中学生編
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またしても決着のつかなかった競争を終えて龍宮寺と三ツ谷が2人揃って歩いていると、がやがやとなにやら騒がしいのに気付く。なんだろうと2人は顔を見合わせて、とりあえず皆と合流する前に寄り道をしてみることにした。
まばらではあるが観客もいて「ねぇちゃん頑張れー!」と声援まで上がっている。どうやら競技をしているらしい。軽い気持ちで野次馬に来た2人はようやくそれを目の当たりにすると、まさかの光景に愕然とした。
「ちょっと花子ちゃん、えぐくない!?」
「はっはっはっ!こんなもんで音を上げられたら困るなあ!まだまだ行くよ!」
「待って!マジでスパイクしたとこえぐれてるんだけど!」
そこには見知らぬ男3人とビーチバレーをしている花子の姿があった。
「何やってんだアイツ…」
龍宮寺の溜息に近い声に、「ハナさんらしいといえばらしいけどな」と三ツ谷は苦笑を漏らす。彼女は全く容赦することもなく豪速球のサーブを繰り出し、相手チームの男達は涙目になっている。戦意喪失しているのでこの分だと早く終わるかと得点を見れば、どうやら終盤らしいので2人は終わるのを待つことにした。
勝負はついた。結果は圧倒的にこちらの勝利。相手チームが砂浜に突っ伏していたがまず先に勝利を喜んでもバチは当たらないだろう。いえーいと仲間チームとなった男の人とハイタッチをする。それから敗北者のケアも大切かと思い、私は声援を上げてくれた観客達にひらひらと手を振りながら相手チームの2人に歩み寄った。
「きみ達には悪かったけど楽しかったよ。遊びに誘ってくれてありがとう」
「いや…俺達こんな遊びがしたかったわけじゃないんだけど…」
「でもこんな可愛げのない女だって分かっちゃったし、もうそんな気も起きないんじゃない?」
「まあ…うん」
情けなく笑う男の左頬は真っ赤に腫れていた。先程私がスパイクしたボールがクリティカルヒットしていたから。「じゃ俺達もう行くわ…」とそそくさと去っていく敗者2人。あれま、逃げられてしまった。もっと他にも遊びたかったんだけど。残念で小さくなっていく後ろ姿を名残惜しく見つめていると、「花子ちゃん」と声を掛けられた。振り返ると同じチームだった男の人が真剣な顔をしながら立っていた。そういえばこの人名前なんだっけ。
「お仲間さん行っちゃいましたよ。追いかけなくていいんですか?」
「うん、後で合流するし大丈夫だよ」
「それならいいけど…」
「そんなことよりもさ俺初めは遊びのつもりだったんだけど、ペア組んでるうちに花子ちゃんのかっこよさとか笑顔の可愛いとことか…いいな、って思っちゃって……」
「はあ…」
「良かったら連絡先教えてもらえないかな!?」
お、おお〜〜…!
これはライクじゃなくて純粋なラブな気持ちを寄せられてるんじゃないか?転生してからそういった類に縁が無さすぎて、久しぶりのこの何とも言えないむず痒い空気感に無性にテンションが上がる。当事者なのに客観的に見てしまい、青春だな〜なんて思ってしまっていた。歳とったな、私。
「なにオマエ、告られてんの?」
さて何て断ろうかと悩み始めたところで、ふと聞き慣れた声が投げ掛けられる。そちらへ咄嗟に顔を向ければ、案の定ドラケン君と三ツ谷君までいた。対決した帰りかな。やって来た2人を見た男の人は明らかにぎょっとする。まあ、見た目はガラ悪いもんね。でも2人共とっても良い子なんだよ。
ドラケン君に見下ろされた男の人はこんなに暑い夏なのに何故か顔色が青白くなっていく。もしかして、俺の連れに手ぇ出しやがって!ぶっ飛ばしてやる!的な展開を心配しているのだろうか。
「コイツのこと好きなの?」
「えっ…あ…、いや……」
「オススメは出来ねーぞ。ハナに問題があるっていうより他の連中が黙ってねぇだろうから」
「え!誰のこと?」
「ややこしくなるからハナさんはちょっと黙ってようなー」
納得がいかん。私は当事者だったのに、もう男の人にはドラケン君しか見えていない。完全に蚊帳の外である。断ろうとしてたからいいんだけどさ、それよりも三ツ谷君にまで空気読めない女認定されていることがショックです。
「それでもいいってんなら止めねーけど、」
「い、いや!よく見たら全然好みじゃなかったんで大丈夫です!す、すみませんでした!」
叫ぶように言いながら駆け足で去っていく男の人を3人で目で追う。
「おー、居なくなんの早」
「あれ?これ結局私がダメージ受けてないか?あの言い方だとよく見たらブスだったってことでしょ」
「まぁ結果オーライってことで」
「嘘でもいいからフォローしてくれよ」
私の嘆きにけらけら笑う2人。「冗談だって」とドラケン君に頭をぽんぽんと優しく叩かれる。今更2人に可愛いとか言われても困るからいいけどさ。
「そんなことより助けてくれてありがとね。どう断ろうか困ってたからさ」
「あー…別にオマエを助けたわけじゃねーんだよな」
「え?何その急なツンデレ」
べっ別にあんたを助けたわけじゃないんだからね!っていう典型的なツンデレ女子が頭を過ぎる。この台詞ってもう古いのかな。
「いや、止めてやんねーと可哀想じゃん。オレに見下ろされてるだけでビビってる男がオマエの彼氏になんの、命が幾つあっても足んねーだろ」
まさかの私じゃなくて相手の身を案じての行動だった!きみはなんていい男なんだ。いやでもちょっと待て。
「私の彼氏になるのに気が弱くてもそんな関係なくないか?何で命が幾つあっても足りないの?」
「は?本気で分かってねぇのか?」
「ハハ…、まあいいじゃん。過ぎた話だし、ハナさんだって相手に興味なかったんだろ?」
確かに興味はなかったな。名前も結局思い出せなかったし。こくり、と頷くと三ツ谷君は微笑みながら「お腹空かない?戻りがてらどっかで買ってこ」と話題をそらされる。食い意地のはってる私なら食べ物の話題を出せば誤魔化せるとでも思ったのだろうか。まあ合ってますけど!動いたからめっちゃお腹すいた。
「そういえば何で知らないヤツとビーチバレーなんかしてたの?」
「いや実はナンパされたんだよね。俺らと遊ばない?って言うから、よっしゃ鼻っ柱へし折ったろ!と思って、分かりました!私に名案があります!って返事してあの展開になったよ」
「それで相手の顔面にスパイクお見舞いしたってこと?オマエほんと容赦ねーな」
「断っても絡まれるくらいなら、こう撃退した方が相手も後腐れなく引くじゃん。残念ながら1人予想外の人もいたけど」
私が相手の立場だったら普通こんな女ドン引くけどね。まあ終わった話だし、もういいや。
焼きそばやらかき氷やら買って戻ると、焦った顔をしていたマイキー君と目が合った。中々戻ってこなかったから心配してくれていたのかもしれない。ちなみにパーちん君と場地君はいつも通りだった。お前ら薄情だな。他人とビーチバレー楽しんでた私が咎めるのもどうかと思うので何も言わないけど。私達に気付くとパーちん君はサングラスを上にずらして、私を見るなり眉根を寄せた。
「オマエどこ行ってたんだよ。心配してたぞ、マイキーが」
「うん、見りゃ分かる。ごめんよマイキー君」
「ハナならナンパされてたぞー」
「は?マジで?」
ジト目で私を睨んでいるマイキー君に買ってきた焼きそばを差し出していると、ドラケン君がいらんこと報告しだした。するとパーちん君は驚きつつも再度私を見て「物好きもいるんだな…。あんな色気のねぇ水着なのに」とか失礼なことを言っていた。でも物好きについては正直同感だ。
「はい、場地君も焼きそば食べる?」
普段では想像も出来ないくらい今日は大人しい場地君にも買ってきた焼きそばを差し出す。しかし彼は受け取らずに、ただただ私をじぃっと見つめていた。なんだなんだ、やっぱりペヤングが良かったのか。
「日焼け止め、塗ってたわりに意味なかったな」
「え"っ」
それだけ言うと場地君は焼きそばを受け取って、もそもそと食べ始めた。彼の予想外の発言に一瞬固まってしまうも、すぐに己の腕やら足を確認する。そこは残念なことに赤くなっていて。自覚してしまえば最後、ヒリヒリと痛みまで感じてきた。完全にビーチバレーが原因です、ありがとうございました。
まばらではあるが観客もいて「ねぇちゃん頑張れー!」と声援まで上がっている。どうやら競技をしているらしい。軽い気持ちで野次馬に来た2人はようやくそれを目の当たりにすると、まさかの光景に愕然とした。
「ちょっと花子ちゃん、えぐくない!?」
「はっはっはっ!こんなもんで音を上げられたら困るなあ!まだまだ行くよ!」
「待って!マジでスパイクしたとこえぐれてるんだけど!」
そこには見知らぬ男3人とビーチバレーをしている花子の姿があった。
「何やってんだアイツ…」
龍宮寺の溜息に近い声に、「ハナさんらしいといえばらしいけどな」と三ツ谷は苦笑を漏らす。彼女は全く容赦することもなく豪速球のサーブを繰り出し、相手チームの男達は涙目になっている。戦意喪失しているのでこの分だと早く終わるかと得点を見れば、どうやら終盤らしいので2人は終わるのを待つことにした。
勝負はついた。結果は圧倒的にこちらの勝利。相手チームが砂浜に突っ伏していたがまず先に勝利を喜んでもバチは当たらないだろう。いえーいと仲間チームとなった男の人とハイタッチをする。それから敗北者のケアも大切かと思い、私は声援を上げてくれた観客達にひらひらと手を振りながら相手チームの2人に歩み寄った。
「きみ達には悪かったけど楽しかったよ。遊びに誘ってくれてありがとう」
「いや…俺達こんな遊びがしたかったわけじゃないんだけど…」
「でもこんな可愛げのない女だって分かっちゃったし、もうそんな気も起きないんじゃない?」
「まあ…うん」
情けなく笑う男の左頬は真っ赤に腫れていた。先程私がスパイクしたボールがクリティカルヒットしていたから。「じゃ俺達もう行くわ…」とそそくさと去っていく敗者2人。あれま、逃げられてしまった。もっと他にも遊びたかったんだけど。残念で小さくなっていく後ろ姿を名残惜しく見つめていると、「花子ちゃん」と声を掛けられた。振り返ると同じチームだった男の人が真剣な顔をしながら立っていた。そういえばこの人名前なんだっけ。
「お仲間さん行っちゃいましたよ。追いかけなくていいんですか?」
「うん、後で合流するし大丈夫だよ」
「それならいいけど…」
「そんなことよりもさ俺初めは遊びのつもりだったんだけど、ペア組んでるうちに花子ちゃんのかっこよさとか笑顔の可愛いとことか…いいな、って思っちゃって……」
「はあ…」
「良かったら連絡先教えてもらえないかな!?」
お、おお〜〜…!
これはライクじゃなくて純粋なラブな気持ちを寄せられてるんじゃないか?転生してからそういった類に縁が無さすぎて、久しぶりのこの何とも言えないむず痒い空気感に無性にテンションが上がる。当事者なのに客観的に見てしまい、青春だな〜なんて思ってしまっていた。歳とったな、私。
「なにオマエ、告られてんの?」
さて何て断ろうかと悩み始めたところで、ふと聞き慣れた声が投げ掛けられる。そちらへ咄嗟に顔を向ければ、案の定ドラケン君と三ツ谷君までいた。対決した帰りかな。やって来た2人を見た男の人は明らかにぎょっとする。まあ、見た目はガラ悪いもんね。でも2人共とっても良い子なんだよ。
ドラケン君に見下ろされた男の人はこんなに暑い夏なのに何故か顔色が青白くなっていく。もしかして、俺の連れに手ぇ出しやがって!ぶっ飛ばしてやる!的な展開を心配しているのだろうか。
「コイツのこと好きなの?」
「えっ…あ…、いや……」
「オススメは出来ねーぞ。ハナに問題があるっていうより他の連中が黙ってねぇだろうから」
「え!誰のこと?」
「ややこしくなるからハナさんはちょっと黙ってようなー」
納得がいかん。私は当事者だったのに、もう男の人にはドラケン君しか見えていない。完全に蚊帳の外である。断ろうとしてたからいいんだけどさ、それよりも三ツ谷君にまで空気読めない女認定されていることがショックです。
「それでもいいってんなら止めねーけど、」
「い、いや!よく見たら全然好みじゃなかったんで大丈夫です!す、すみませんでした!」
叫ぶように言いながら駆け足で去っていく男の人を3人で目で追う。
「おー、居なくなんの早」
「あれ?これ結局私がダメージ受けてないか?あの言い方だとよく見たらブスだったってことでしょ」
「まぁ結果オーライってことで」
「嘘でもいいからフォローしてくれよ」
私の嘆きにけらけら笑う2人。「冗談だって」とドラケン君に頭をぽんぽんと優しく叩かれる。今更2人に可愛いとか言われても困るからいいけどさ。
「そんなことより助けてくれてありがとね。どう断ろうか困ってたからさ」
「あー…別にオマエを助けたわけじゃねーんだよな」
「え?何その急なツンデレ」
べっ別にあんたを助けたわけじゃないんだからね!っていう典型的なツンデレ女子が頭を過ぎる。この台詞ってもう古いのかな。
「いや、止めてやんねーと可哀想じゃん。オレに見下ろされてるだけでビビってる男がオマエの彼氏になんの、命が幾つあっても足んねーだろ」
まさかの私じゃなくて相手の身を案じての行動だった!きみはなんていい男なんだ。いやでもちょっと待て。
「私の彼氏になるのに気が弱くてもそんな関係なくないか?何で命が幾つあっても足りないの?」
「は?本気で分かってねぇのか?」
「ハハ…、まあいいじゃん。過ぎた話だし、ハナさんだって相手に興味なかったんだろ?」
確かに興味はなかったな。名前も結局思い出せなかったし。こくり、と頷くと三ツ谷君は微笑みながら「お腹空かない?戻りがてらどっかで買ってこ」と話題をそらされる。食い意地のはってる私なら食べ物の話題を出せば誤魔化せるとでも思ったのだろうか。まあ合ってますけど!動いたからめっちゃお腹すいた。
「そういえば何で知らないヤツとビーチバレーなんかしてたの?」
「いや実はナンパされたんだよね。俺らと遊ばない?って言うから、よっしゃ鼻っ柱へし折ったろ!と思って、分かりました!私に名案があります!って返事してあの展開になったよ」
「それで相手の顔面にスパイクお見舞いしたってこと?オマエほんと容赦ねーな」
「断っても絡まれるくらいなら、こう撃退した方が相手も後腐れなく引くじゃん。残念ながら1人予想外の人もいたけど」
私が相手の立場だったら普通こんな女ドン引くけどね。まあ終わった話だし、もういいや。
焼きそばやらかき氷やら買って戻ると、焦った顔をしていたマイキー君と目が合った。中々戻ってこなかったから心配してくれていたのかもしれない。ちなみにパーちん君と場地君はいつも通りだった。お前ら薄情だな。他人とビーチバレー楽しんでた私が咎めるのもどうかと思うので何も言わないけど。私達に気付くとパーちん君はサングラスを上にずらして、私を見るなり眉根を寄せた。
「オマエどこ行ってたんだよ。心配してたぞ、マイキーが」
「うん、見りゃ分かる。ごめんよマイキー君」
「ハナならナンパされてたぞー」
「は?マジで?」
ジト目で私を睨んでいるマイキー君に買ってきた焼きそばを差し出していると、ドラケン君がいらんこと報告しだした。するとパーちん君は驚きつつも再度私を見て「物好きもいるんだな…。あんな色気のねぇ水着なのに」とか失礼なことを言っていた。でも物好きについては正直同感だ。
「はい、場地君も焼きそば食べる?」
普段では想像も出来ないくらい今日は大人しい場地君にも買ってきた焼きそばを差し出す。しかし彼は受け取らずに、ただただ私をじぃっと見つめていた。なんだなんだ、やっぱりペヤングが良かったのか。
「日焼け止め、塗ってたわりに意味なかったな」
「え"っ」
それだけ言うと場地君は焼きそばを受け取って、もそもそと食べ始めた。彼の予想外の発言に一瞬固まってしまうも、すぐに己の腕やら足を確認する。そこは残念なことに赤くなっていて。自覚してしまえば最後、ヒリヒリと痛みまで感じてきた。完全にビーチバレーが原因です、ありがとうございました。