不運はつきもの。
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朝。
ベルトを締めようとして、カイトは手を止めた。
……入らない。
いつもの穴に、金具がかからない。
一瞬だけ黙ってから、隣の穴へ。
きゅ、と締め直して、静かに息を吐いた。
「……はあ。」
ここ二か月。
外回りはほとんどなく、デスクワークばかり押し付けられた。
デスクワークが苦手な海兵は少なくない。
だが、そのしわ寄せを自分に回すな――そう怒鳴りかけて、額に血管が浮く。
すぐに深呼吸。
感情を押し殺し、何事もなかったように支度を進めた。
昼。
少将室の扉がノックされる。
「失礼するわ。」
入ってきたのはヒナだった。
仕事の話をしにきたのだろう。口を開いて数秒、視線はすぐにデスクの上へ落ちる。
タンパク質と野菜中心の、味気ない昼食。
ヒナは目を細め、ソファに腰を下ろした。
「……まだ昼、食べてなかったのね。」
「今からだ。書いても書いても書類が終わらなくてよー…。」
「そう。」
一拍置いてから、ヒナは書類に目を向けるカイトの顔をじっと見る。
視線に気づいたカイトは、そもそも何しに着たんだ?と言いかけると。
「あなた、また太ったでしょ」
「……。」
一瞬、完全に固まる。
「お前、まじでさ……。」
嫌そうに顔をしかめるカイトに、ヒナは一切動じない。
「事実を言っただけよ。
元々太りやすい体質でしょう。」
「別にいいけど……言い方ってもんがあるだろ。」
「ないわ。」
きっぱり。
ちなみに、別にいいと言いつつも、カイトは多少気にしてはいる。
そのとき、扉が再び開いた。
「やっほ~、何の話してんの?」
間の抜けた声とともに現れたのはクザンだった。
一瞬固まるヒナとカイトだったが、大将相手にということもあり素直に話す。
「へ~、じゃあチェックしよっか。」
「何がじゃあなんですか! 全然理由になってないです!」
制止する間もなく、クザンは近づいてくる。
「最近運動してない顔してるもんね~。」
「顔…え、顔にまで出てきてます!? 相当太ったか…?」
ショックな一言にクザンの行動を止めることができない。
肩、腕、腹部。
勝手にぺたぺた触られる。
はっとし、本気で振り払おうとして、ふと止まる。
――大将だしな。
その隙を逃さず、クザンはスーツのボタンをさっと全て外す。
「クザンさん!」
「ん~、やっぱりちょっと柔らかくなってる。でもまだまだ肉は付けた方が好みかなあ。」
「何言ってるんですか!!」
「あ、さっきの顔のはやつは嘘だから気にしないでね。」
「人の話を聞け!!!」
気づけば、上着ははだけ、シャツのボタンにも指がかかり、ベルトに手が伸び――
「ごほん。」
鋭い咳払い。
ヒナの視線が、完全に氷点下だった。
「……いい加減、その辺で終われないかしら?」
「おっと、ごめんごめん。」
軽い調子で手を離し、踵を返すクザン。
去り際に、悪びれもなく尻をひと撫でしていく。
「……っ!」
「じゃ、またね~」
扉が閉まる。
沈黙。
「……。」
「……。」
ヒナが、ため息をついた。
「あの人のことはよく知ってるでしょ。大将の、特にあの人のやることには注意しなさい。」
「……すまん。」
「こんな状況、ちゃんと断りなさい。」
叱責は真っ当だった。
カイトは素直にうなずく。
少し間を置いてから、恐る恐る口を開いた。
「……あのさ、タイミング良ければ、運動がてら特訓でも――」
「ごめんなさいね、任務以外で汗はかきたくないの。」
即答。
本来の目的だった書類だけを置き、さっさと立ち上がる。
「自己管理も仕事のうちよ。」
そう言い残し、部屋を出ていった。
一人残された主人公は、ベルトに目を落とし、もう一度小さく息を吐いた。
少し水分が失われた昼食がカイトの心情を表してるようであった。
ベルトを締めようとして、カイトは手を止めた。
……入らない。
いつもの穴に、金具がかからない。
一瞬だけ黙ってから、隣の穴へ。
きゅ、と締め直して、静かに息を吐いた。
「……はあ。」
ここ二か月。
外回りはほとんどなく、デスクワークばかり押し付けられた。
デスクワークが苦手な海兵は少なくない。
だが、そのしわ寄せを自分に回すな――そう怒鳴りかけて、額に血管が浮く。
すぐに深呼吸。
感情を押し殺し、何事もなかったように支度を進めた。
昼。
少将室の扉がノックされる。
「失礼するわ。」
入ってきたのはヒナだった。
仕事の話をしにきたのだろう。口を開いて数秒、視線はすぐにデスクの上へ落ちる。
タンパク質と野菜中心の、味気ない昼食。
ヒナは目を細め、ソファに腰を下ろした。
「……まだ昼、食べてなかったのね。」
「今からだ。書いても書いても書類が終わらなくてよー…。」
「そう。」
一拍置いてから、ヒナは書類に目を向けるカイトの顔をじっと見る。
視線に気づいたカイトは、そもそも何しに着たんだ?と言いかけると。
「あなた、また太ったでしょ」
「……。」
一瞬、完全に固まる。
「お前、まじでさ……。」
嫌そうに顔をしかめるカイトに、ヒナは一切動じない。
「事実を言っただけよ。
元々太りやすい体質でしょう。」
「別にいいけど……言い方ってもんがあるだろ。」
「ないわ。」
きっぱり。
ちなみに、別にいいと言いつつも、カイトは多少気にしてはいる。
そのとき、扉が再び開いた。
「やっほ~、何の話してんの?」
間の抜けた声とともに現れたのはクザンだった。
一瞬固まるヒナとカイトだったが、大将相手にということもあり素直に話す。
「へ~、じゃあチェックしよっか。」
「何がじゃあなんですか! 全然理由になってないです!」
制止する間もなく、クザンは近づいてくる。
「最近運動してない顔してるもんね~。」
「顔…え、顔にまで出てきてます!? 相当太ったか…?」
ショックな一言にクザンの行動を止めることができない。
肩、腕、腹部。
勝手にぺたぺた触られる。
はっとし、本気で振り払おうとして、ふと止まる。
――大将だしな。
その隙を逃さず、クザンはスーツのボタンをさっと全て外す。
「クザンさん!」
「ん~、やっぱりちょっと柔らかくなってる。でもまだまだ肉は付けた方が好みかなあ。」
「何言ってるんですか!!」
「あ、さっきの顔のはやつは嘘だから気にしないでね。」
「人の話を聞け!!!」
気づけば、上着ははだけ、シャツのボタンにも指がかかり、ベルトに手が伸び――
「ごほん。」
鋭い咳払い。
ヒナの視線が、完全に氷点下だった。
「……いい加減、その辺で終われないかしら?」
「おっと、ごめんごめん。」
軽い調子で手を離し、踵を返すクザン。
去り際に、悪びれもなく尻をひと撫でしていく。
「……っ!」
「じゃ、またね~」
扉が閉まる。
沈黙。
「……。」
「……。」
ヒナが、ため息をついた。
「あの人のことはよく知ってるでしょ。大将の、特にあの人のやることには注意しなさい。」
「……すまん。」
「こんな状況、ちゃんと断りなさい。」
叱責は真っ当だった。
カイトは素直にうなずく。
少し間を置いてから、恐る恐る口を開いた。
「……あのさ、タイミング良ければ、運動がてら特訓でも――」
「ごめんなさいね、任務以外で汗はかきたくないの。」
即答。
本来の目的だった書類だけを置き、さっさと立ち上がる。
「自己管理も仕事のうちよ。」
そう言い残し、部屋を出ていった。
一人残された主人公は、ベルトに目を落とし、もう一度小さく息を吐いた。
少し水分が失われた昼食がカイトの心情を表してるようであった。
