不運はつきもの。
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その日は、任務の関係で私服だった。
軍服では目立ちすぎる。
仕事の都合で街に出る必要があり、カイトは人混みに紛れて歩いていた。
――と。
通り沿いの飲食店が、やけに騒がしい。
何事かと窓越しに覗くと、
店の中央で、ひとりの男が机に突っ伏していた。
「……寝てる?」
亭主が声をかけ、肩を揺すっても反応がない。
周りも心配し始めたころ、カイトはすぐに店へ入った。
「すみません、海軍です。」
私服なため、身分証を見せる。
「このまま放置するのは危険だ。病院へ運びます。」
亭主がほっとした顔でうなずく。
カイトは男の身体を抱え上げ――そのまま走り出した。
(重っ! こいつ、結構体鍛えてるな…。)
走りながら、ふと男が身じろぎした。
「……ん、?」
次の瞬間。
「……え?」
男――エースは、目を開けた。
視界に入ったのは、見知らぬ男の顔。
そして、自分が――
「……お姫様抱っこ?」
状況を理解した途端、全身が跳ねた。
「な、なにして――!」
暴れる。
勢い余って、カイトの腕からずり落ちた。
「っと――!」
カイトはすぐに手を伸ばすが、間に合わない。
ドサッ、と地面。
「……っ」
「悪い! 大丈夫か!」
カイトはすぐに膝をつき、落ち着いた声で言った。
「動くな。君、店で意識を失ってた。病院へ――」
「あ、ああ……。」
エースは頭を掻き、事情を察した。
「悪い。俺、よく飯食いながら寝ちまう癖があって……」
照れくさそうに頭を下げる。
「心配かけたな」
――その時。
「ひったくりだ――!!」
叫び声。
二人同時に顔を上げる。視線の先には尻もちをついた男と、走り去っていく男。
「そこの男!! 止まりなさい!!」
気づけば、二人は走り出していた。
追った先は、港近くの倉庫。
扉の隙間からそっと中を確認する。
中には――海賊がずらり。
(……ようやく見つけた。)
カイトが追っていた一味だった。中の様子を確認しつつ、でんでん虫を取り出そうとした瞬間下から声が聞こえる。
「結構あいつ足早かったな~。この隠れ家、あいつらの基地みたいだな。」
「っ!! おまえ、なんで付いてきて…!!」
まさか付いてきているとは思わなかったのか、声を荒げるカイト。
息も乱していない様子のエースの姿に二重に驚くも、その声で中の海賊にばれてしまう。
仕方ないと思ったカイトは、扉を開け言い放つ。
「――動くな!」
踏み込もうとした、その瞬間。
複数の銃口。
そして、エース。
(打たれる!)
一瞬で判断する。
「こっちだ!」
「うおっ!! そっちはちょっと…!!!」
カイトはエースの腕を掴み、そのまま背後の――海へ。
銃声。
水中。
しばらくして、音が止んだ。
浮上しようとしたカイトは、異変に気づく。
「……?」
エースが、もがいている。
「……まさか。」
すぐに泳ぎ寄り、身体を支える。
「息を止めろ!」
抱え上げて、海面へ。
エースは咳き込みながら、水を吐いた。
「おえ……っ。」
「大丈夫だ、掴まれ。」
陸へ上がった途端、カイトはエースを支えたまま走り出す。
港を離れ、細い路地へ。
ようやく止まったとき、エースは荒い息のまま顔を上げた。
(……なんだ、この人。)
ただの正義感のある人間じゃない。強い奴の動きだ。
そう、直感した。
カイトは、濡れた前髪を気にもせず、顔を覗き込む。
「苦しくないか? いきなりすまなかった…。」
近い。
水滴が首筋を伝い、ぴったりと貼りついたシャツが妙に艶かしい。
エースは、ごくりと喉を鳴らした。
(……なんだ、こいつ。)
胸の奥がざわつき、高鳴る。
「……?」
カイトはエースが怯えていると思ったのか、すぐに距離を取り、でんでんむしを取り出した。
「こちらイマイ。目標港で接触。海兵を回せ」
部下へ海賊の場所や人数、武器、エースのことなどの指示をし始める。
その時。
「見つけたぞ!」
追ってきた海賊に見つかり、カイトはすぐに前へ出る。
「下がれ。」
だが。
「――待て。」
エースが立ち上がった。
「……世話になったな。」
そう言って、馴染みのある黄色のシャツを脱ぐ。
現れた背中には白髭海賊団の刺青。
(……。)
カイトの思考が止まり目を見開く。
次の瞬間、火。
銃口へ、炎。
「――っ!」
カイトの口から、無意識に声が漏れた。
(白髭海賊団2番隊隊長…。)
「…火拳の……エース。」
エースが振り返る。
「あ、ばれちゃった?」
にかっと笑う。その笑顔とは裏腹に息を飲み、少し青ざめるカイト。
それと同時に指示を受けた海兵が集まり、交戦が始まった。
「ああ、なるほど……。」
状況を理解し、カイトの正体に納得する。
カイトも加わり、海賊を制圧。
様々なパターンを練っていたことと、思わぬ助っ人がいたおけげで思ったより、早く終わる。
地面にはのびている海賊と、背伸びするエースの姿。
大物の姿にびくびくしながらも臨戦態勢を解かない海兵たち。
「イマイ少将、火拳はどうしますか…!」
部下の一声にカイトへ体を向ける。
「イマイっていうのか。」
エースが聞く。
「下の名前は?」
「……? カイトだが?」
答えた瞬間、エースは口角を上げる。
「覚えた! また会いに来るわカイトー!」
そして、軽やかに屋根へ逃げる。
「追いますか!」
「……いや。」
カイトは視線を戻した。
「今追ったところで捕まえられない。こいつらの後処理が先だ。」
その言葉で海兵たちは海賊たちの後始末を開始する。
何故名前を覚えられたのかが気がかりではあるが、今は目の前のことに集中することにした。
一方。
屋根の上を走りながら、エースは考えていた。
(……面白い奴、見つけた。)
胸のざわめきの正体は、まだ分からない。
ただ、忘れる気はなかった。
軍服では目立ちすぎる。
仕事の都合で街に出る必要があり、カイトは人混みに紛れて歩いていた。
――と。
通り沿いの飲食店が、やけに騒がしい。
何事かと窓越しに覗くと、
店の中央で、ひとりの男が机に突っ伏していた。
「……寝てる?」
亭主が声をかけ、肩を揺すっても反応がない。
周りも心配し始めたころ、カイトはすぐに店へ入った。
「すみません、海軍です。」
私服なため、身分証を見せる。
「このまま放置するのは危険だ。病院へ運びます。」
亭主がほっとした顔でうなずく。
カイトは男の身体を抱え上げ――そのまま走り出した。
(重っ! こいつ、結構体鍛えてるな…。)
走りながら、ふと男が身じろぎした。
「……ん、?」
次の瞬間。
「……え?」
男――エースは、目を開けた。
視界に入ったのは、見知らぬ男の顔。
そして、自分が――
「……お姫様抱っこ?」
状況を理解した途端、全身が跳ねた。
「な、なにして――!」
暴れる。
勢い余って、カイトの腕からずり落ちた。
「っと――!」
カイトはすぐに手を伸ばすが、間に合わない。
ドサッ、と地面。
「……っ」
「悪い! 大丈夫か!」
カイトはすぐに膝をつき、落ち着いた声で言った。
「動くな。君、店で意識を失ってた。病院へ――」
「あ、ああ……。」
エースは頭を掻き、事情を察した。
「悪い。俺、よく飯食いながら寝ちまう癖があって……」
照れくさそうに頭を下げる。
「心配かけたな」
――その時。
「ひったくりだ――!!」
叫び声。
二人同時に顔を上げる。視線の先には尻もちをついた男と、走り去っていく男。
「そこの男!! 止まりなさい!!」
気づけば、二人は走り出していた。
追った先は、港近くの倉庫。
扉の隙間からそっと中を確認する。
中には――海賊がずらり。
(……ようやく見つけた。)
カイトが追っていた一味だった。中の様子を確認しつつ、でんでん虫を取り出そうとした瞬間下から声が聞こえる。
「結構あいつ足早かったな~。この隠れ家、あいつらの基地みたいだな。」
「っ!! おまえ、なんで付いてきて…!!」
まさか付いてきているとは思わなかったのか、声を荒げるカイト。
息も乱していない様子のエースの姿に二重に驚くも、その声で中の海賊にばれてしまう。
仕方ないと思ったカイトは、扉を開け言い放つ。
「――動くな!」
踏み込もうとした、その瞬間。
複数の銃口。
そして、エース。
(打たれる!)
一瞬で判断する。
「こっちだ!」
「うおっ!! そっちはちょっと…!!!」
カイトはエースの腕を掴み、そのまま背後の――海へ。
銃声。
水中。
しばらくして、音が止んだ。
浮上しようとしたカイトは、異変に気づく。
「……?」
エースが、もがいている。
「……まさか。」
すぐに泳ぎ寄り、身体を支える。
「息を止めろ!」
抱え上げて、海面へ。
エースは咳き込みながら、水を吐いた。
「おえ……っ。」
「大丈夫だ、掴まれ。」
陸へ上がった途端、カイトはエースを支えたまま走り出す。
港を離れ、細い路地へ。
ようやく止まったとき、エースは荒い息のまま顔を上げた。
(……なんだ、この人。)
ただの正義感のある人間じゃない。強い奴の動きだ。
そう、直感した。
カイトは、濡れた前髪を気にもせず、顔を覗き込む。
「苦しくないか? いきなりすまなかった…。」
近い。
水滴が首筋を伝い、ぴったりと貼りついたシャツが妙に艶かしい。
エースは、ごくりと喉を鳴らした。
(……なんだ、こいつ。)
胸の奥がざわつき、高鳴る。
「……?」
カイトはエースが怯えていると思ったのか、すぐに距離を取り、でんでんむしを取り出した。
「こちらイマイ。目標港で接触。海兵を回せ」
部下へ海賊の場所や人数、武器、エースのことなどの指示をし始める。
その時。
「見つけたぞ!」
追ってきた海賊に見つかり、カイトはすぐに前へ出る。
「下がれ。」
だが。
「――待て。」
エースが立ち上がった。
「……世話になったな。」
そう言って、馴染みのある黄色のシャツを脱ぐ。
現れた背中には白髭海賊団の刺青。
(……。)
カイトの思考が止まり目を見開く。
次の瞬間、火。
銃口へ、炎。
「――っ!」
カイトの口から、無意識に声が漏れた。
(白髭海賊団2番隊隊長…。)
「…火拳の……エース。」
エースが振り返る。
「あ、ばれちゃった?」
にかっと笑う。その笑顔とは裏腹に息を飲み、少し青ざめるカイト。
それと同時に指示を受けた海兵が集まり、交戦が始まった。
「ああ、なるほど……。」
状況を理解し、カイトの正体に納得する。
カイトも加わり、海賊を制圧。
様々なパターンを練っていたことと、思わぬ助っ人がいたおけげで思ったより、早く終わる。
地面にはのびている海賊と、背伸びするエースの姿。
大物の姿にびくびくしながらも臨戦態勢を解かない海兵たち。
「イマイ少将、火拳はどうしますか…!」
部下の一声にカイトへ体を向ける。
「イマイっていうのか。」
エースが聞く。
「下の名前は?」
「……? カイトだが?」
答えた瞬間、エースは口角を上げる。
「覚えた! また会いに来るわカイトー!」
そして、軽やかに屋根へ逃げる。
「追いますか!」
「……いや。」
カイトは視線を戻した。
「今追ったところで捕まえられない。こいつらの後処理が先だ。」
その言葉で海兵たちは海賊たちの後始末を開始する。
何故名前を覚えられたのかが気がかりではあるが、今は目の前のことに集中することにした。
一方。
屋根の上を走りながら、エースは考えていた。
(……面白い奴、見つけた。)
胸のざわめきの正体は、まだ分からない。
ただ、忘れる気はなかった。
