれただけだよ」
「それを人はチクったって言うの!」
前回のバレンタインデーはクラスメイトのよしみでチョコをあげたが来年は絶対あげないと心に誓う。
「悔しい〜どうしたら幸村くんにぎゃふんと言わせれるんだろう」
「本人の前で言うのそれ」
「影で言おうが筒抜けな気がするから」
幸村くんの目と耳は色んなところに付いている気がする。
想像したら絵面がホラーで何ともいえなくなってしまった。
無駄なことを考えるのはやめて次の授業の教科書を出す。次は日本史だ。
「教科書忘れちゃった。名字見せて」
私の返事を待たずに幸村くんは机を引っ付ける。
「待って、私まだ見せるなんて言ってないよ!」
「どうせ先生に忘れたって言ったところで隣に見せてもらえって言われるだけだよ」
ごもっともだ。こう言われたら返す言葉もない。
しぶしぶと二人の間に教科書を広げる。
「見せてあげるからぎゃふんって言ってよ」
「そのお願いの仕方惨めにならない?」
私がなにか言い返そうとした瞬間に先生がガラリと教室のドアを開けた。
悔しい思いを抱いたまま授業が始まる。
時代劇にハマっている私には楽しいはずの授業なのだが、やはりそこは勉強、うつらうつらと眠くなってきてしまう。
ぼけーとしていると教科書に描かれた織田信長の肖像画に横から手が伸びる。
「なにやってんの?」
「名字の期待に応えようと思って」
「?」
先生にバレないよう小声で聞けばよく分からない返答。
幸村くんの手に持たれたシャーペンがあれよえれよのうちに織田信長を大うつけに変えていく。
しょうもない落書きをされた織田信長から伸びる吹き出しに一言。
ぎゃふん
いや、言ってるの幸村くんじゃなくて織田信長だし、私の教科書だしと突っ込む前に思わず笑ってしまった私は先生に注意される羽目になった。
横で声を殺して笑う幸村くんを見て暫く許さないでおこうと思うのだった。