恋と友情の境界線
夢小説の世界へ
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……?
なんだか眩しい…。
眩しさの中でなんとか目を開こうとすると、真っ白い天井が映った。
「あれ、起きたー?」
保険医の先生がカーテンを開ける。
「あれ、私…」
「さっき、倒れちゃったみたいで
赤葦くんが連れてきてくれたのよ。
今、体調はどう?」
そっか…、私ったらあの後あんまり覚えてないけど、赤葦に感謝だな…。
「大丈夫です…!
だいぶ具合も良い感じ」
「それならよかった」
先生はそう言い、
どこかへ電話をしていた。
「先生?」
「ん?赤葦くんが起きたら心配なので体育館に電話くれますかって言ってたのよね」
「あれ、電話なんてありましたっけ?」
「非常用で普段は使わないけど、
舞台奥の方にあるのよね」
ほー…あまり奥まで見たことなかったから知らなかった…
なんて思ってると
「すみません…!」
ガララっとドアが開いて少し息の上がった赤葦………と木兎さん。
赤葦はまだしも、木兎さんがうるさく無いなんて、もしかして木兎も病気でここきた??ねぇ??
「あ、起きたんだ。よかった、突然倒れるから…」
「赤葦ごめん、迷惑かけちゃって…」
「大丈夫。それより倒れた時どこも打ってたりしてない?」
「うん…特には」
それよりも、木兎さんが赤葦の後ろでソワソワしてるのが気になる。
「あの…木兎さんもどっか悪いんですか?」
「はぁ?ちがっ…!」
「木兎さん無言か、声は小さくって約束したじゃ無いですか」
そういうと、スマン…としょぼくれモード寸前だった。
「木兎さん、名無しが倒れたって言ったら大丈夫なのか?!?!なぁ??とかってすごく煩くて、煩くしないことを条件にきたんだけど」
「大丈夫、木兎さんもありがとうございます」
そう言って笑って見せた。
「お、おぅ!名無しも気をつけろよな!俺応援してくれる日はマジで調子いいんだからな!」
と声のボリュームをなんとか調整して話してくれる。
それが少しおかしくて、ふふと笑えてくる。
「はい、赤葦もありがとね」
赤葦はいつも通りの表情で、
うんというと
「俺送るんで、木兎さん練習戻ってください」
えーー!!と無言でムンクの叫びをやる木兎さん。正直おもろい。
「俺も名無しと一緒にいたい〜」
声のボリューム調整はおろか、でかい声で言った。内容よりも大きさに驚く。
そんな風に思ってくれるなんて
素直に嬉しい。
困ってる赤葦の先の木兎さんに
手招きをすると
やってきた木兎さんの耳元にそっと
「木兎さんは世界一かっこいいです。
今日も最高のスパイク決められますよ!
また手伝える日には
もっと応援しますから
練習、頑張ってください!」
そう言うと、私の両手を取り
目の前で目をキラキラさせてウンウンと頷いてすぐさま体育館に走って行った。
「さすが、伊達にファンやってないね」
そう呆れ半分の笑顔で赤葦は言う。
「でしょ!!」
じゃあ、帰れそうなら帰る?と帰る準備をする。
「先生、ありがとうございました〜」
そう、保健室を後にした。
「赤葦ごめんね、大事な部活なのに」
「大丈夫、こっちの方が心配。
あ、あの写真の犯人まだ心当たりない?」
うん、と頷くとそっかと言った。
「本当は家の前まで送りたい所だけど」
「ううん、大丈夫。ここまででも十分助かる」
こんなことまでしてくれる赤葦は優しすぎる。まぁ、木兎さんの扱いに慣れてる私っていう扱いだと思うけど。
「あかーし、ありがと。
何かお礼したいな」
そう分岐で分かれ道に差し掛かった時に伝えた。
「また木兎さんのマネしたでしょ」
そう言う赤葦がなんだか
ちょっと寂しそうに笑った気がして、
気になった。
「あかあ…」
「じゃぁ、京治」
「え?」
「京治って呼んでくれる?
これから」
「お礼ってそれ?
お礼になる…の?」
フッといつもの様な悪い笑顔で
頷く赤葦。
「京治」
「うん」
「ありがと!また明日ね!
明日は手伝いいけるから!」
「無理はしないで
早く休みなね」
「はーい!」
そう手を振ってお互い
背を向けて歩き出した。
私が不安に思ってたことも随分心が軽くなって、あか…京治のおかげだななんて思いながら家に着いた。
そこから、私の被害は
酷くなっていく一方だった。