バレー馬鹿
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「おいっ!お前ら!
もう下校時間過ぎてるぞ!早く帰れ」
見回りの先生に
私と大地くんは2人してビクッとする。
流れる沈黙から、
帰ろうかと大地くんが言う。
と同時になんだか笑えてきて
お互い少し微笑みあって教室を出た。
「なんか、こうやって大地くんと2人でいるの
凄い久しぶりな気がする」
「そうだな」
「なんか中学生の時のこと思い出す〜。
あの時はもっと、よしよしとかしてくれてたのに」
「えっ?!あぁ…いやあれはやっぱり
高校生ともなれば、その恥ずかしいだろ」
「うーん、そう、だよね」
何気ない会話の中で
年を重ねるに連れて私たちの関係が
明確に変わっていることを突きつけられた気分だ。
仲の良いまま、このままの関係で
この先ずっと一緒ってのは無いのはわかってる。
「ねぇ、大地くん」
「ん?」
私は振り返らず、言う。
「私のこと好き?」
「…おう。好きだよ」
ほとんど迷いなく帰ってきた返事に
私たちの気持ちは、出会ったあの頃から
変わってないって思わされる。
いいや、違う。
あの頃から私だけが、変わってる。
「…ありがと」
でも、もう辛いかも。
自分のこの気持ち大事に持ってるのも、
彼のためを思って隠すのも。
「私、ずっと前から大地くんのこと
好き、だった…」
振り返って、暗い廊下でそう言った。
あんまり表情はわからない、けど
夜の月に照らされ
その綺麗な目は確かに
大きく揺らいだように見えた。
「うん…俺も好きだよ」
「それさっきも聞いたー」
と笑ってみせると
大地くんも緊張感が解けたように
そうだなと笑った。
やっぱり、大地くんは大地くんだ。
私の大好きな大地くん。
私のことを妹みたいにしか
思ってない大地くん。
「引き止めてごめん、いこ?」
「あぁ。じゃぁ早速手繋ぐか?」
「手?」
一瞬、大地くんの顔が中学生の頃の
幼い顔と重なった気がした。
「繋ぎたいってこと?
さっき大地くん恥ずかしいって…」
そりゃ、あの時と変わらず
優しく触ってくれるのは嬉しいけどさ…
私の気持ちがもっと辛くなるじゃん。
「あ、いやさっきのはそりぁ高校生の男女が
スキンシップでよしよしとかしてたら恥ずかしいけど
恋人ならできるだろ?」
「まぁ、恋人なら…」
恋人?!
大地くんの口から恋人とか出てきた?!
「えと、だからそれは付き合った人と」
「は?」
口からヒェッと声にならない音が出た。
気迫が凶器並みに怖い。
「あれ、じゃぁさっきのは…
告白じゃなかったのか?」
月の光が瞬間的に当たった
考え込んだ大地くんの顔は
私にでもわかるくらい赤くなっていた。
こんな些細な情報だけで、
自惚れてしまいたくなる。
そんなことないはずなのに。
「え?それって私のことが好きって話?」
「あぁ?俺は聞かれたからそう言った」
「ん?大地くんでもそれって…」
「ん〜俺は、いつも応援してくれてる
名無しに助けられてる。
守ってやりたいとも思うし、
もちろんいないと寂しいと思った」
「それはやっぱり、勘違いじゃないかな…」
大地くんがとても優しくて
多くの人へ気遣いのできる人ってことは知ってる。
だからこそ、人のいいところを探すのも
得意なんだよね。
人としての好意と、
男女の好意は違うから。
「さっき教室で名無しは俺になんて言った?」
「んぇ?どこから?」
「えーと、先生が入ってくる前かな」
「あ、イラつく的な話?」
「その後」
「嫉妬?」
「それ。俺さ、スガにも
同じこと言われたんだよね。
やっぱりさ、名無しがいないと
俺、寂しいと思ったし
あと、イラつくってのも佐川が
名無しにちょっかい出してるの見て焦ってた。
その、あいつ可愛いとか言ってたし」
そういって頭を掻く大地くんは
すっごく可愛らしく見えた。
私の見たことない大地くんの表情。
「とにかく…俺の気持ちは伝わったか?
こんなカッコ悪りぃ感じだけど。
俺は名無しが他のやつと
付き合ったりするのはヤダってことです」
えっ?うそ…なにそれ。
想定外、すぎる。
「あーーーーえっとすまん!」
気合い入れる時の大きな声。
見回りに見つからないといいけど…
とヒヤヒヤした。
でもそれ以上に今は、
思考が追いつかない。
「きちんと言わせてくれ。
こんな場所だけど…
俺は名無しのことが好きです。
付き合ってください」
そう頭を下げた。
「ふふ」
思わず口から笑顔が漏れた。
相変わらず真面目。
大地くんは驚いて、私に近づく。
「泣いてる。
そんなに嫌だった?」
いつもとは違う、優しい声で。
私の涙を拭ってくれる。
「いや、大地くん全然そんな感じじゃなかったし
最近冷たいから…びっくりして」
「多分、それが嫉妬だと、スガに言われた。
悲しい想いさせたみたいでごめん。
これからもたくさん思い出作ってこうな」
とニシシと笑って、私の手を取る。
「ってか先生来る前に早く校舎出ねーと」
そう言って、私の手を引く。
「さっきの気合い入れの大声で
気づかれなかったかな」
そう意地悪く言うと、すまんと
大地くんが笑った。
下駄箱までようやく着くと、
とても嫌な予感がした。
「あっ、やっべ…閉まってる」
「ひっ…」
「大人しく怒られに職員室行きますか」
「や、やだーー」
「こら暴れない。まぁ落ち着きなさいよ」
そう言って頭をポンポンしてくれた。
あの時と変わらない、
でも今は私よりも背が高く
大きくなった手で。
私の好きな大地くん。
あの頃から変わってないように見えて
私たちはお互い変化してたんだね。
「お前ら2人罰として明日各教室に
行事のプリント配ってもらうからな」
「「はい…」」
思った以上に怒られず解放されたけど
「大地くん」
「ん?」
「もう私忘れ物しても
取りに帰らないことに決めた」
「そこは、もう忘れ物しない、だろ」
笑いながら、帰路に着いた。
大地くんといるとあっという間だ。
「じゃぁ、また明日ね!」
そういうと
「あ、忘れ物」
そう言って、私の額にキスをした。
「大地くん…」
「じゃぁ、また明日な!」
そう分かれ道で帰ってった。
『大地くんとのこれから
心臓幾つあっても足らないかも』
そう思ったのであった。
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とある個人チャット
名無し「菅原先輩!」
スガ「ん?どした?」
名無し「私、嫌われるどころか
その逆でした!」
スガ「大地?」
名無し「そうです!
ってか、菅原先輩一体なにしたんですか?」
スガ「なにもしてないよ?」
名無し「だってあのバレー馬鹿が
嫉妬とか恋人とか…」
スガ「バレー馬鹿w
じゃあ無事くっついたんだね
おめでと!」
次の日2人が一生懸命各教室にプリントを配るのを
「なにがあったのさー!」とニヤニヤ見ながら
過ごす菅原であった。
バレー馬鹿 END
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