クラスの女の子
夢小説の世界へ
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キーンコーンカーンコーン
「ね、今日誰かにあげるの?」
「ちょっと声おおきいよ!」
「今日期待しすぎない方がいい」
俺のクラスの会話で今日が何の日なのか、より思い知らされる。
男女ともにそわそわする…
バレンタインデーだ。
「赤葦くん、これ先生からプリント」
「ありがとう」
この人は苗字さん。
同じクラスで委員長をやってる。
それで今1番気になってる人。
やっぱり部活が忙しいと時間がなくて、なかなか仲良くなる機会がない。
それを今日はなんとか打破しようと
作戦を練って実行する。
「ねぇ、苗字さん
今日お昼ちょっと時間あるかな」
「お昼?うん、大丈夫だけど…」
「じゃぁ、お昼屋上で」
「あ、うん…」
なんとか呼び出すことができた。
あとは実行するだけだ。
--------お昼
錆びた屋上のドアを開ける。
なんとか先に着いたようだった。
「流石に緊張してきたな」
自分の手のひらに
汗をかいているのがわかる。
……ガチャっ
「あ、赤葦くん早かったね」
「うん」
そりゃあ、先に待たないとね。
「それで…どーしたの?」
「えっと…これ」
と自分で持ってきた、チョコを渡す。
「………え??」
それをみて、目を見開く彼女。
「こ、これは??」
「ほら、今日バレンタインだから」
「で、でも男の子からって…」
「日本は女の子からって感じだけど
他の国じゃ男が渡してることもあるし」
「そ、そうなんだ…」
戸惑いを隠せない表情だ。
そのままチョコをぼーっとみてる。
「大丈夫。これは俺が苗字さんと仲良くなりたいっていうアプローチ」
「えっと、あ、ありがと…」
そういうと、おずおずと俺の手から
チョコを受け取ってくれた。
「じゃあ、まず」
「あの…」
「ん?」
「……これ!!どうぞ!」
そう渡してきたのは可愛いラッピングがされたチョコだった。
そうか、彼女からチョコを貰うという発想は無かった。
なんにせよ、まだまだ未熟な仲だし。
「これは?」
「こ、ここれは義理っていうか
えとあまっちゃって!」
そう言いながら、恥ずかしいのか
顔はほんのり赤い。
可愛いな。
「うん、ありがと。受け取っておく。
それでまず、連絡先交換しない?」
「え、うん」
なんだ、結構あっさり
交換してくれるんだな。
俺は完全に舞い上がって調子に乗ってるってのはわかってるけど
「あとさ、もっと話したいから
部活オフの日一緒に帰らない?」
それを聞いてすごく驚いた顔をしたけど
うんうんと必死に頷いてくれてた。
「ふっ…ありがと」
そしたら自分でも気づかない内に
頭を撫でていて、顔がどんどん下に俯いていく。
「あっ、ついごめん」
そう手を離すものの、
まだ下を向いたままで
この時の俺は調子に乗っていたと思う。
だって、いちいち反応が可愛いんだから
いじめたくもなるよね。
「名前ちゃん?」
俺がそう呼ぶと、バッと顔をあげて
「じゃ、じゃあ!!また連絡してください!!!!」
そう言ってパタパタ走って
帰ってしまった。
その姿を見て一言も声をかけることができなかったのは、
目が合った苗字さんの顔が
真っ赤で、今にも泣きそうで
あまりにも可愛すぎたから。
そんな姿を見て、
自分まで顔が赤い自信があった。
「はぁ、今日だけですごい好きになっちゃった」
そう顔を手で覆う。
「相手のペースもきちんと考えてあげないとな…」
そうぼやき、屋上を後にした。
-------
「なぁ!あかーし!!みろこれー!!」
そう言って大量のチョコを見せびらかす木兎さん。
今年も大盛況だ。
「今年も凄いですね」
「まぁな!おっあかーしももらったんか!」
「はい」
「去年なんか俺といい勝負だったのによーーー!」
「今年は全部断りました」
「はぇ?!なんでーーー!もったいねー!俺にくれ」
「なんでもです」
木兎さんが部活前に一つ空けて食べてるもんだから、俺も開けるくらいはいいかと箱を開けてみた。
随分綺麗にラッピングしてるな…。
もしかしたら、凄い大事な人にあげたかったのでは…なんて
少し前の自分とは打って変わって気分が急降下していく。
ラッピングを開けると、
中には1枚のメッセージカードが入っていた。
すごく嫌な予感が当たりそうで、
その紙を見ることができず、裏で入ってたことをいいことに見ないでチョコをみた。
「おっ、なかなかうまそうじゃん!!」
「絶対木兎さんにはあげませんからね。自分の食べてください」
「はいはーい。あっ紙入ってんじゃん」
そう言って裏にしていたカードを取る。
ったくこの人は空気を読むという言葉が頭に無さそうだな。
ま、正直自分でみるのも怖いし
いいかなんて思うと
「ほぅ…やっぱあかーしモテんだな」
「どういうことっすか」
「みてみなよ」
「『赤葦くん
あまり話したことないけどずっと気になってました。よかったらこれから仲良くしてください。よろしくお願いします』って」
はっ?
え、これは予想外。
「なっ??」
「そ、そうですね」
「なんだあかーし、にやけてんぞ!!
相当うれしいーんだな」
といって木兎さんがにやにやする。
「はぁ………もうその通りです。
なんだって俺もずっと気になってた子だったんですから」
俺は最高に嬉しかった。
自分と同じ気持ちだったことも、
だからすんなり俺の申し出も受け入れてくれたことも筋が通った。
「おい!準備手伝えーー!!」
「げっ、木葉だーーいこ!!あかーし」
「はい」
「赤葦、なににやついてんだ?」
「いいえ、なんでもありません」
「なんだよー教えろよー!!」
「また今度」
ま、もっとアプローチしてから
先輩には教えるかな。
俺は今後の期待と共に部活を開始した。
クラスの女の子 END