君と恋の100日戦争
君の名は!
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こんなに虚しい昼ごはんがあるだろうか。
たくさんの人が賑わう学食で1人で焼き鯖定食に向き合う私。
そうぼっち飯である。
事の発端は教室に慌てて入ってきた友達からの一言だった。
「名前、ごめん!先生に呼び出されてご飯行けなくなっちゃった」
泣きそうな顔で言う彼女に大丈夫だよと笑顔で答えたのはいいが、学食で食べようと約束していた為弁当はなし、購買は休憩ダッシュを決めた生徒たちで溢れかえっており、絶望しながら私は学食に来る羽目になってしまった。
流石に1人は気まずい。
周りの騒がしさが余計に惨めな気持ちを加速させていく。
ガタリ
横の椅子が動く音。
ええーーー他にも席空いてるじゃん?!なんで私の横なの…。
気まずさに焼き鯖の味が消えていく。
美味しく頂けないなんて勿体無い。
「鯖ちょっと分けてよ」
聞きなれた声がする。
横を見ると幸村くん。
どうやら先程、私の横に座ったのは幸村くんだったようだ。
「幸村くんもぼっち飯なの?」
幸村くんに鯖を取られないように遠ざけながら言うとそんなわけと笑った。
「名字がぼっち飯してるの可哀想だから来てあげただけだよ」
いつものからかいだとしても、今の私には有難い。
あの幸村くんが光り輝いて見える。
「神様、仏様、幸村様〜!」
「神様な俺に鯖分けてくれない?俺が並んだ時売り切れててさ」
少し悩んで貴重な鯖を差し出す。
今日くらいは許してあげよう。
「ちょっとだけだよ」
「はいはい」
幸村くんの箸が鯖の身を掴む。
関節キスじゃん、と横の男を見ても平然としているので私も気にしないでおこう。
そうでも思わないとうまく説明できない感情が彼につつかれたこの鯖の味を分からなくする気がしたのだ。
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