不運はつきもの。
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その日は、ただの雑務だった。
「イマイ少将、非番だって」
「じゃあ寮だな。これ届けてきてくれ」
軽いノリで押し付けられた封筒。
重要書類でもなんでもない、ただの届け物。
(少将に直接渡すの、地味に緊張するんだよな……)
そう思いながら、寮の廊下を歩く。
昼前。非番。やけに静かだ。
部屋番号を確認して、ノック。
「イマイ少将、届け物です。」
――ガチャ。
扉が開いた。
そして俺は、
人生で一番、視線の置き場に困った。
「……ん?」
イマイ少将は、明らかに今起きたばかりという顔をしていた。
寝癖のついた黒髪。
少し眠たげで、無防備な目。
……無防備?
(いや、待て。)
ここまでは、まだいい。
問題は――服装だ。
ワイシャツ一枚。
しかも、ボタンは全開。
だらしない、というより、
昨晩の空気をそのまま引きずってきたような格好。
(……っ。)
一瞬、呼吸が止まる。
自覚もなくさらされている胸元。
体のラインが、やけに目に入る。
俺の顔が、熱を持つのが分かった。
(……やば……)
慌てて視線を逸らそうとして、
それでも、目が勝手に戻ってしまう。
反射的に下を見る。
ズボンは、履いている。
(……よし。)
意味の分からない安堵を覚えた次の瞬間、
もっと致命的なものが視界に入った。
首元。
鎖骨。
胸元。
露出している肌という肌に、
はっきり分かる痕が残っている。
(……え。)
一つ、二つじゃない。
(……え???)
まるで、隠す気もなかったかのような数のキスマーク。
顔が、かっと熱くなる。
(……少将って、こんな……。)
冷静で、隙がなくて、
近寄りがたいくらいの人だと思っていた。
(……こんなに、隙だらけな人だったのか……?)
そのギャップに、頭が追いつかない。
「……どうした?」
イマイ少将は、不思議そうに首を傾げた。
その仕草が、追い打ちをかける。
シャツがさらにずれて、
痕が、はっきり見える。
(だめだ、見ちゃだめだ!!)
「と、届け物です!!」
声が、思い切り裏返った。
「ああ、ありがとう。」
少将は、本当にいつも通りだった。
こちらの動揺など、微塵も気づいていない。
封筒を受け取り、
サインを書き、返してくる。
その間、俺は完全に硬直していた。
顔が熱い。
耳まで赤いのが、自分でも分かる。
「……?」
イマイ少将が、首を傾げる。
「何か、変だったか?」
変だったか、じゃない。
色々と、刺激が強すぎる。
「い、いえ!!
な、なんでもありません!!」
敬礼して、
俺は全力でその場を離れようとした。
――バタン。
背後で、扉が閉まる音。
(……助かった……)
心臓を押さえながら、廊下を早足で進む。
頭の中には、
無防備な格好と、痕だらけの肌が焼き付いたままだ。
イマイ少将が、
あんなにも隙だらけで、色気のある人だったなんて。
その事実を、
俺はできれば、忘れたいと思った。
────────────────────────────────
扉が閉まったあと、部屋はまた静かになった。
「……。」
カイトはその場に立ったまま、少しだけ首を傾げる。
(さっきの兵士……。)
明らかに様子がおかしかった。
顔は赤いし、声は裏返っていたし、やたらと目を逸らしていた。
(……俺、何か変だったか?)
寝起きだからか。
非番だからか。
そんなことを考えながら、無意識に部屋の奥へ歩く。
ふと、姿見が視界に入った。
「……」
一瞬、思考が止まる。
次の瞬間。
「…………は???」
硬直。
そこに映っていたのは——
ボタン全開のシャツ。
無防備に露出した上半身。
そして。
首元。
鎖骨。
胸元。
「……え、ちょ……。」
近づく。
確認する。
「……なんだこれ。」
点在どころではない。
はっきりと分かる痕が、いくつも、いくつも。
「…………。」
数秒の沈黙。
「――――はぁぁぁぁ!?」
ようやく、声が出た。
「ちょ、ちょっと待て!? 俺、昨日なにした!?」
慌ててシャツを脱いで姿見できちんと確認する。
「いや、これ……。」
昨日、酒を飲んだ。
そこまでは覚えている。
それ以降は——真っ白だ。
「……。」
しばらくして、先ほどの兵士の顔が脳裏に浮かぶ。
視線を彷徨わせる様子。
「……あ。」
「……なるほど。」
腑に落ちた。
(あれは、こういうことか……。)
溜息をついて、額を押さえる。
「……またか。」
初めてじゃない。
思い返せば、これまでにも何度もあった。
酒を飲んだ翌朝、記憶が抜け落ちて、
同じような痕が残っていることが。
(犯人は……。)
考えるまでもない。
「……スモーカー、だよな。」
他に、心当たりはない。
ただ。
「……なんでやってるのかは、分からないんだよな……。」
困るが、怒るほどでもない。
時間が経てばどうせ消える。
(……酔ってやっちまう癖、とか?)
あの男なら、ありえなくもない。
「……まあ、覚えてない俺も悪いし……。」
ため息をつきながら、替えのシャツを取り出す。
「……ほんと、勘弁してくれ。」
そう呟きつつ、
どこか本気で止める気もない自分に、カイトはまだ気づいていなかった。
「イマイ少将、非番だって」
「じゃあ寮だな。これ届けてきてくれ」
軽いノリで押し付けられた封筒。
重要書類でもなんでもない、ただの届け物。
(少将に直接渡すの、地味に緊張するんだよな……)
そう思いながら、寮の廊下を歩く。
昼前。非番。やけに静かだ。
部屋番号を確認して、ノック。
「イマイ少将、届け物です。」
――ガチャ。
扉が開いた。
そして俺は、
人生で一番、視線の置き場に困った。
「……ん?」
イマイ少将は、明らかに今起きたばかりという顔をしていた。
寝癖のついた黒髪。
少し眠たげで、無防備な目。
……無防備?
(いや、待て。)
ここまでは、まだいい。
問題は――服装だ。
ワイシャツ一枚。
しかも、ボタンは全開。
だらしない、というより、
昨晩の空気をそのまま引きずってきたような格好。
(……っ。)
一瞬、呼吸が止まる。
自覚もなくさらされている胸元。
体のラインが、やけに目に入る。
俺の顔が、熱を持つのが分かった。
(……やば……)
慌てて視線を逸らそうとして、
それでも、目が勝手に戻ってしまう。
反射的に下を見る。
ズボンは、履いている。
(……よし。)
意味の分からない安堵を覚えた次の瞬間、
もっと致命的なものが視界に入った。
首元。
鎖骨。
胸元。
露出している肌という肌に、
はっきり分かる痕が残っている。
(……え。)
一つ、二つじゃない。
(……え???)
まるで、隠す気もなかったかのような数のキスマーク。
顔が、かっと熱くなる。
(……少将って、こんな……。)
冷静で、隙がなくて、
近寄りがたいくらいの人だと思っていた。
(……こんなに、隙だらけな人だったのか……?)
そのギャップに、頭が追いつかない。
「……どうした?」
イマイ少将は、不思議そうに首を傾げた。
その仕草が、追い打ちをかける。
シャツがさらにずれて、
痕が、はっきり見える。
(だめだ、見ちゃだめだ!!)
「と、届け物です!!」
声が、思い切り裏返った。
「ああ、ありがとう。」
少将は、本当にいつも通りだった。
こちらの動揺など、微塵も気づいていない。
封筒を受け取り、
サインを書き、返してくる。
その間、俺は完全に硬直していた。
顔が熱い。
耳まで赤いのが、自分でも分かる。
「……?」
イマイ少将が、首を傾げる。
「何か、変だったか?」
変だったか、じゃない。
色々と、刺激が強すぎる。
「い、いえ!!
な、なんでもありません!!」
敬礼して、
俺は全力でその場を離れようとした。
――バタン。
背後で、扉が閉まる音。
(……助かった……)
心臓を押さえながら、廊下を早足で進む。
頭の中には、
無防備な格好と、痕だらけの肌が焼き付いたままだ。
イマイ少将が、
あんなにも隙だらけで、色気のある人だったなんて。
その事実を、
俺はできれば、忘れたいと思った。
────────────────────────────────
扉が閉まったあと、部屋はまた静かになった。
「……。」
カイトはその場に立ったまま、少しだけ首を傾げる。
(さっきの兵士……。)
明らかに様子がおかしかった。
顔は赤いし、声は裏返っていたし、やたらと目を逸らしていた。
(……俺、何か変だったか?)
寝起きだからか。
非番だからか。
そんなことを考えながら、無意識に部屋の奥へ歩く。
ふと、姿見が視界に入った。
「……」
一瞬、思考が止まる。
次の瞬間。
「…………は???」
硬直。
そこに映っていたのは——
ボタン全開のシャツ。
無防備に露出した上半身。
そして。
首元。
鎖骨。
胸元。
「……え、ちょ……。」
近づく。
確認する。
「……なんだこれ。」
点在どころではない。
はっきりと分かる痕が、いくつも、いくつも。
「…………。」
数秒の沈黙。
「――――はぁぁぁぁ!?」
ようやく、声が出た。
「ちょ、ちょっと待て!? 俺、昨日なにした!?」
慌ててシャツを脱いで姿見できちんと確認する。
「いや、これ……。」
昨日、酒を飲んだ。
そこまでは覚えている。
それ以降は——真っ白だ。
「……。」
しばらくして、先ほどの兵士の顔が脳裏に浮かぶ。
視線を彷徨わせる様子。
「……あ。」
「……なるほど。」
腑に落ちた。
(あれは、こういうことか……。)
溜息をついて、額を押さえる。
「……またか。」
初めてじゃない。
思い返せば、これまでにも何度もあった。
酒を飲んだ翌朝、記憶が抜け落ちて、
同じような痕が残っていることが。
(犯人は……。)
考えるまでもない。
「……スモーカー、だよな。」
他に、心当たりはない。
ただ。
「……なんでやってるのかは、分からないんだよな……。」
困るが、怒るほどでもない。
時間が経てばどうせ消える。
(……酔ってやっちまう癖、とか?)
あの男なら、ありえなくもない。
「……まあ、覚えてない俺も悪いし……。」
ため息をつきながら、替えのシャツを取り出す。
「……ほんと、勘弁してくれ。」
そう呟きつつ、
どこか本気で止める気もない自分に、カイトはまだ気づいていなかった。
