小学生編
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今日も今日とておじいちゃんに朝からフルボッコにされた。素振りが遅いだのなんだのと説教垂れてきて、竹刀で引っぱたかれた。まあこれはいつも通りだ。しかし今日はそれだけでおさまらず、道場から庭へ思いっきり投げられた。おじいちゃんは同年代と比べると中々にガタイがいいので、普通に何mも吹っ飛んだ。すげぇや、生涯現役だ。まだ面もつけていなかったので肘だけじゃなく頬も擦りむいた。おじいちゃんが居なくなった後、絆創膏をおばあちゃんが貼ってくれたので、髪が短いこともありヤンチャな少年にしか見えない。トイレで同級生の女の子に心配され大丈夫だとは言ったが、私は手を洗いながら鏡で自分の顔を見て溜息を落とした。
「相変わらずスゲーなぁ」
トイレから出れば半間君と鉢合わせた。
「もしかして待ち伏せしてた?きゃー変態」
「あーハイハイ。そーいうのまじダリィ」
「冗談だって、怒んなよ」
心底嫌そうな顔された。確かに茶化した私が悪いけど、いつものことだと受け流して欲しい。彼とは同じクラスなので肩を並べて教室へと向かう。気怠そうで覇気のない横顔をなんとなく見上げれば、色素の薄い瞳が私を捉えていた。え?ずっと見てた?…いや、そんなまさかな。そんなことより、と私は片手を大きく挙げた。
「半間君に質問です!」
「…なに?」
「私が女の子だっていうのは一旦忘れてもらって、初対面だとして今の私、男の子か女の子どっちに見える?」
「………」
問い掛けを聞いた半間君は面倒くさそうな顔を私に向けた。隠す気もないその表情があからさま過ぎて申し訳ないけど笑える。
「だり」
「そんなこと言わずに頼むよ〜。ちなみに私自身は悪ガキにしか見えなかったですね。女の子にちょっかいかけて委員長に怒られるタイプの」
「………不満なの?」
ちょっと〜男子ぃ〜、とテンプレ委員長の物真似をしていると、半間君は呟くように聞いてきた。てっきりいつも通り呆れられて放置されるんだと思っていたので、彼が話題にほんの少しだったとしても興味を持ってくれたことに吃驚である。
「そりゃ不満でしょ。男の子にしか見えないんだもん」
「ちゃんと女の子に見えるよ、ハナちゃん♡」
「は?」
豹変したようにニッコリとその顔に笑顔を作る半間君はわざとらしくねっとりと言ってきた。しかしすぐにその笑顔は消え、今度はにやにやする。
「これで満足かぁ?」
「きみは本当に趣味が悪いね」
「あ?オマエが求めたことじゃねーかよ」
にやにや顔すら消えて真顔になった半間君に凄まれる。怖いって。穏やかになれよ。彼はこう言いたいんだろう。自分が男にしか見えないから質問することによって、人からのフォローを私が求めてるんじゃないかと。
「いやそんなの求めてねぇわ。仮に私がそれを欲していたとして、半間君にだけは絶対に頼まない!もっと優しい人に頼む!」
「オレは優しーだろ」
「え?頭打った?大丈夫?」
本気で心配になってしまう。しかしもう話題に興味がないのか半間君は私を視界から外した。怠そうに前を見ている。オンオフスイッチ激しいんよ。多分期待してた反応が得られなかったから、つまらなくなってしまったんだろう。自己中にも程がある。
お昼休み後の体育の時間。給食を食べた後だということもあり、睡魔が最高潮に達していた。あまりにも危うかったのか「ハナちゃん、大丈夫?」と同じクラスの女の子が私の肩を揺さぶってくれる。大丈夫、と返そうとしてその子へと顔を向けようとしたら、グキっと足を挫く。
「あでっ!」
盛大に転けた。覚醒しない頭でも何とか顔は庇ったが、足がめちゃくちゃ痛い。起き上がって座りながら膝を確認したら、中々の怪我をしていた。めっちゃ血ー出てるー。周りの子が先生を呼んでくれていたので、動きたくないから待機してようとそのまま座っていると、ゆらりと影がさした。咄嗟に見上げると半間君が私を見下ろしていた。
「…大丈夫?」
「めっちゃ痛い」
「だろうな、すげー血ィ出てるし」
気のない声とはいえ半間君から身を案じる言葉が出たことに普段なら衝撃を受けるだろうが、今の私には怪我のことしか頭にない。日々痛い目にあってるとはいえ、痛いものは痛かった。はよ先生私を保健室に連れて行ってくれと待っていると、何故か半間君が屈んでくる。どうしたの、と声を掛けようとしたところで、私は半間君に抱き上げられていた。
「!?」
「大人しくしてろよ」
「ほ、保健室連れて行ってくれるの?」
「?そのつもりだけど」
「ありがたい、ありがたいよ。けど俗に言うお姫様抱っこはちゃっと恥ずかしいかな〜?…ほら、周りからの視線も痛いし。半間君も噂とかされなくないでしょ?」
「言わせとけばいーだろ」
どうした、いつになくかっけぇぞ半間氏。そう言われてしまっては、いくら恥ずかしくてもそれ以上何も言えなくなってしまう。同じクラスの子から痛いほどの視線を感じつつも、大人しく半間君に運ばれることを選んだ。
保健室へ行く前に傷口に砂利が入ってしまっているので外の水道で流すことにした。蛇口の主導権は半間君に握られていた。いや私がいつまでもチキってるから、痺れを切らした彼に取られたんだけど。
「いっ痛いから水ちょっとだからね!?いきなり全開とか洒落にならないからね!?」
「何それ、フリ?」
「芸人じゃねーんだぞ!フリなわけあるか」
ぎゃーぎゃーと私が煩いからか、半間君はいつになく素直に言葉通り蛇口を少しずつひねってくれた。膝の傷口に水があたる。痛いけど我慢できる。突然くる暴力には慣れたけど、こうすると痛いのがくるって分かると中々動けないくらいにはビビりなんです。暫く流せば砂利は取れたので、半間君は水を止めてくれた。
「…血ィ止まんねーな」
「oh…」
そう砂利は取れたけど、彼の言うとおり血はまじで止まらなかった。どんだけえぐい転び方したんだ、私は。このまま保健室入ったら間違いなく血で汚してしまう。
「あっそういえばハンカチ持ってるんだった!」
何で忘れてたんだろう。アホすぎる。ハーフパンツのポケットからハンカチを取り出して傷口へとあてようとした。しかし何故か半間君に手首を掴まれて制される。半間君はじぃっと傷口を見つめて……、べろり。
「?!??」
傷口を舐められた。
「ちょっ、何してんの!?」
必死に手や足で抵抗するも、手は手で足は足でおさえられてしまう。詰んだ。その間も血を舐めとる舌が止まる気配はない。目の前の光景が信じられなくて全身が粟立つ。傷口を夢中で舐めていた半間君は、そこで漸くその瞳に私の顔を映した。
「あはっ♡イイ顔♡」
おい誰か助けてくれ。満足そうに目を細めて笑う半間君が怖すぎて仕方がない。恐怖で固まっていると、今度は舌先で傷口をぐりぐりしてきた。
「痛いって!」
叫ぶように訴えかければ、やっと傷口の膝から半間君の顔が離れた。唇に付いてしまった血を堪能するように舌なめずりをした時の彼の顔は恍惚としていた。そうか、君は変態だったんだな。半間君はドン引きしている私の頬へと手を伸ばしてきた。彼が触れた先、それは朝おじいちゃんに投げられて付いた擦り傷を覆った絆創膏で。
「なあ、」
「……な、何?」
「今度はココ、舐めていい?」
「!?」
やけに吐息がかった声で落とされた言葉は、私の血の気をいとも容易く失せさせた。射抜くような目で見られ怖くて目が離せない。反らしたらそれこそ喰われそうで。数秒見つめ合うと「ばはっ♡」と彼は堪えきれないと笑い声を漏らした。
「そんなイイ反応する男なんかいねぇって」
「……は?」
「ジューブン女の子だから安心しろ♡」
にっこりと午前中に見せた時と同じ笑顔を浮かべると、私の頭を優しく叩いた。張り詰めていた空気が解けて安心したのか膝の傷の痛みがぶり返す。私が質問した答えをこんなことしてまで、今更返してきやがった。こいつ本当に小学生か?半間君は唖然とする私の手に握られていたハンカチを取ると、膝の傷口のところで軽く縛った。「じゃ保健室行くかぁ」そう言ってまた私を先程と同じように抱き上げる。
「……半間君、」
「ん?」
「きみは将来大物になるよ……」
「それ皮肉だろ」
抱きかかえられながら脱力気味でそう告げれば、色のない声で返される。さっきまでの上機嫌はどこへやら半間君はスイッチオフになっていた。もうやだこの子。
「相変わらずスゲーなぁ」
トイレから出れば半間君と鉢合わせた。
「もしかして待ち伏せしてた?きゃー変態」
「あーハイハイ。そーいうのまじダリィ」
「冗談だって、怒んなよ」
心底嫌そうな顔された。確かに茶化した私が悪いけど、いつものことだと受け流して欲しい。彼とは同じクラスなので肩を並べて教室へと向かう。気怠そうで覇気のない横顔をなんとなく見上げれば、色素の薄い瞳が私を捉えていた。え?ずっと見てた?…いや、そんなまさかな。そんなことより、と私は片手を大きく挙げた。
「半間君に質問です!」
「…なに?」
「私が女の子だっていうのは一旦忘れてもらって、初対面だとして今の私、男の子か女の子どっちに見える?」
「………」
問い掛けを聞いた半間君は面倒くさそうな顔を私に向けた。隠す気もないその表情があからさま過ぎて申し訳ないけど笑える。
「だり」
「そんなこと言わずに頼むよ〜。ちなみに私自身は悪ガキにしか見えなかったですね。女の子にちょっかいかけて委員長に怒られるタイプの」
「………不満なの?」
ちょっと〜男子ぃ〜、とテンプレ委員長の物真似をしていると、半間君は呟くように聞いてきた。てっきりいつも通り呆れられて放置されるんだと思っていたので、彼が話題にほんの少しだったとしても興味を持ってくれたことに吃驚である。
「そりゃ不満でしょ。男の子にしか見えないんだもん」
「ちゃんと女の子に見えるよ、ハナちゃん♡」
「は?」
豹変したようにニッコリとその顔に笑顔を作る半間君はわざとらしくねっとりと言ってきた。しかしすぐにその笑顔は消え、今度はにやにやする。
「これで満足かぁ?」
「きみは本当に趣味が悪いね」
「あ?オマエが求めたことじゃねーかよ」
にやにや顔すら消えて真顔になった半間君に凄まれる。怖いって。穏やかになれよ。彼はこう言いたいんだろう。自分が男にしか見えないから質問することによって、人からのフォローを私が求めてるんじゃないかと。
「いやそんなの求めてねぇわ。仮に私がそれを欲していたとして、半間君にだけは絶対に頼まない!もっと優しい人に頼む!」
「オレは優しーだろ」
「え?頭打った?大丈夫?」
本気で心配になってしまう。しかしもう話題に興味がないのか半間君は私を視界から外した。怠そうに前を見ている。オンオフスイッチ激しいんよ。多分期待してた反応が得られなかったから、つまらなくなってしまったんだろう。自己中にも程がある。
お昼休み後の体育の時間。給食を食べた後だということもあり、睡魔が最高潮に達していた。あまりにも危うかったのか「ハナちゃん、大丈夫?」と同じクラスの女の子が私の肩を揺さぶってくれる。大丈夫、と返そうとしてその子へと顔を向けようとしたら、グキっと足を挫く。
「あでっ!」
盛大に転けた。覚醒しない頭でも何とか顔は庇ったが、足がめちゃくちゃ痛い。起き上がって座りながら膝を確認したら、中々の怪我をしていた。めっちゃ血ー出てるー。周りの子が先生を呼んでくれていたので、動きたくないから待機してようとそのまま座っていると、ゆらりと影がさした。咄嗟に見上げると半間君が私を見下ろしていた。
「…大丈夫?」
「めっちゃ痛い」
「だろうな、すげー血ィ出てるし」
気のない声とはいえ半間君から身を案じる言葉が出たことに普段なら衝撃を受けるだろうが、今の私には怪我のことしか頭にない。日々痛い目にあってるとはいえ、痛いものは痛かった。はよ先生私を保健室に連れて行ってくれと待っていると、何故か半間君が屈んでくる。どうしたの、と声を掛けようとしたところで、私は半間君に抱き上げられていた。
「!?」
「大人しくしてろよ」
「ほ、保健室連れて行ってくれるの?」
「?そのつもりだけど」
「ありがたい、ありがたいよ。けど俗に言うお姫様抱っこはちゃっと恥ずかしいかな〜?…ほら、周りからの視線も痛いし。半間君も噂とかされなくないでしょ?」
「言わせとけばいーだろ」
どうした、いつになくかっけぇぞ半間氏。そう言われてしまっては、いくら恥ずかしくてもそれ以上何も言えなくなってしまう。同じクラスの子から痛いほどの視線を感じつつも、大人しく半間君に運ばれることを選んだ。
保健室へ行く前に傷口に砂利が入ってしまっているので外の水道で流すことにした。蛇口の主導権は半間君に握られていた。いや私がいつまでもチキってるから、痺れを切らした彼に取られたんだけど。
「いっ痛いから水ちょっとだからね!?いきなり全開とか洒落にならないからね!?」
「何それ、フリ?」
「芸人じゃねーんだぞ!フリなわけあるか」
ぎゃーぎゃーと私が煩いからか、半間君はいつになく素直に言葉通り蛇口を少しずつひねってくれた。膝の傷口に水があたる。痛いけど我慢できる。突然くる暴力には慣れたけど、こうすると痛いのがくるって分かると中々動けないくらいにはビビりなんです。暫く流せば砂利は取れたので、半間君は水を止めてくれた。
「…血ィ止まんねーな」
「oh…」
そう砂利は取れたけど、彼の言うとおり血はまじで止まらなかった。どんだけえぐい転び方したんだ、私は。このまま保健室入ったら間違いなく血で汚してしまう。
「あっそういえばハンカチ持ってるんだった!」
何で忘れてたんだろう。アホすぎる。ハーフパンツのポケットからハンカチを取り出して傷口へとあてようとした。しかし何故か半間君に手首を掴まれて制される。半間君はじぃっと傷口を見つめて……、べろり。
「?!??」
傷口を舐められた。
「ちょっ、何してんの!?」
必死に手や足で抵抗するも、手は手で足は足でおさえられてしまう。詰んだ。その間も血を舐めとる舌が止まる気配はない。目の前の光景が信じられなくて全身が粟立つ。傷口を夢中で舐めていた半間君は、そこで漸くその瞳に私の顔を映した。
「あはっ♡イイ顔♡」
おい誰か助けてくれ。満足そうに目を細めて笑う半間君が怖すぎて仕方がない。恐怖で固まっていると、今度は舌先で傷口をぐりぐりしてきた。
「痛いって!」
叫ぶように訴えかければ、やっと傷口の膝から半間君の顔が離れた。唇に付いてしまった血を堪能するように舌なめずりをした時の彼の顔は恍惚としていた。そうか、君は変態だったんだな。半間君はドン引きしている私の頬へと手を伸ばしてきた。彼が触れた先、それは朝おじいちゃんに投げられて付いた擦り傷を覆った絆創膏で。
「なあ、」
「……な、何?」
「今度はココ、舐めていい?」
「!?」
やけに吐息がかった声で落とされた言葉は、私の血の気をいとも容易く失せさせた。射抜くような目で見られ怖くて目が離せない。反らしたらそれこそ喰われそうで。数秒見つめ合うと「ばはっ♡」と彼は堪えきれないと笑い声を漏らした。
「そんなイイ反応する男なんかいねぇって」
「……は?」
「ジューブン女の子だから安心しろ♡」
にっこりと午前中に見せた時と同じ笑顔を浮かべると、私の頭を優しく叩いた。張り詰めていた空気が解けて安心したのか膝の傷の痛みがぶり返す。私が質問した答えをこんなことしてまで、今更返してきやがった。こいつ本当に小学生か?半間君は唖然とする私の手に握られていたハンカチを取ると、膝の傷口のところで軽く縛った。「じゃ保健室行くかぁ」そう言ってまた私を先程と同じように抱き上げる。
「……半間君、」
「ん?」
「きみは将来大物になるよ……」
「それ皮肉だろ」
抱きかかえられながら脱力気味でそう告げれば、色のない声で返される。さっきまでの上機嫌はどこへやら半間君はスイッチオフになっていた。もうやだこの子。