恋と友情の境界線
夢小説の世界へ
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キーンコーンカーンコーン
「………
名無し!!」
「ん!!なに?」
目の前の友人は、はーっとため息をついて
「なに?じゃないでしょ。
明らかに最近の名無し、おかしいよ」
「あ、えっと…そんなことないと思うけど」
「なんか隠してない?」
私がいつもと変なこと、
本当は自分が一番わかってる。
でも…誰かにこのことを話してしまったら…。
「…本当になんでもないよ」
そうふふっと笑えてるかわからないけど、
今の私には精一杯の笑顔で返した。
「……」
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私がバレー部の手伝いに行かなくなって
1ヶ月ぐらいが経つ。
私を脅かしていた嫌がらせは
徐々に減少していき、今では前のように過ごせている。
いや…バレー部の活動を除いてだけど。
「…今日も家帰って勉強…しよ」
そう思い、帰宅しようとした時
「赤葦くん!今日も部活?」
そう、廊下に響く声。
久しぶりの名前に思わず階段を登り隠れる。
本当に、バレー部のみんなのこと避けてたから
今更顔を合わせるなんて、そんなこと「…ねぇ」
ビクッ
「なんでそんなところに隠れてるの」
うおーーー。考え事してたら
気づいたら後ろに、…多分赤葦。
そのまま顔を見ずに、階段を駆け登ろうとした。
でも、私の手を赤葦はすぐに掴んだ。
「………」
私はかける言葉もない。
「…最近どう?」
最近…?
思わず予想してなかった質問に
振り返ってしまった。
目が合う。けど、すぐ逸らす。
「…どうも…してないです」
しどろもどろにそう答えると
「なんで敬語?」
そう笑っている。
少しも怒ってない様子は、私の心を安心させた。
「まぁ、階段の真ん中だし
上あがろ」
そう下にいた彼は、私の手を引っ張って
追い越し、上の階へ登った。
安心こそ少しはしたものの、
正直気まずい。
「…俺さ、最近ちょっと突き指したんだよね」
えっ?
「大丈…」
心配しようとしたけど、そうだ、
私はもうバレー部の一員じゃない。
「…しかも昨日、木兎さんが怪我したみたいで」
「…怪我っ?!」
「うん。だから少しでいいから
部活に顔出してくれない?」
赤葦、相変わらず頭キレるな。
「…木兎先輩から聞いてるかもしれないけど
私、もう…」
「うん。なんとなく聞いた。
でも、手伝いじゃなく様子見るだけでいいから」
そんなこと言われても…。
「…いかない」
赤葦にも、みんなにも申し訳ないけど
マネはちゃんといるんだし。
「………
じゃあ今度俺と…」
ん?俺と?
「デートしよう」
そう真顔でいう赤葦。
えっ?どゆこと?
ついに梟谷のブレーン、崩れるっ…?!
私は驚きと共に体が硬直した。
だからか音に気づかなかった。
「おぶっっ!!!!」
どんっ!
後ろからなんかデカい人に苦しめられてる。
正確には抱きしめ…?
「あかーし!!!しかも名無しじゃん!!!
久しぶり!!!!」
この状況はまずい。
「………離してください」
首に回った太い腕を剥がそうと躍起になるけど、
びくともしない。
ってかさっきの赤葦の言葉もだけど
とにかくこの状況を抜け出さないようにしないと。
「……ねぇーなんできてくんねーの?」
「………離して」
「本当に俺のこと嫌いになっちゃったの?」
ぐっ…。木兎先輩の消えそうな声。
久しぶりに聞いたけど、私はこの声に甘い。
多分後ろにいる先輩は、ミミズクヘッドが
しおれているでしょう。
「…木兎さん、苦しそうだから
そろそろ…」
「ダァーーーめっぇ!!!だって俺!!俺はよぁ!!!
ずっと名無しがいなくて本当に寂しくって〜〜!」
「やめてください!大声で!!だから離して!」
「だめ!!!っていうか本当に俺のこと…」
「ちーがーいーます」
こんなに2人と絡んでるところ
見られたくない。
「じゃあなんでなの!!!!もうっ俺死にそう!!!」
「だから木兎さんっ」
「ぶっーーー。じゃぁ理由言ったら、離す」
そんなこと言われても。
もういっそのこと言ってしまおうか。
いや、でもなんのために隠してきたの?
私は大切な人を守りたい。
「…そうです」
「ん?」
「私、2人とも嫌いになりました」