意地悪な先輩
夢小説の世界へ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ついに今日は約束してた
いわゆるデデデデートっていう…
そんな待ち侘びた日だ。
私は最近、本当にどんだけ噛んでんだ。
絶賛緊張してます、私。
今日はなんかこう気合い入れなさいって
あの後サクラ、いのさんに言われ
ひとまず髪の毛はアップにして
任務詰めの私は、
おしゃれなものを持って無いので
木の葉丸に選んでもらった
ピンクの石の着いたゴムを着けてみた。
どうかなー…
木の葉丸にやっぱりやってもら…
い、いや…あんなこと言われて
合わせる顔がないよ…。
私の気持ちはシカマル先輩に向いてるのに
そんな気持ちで木の葉丸と会うのは
こう、罪悪感というか
しっかり返事をしなければならないと思いつつ
なあなあで来てしまった。
いつもならすぐ振っていたのに…
あの時は何も言葉が出てこなかった。
これってどういうことだ?
私もしかして気が多い女???
うーん、そんなこと思ったことないんだけど…
冷静な女だと思ってたのに
もしそうだったら…あーー!
もうっ!どうすれば「ぶっっ…」
そんなこんなで考え込みすぎてると
数メートル先には約束していた
シカマル先輩。
まったこの人は人のことを見て
腹を抱えて笑ってるよ。
私の待ち合わせ中の緊張感を返せっ!!
「…笑いすぎです!!」
「ワリィワリィ…くっくっく」
「ねぇ。抑えきれてませんよ」
「いやっだってよ、
さゆりを見かけたと思ったら
1人で百面相してやがるっ」
とこっちを見ながら笑う顔に
いつもより胸がキュンとした。
この人は意地悪なのに
こういう素の笑顔が可愛かったりして
ほんと、ギャップが…。
心臓に悪いです。
「待たせて悪かった。いくか」
「あっはい」
と2人で決めた最近できたと噂の
茶屋に行こうとしたところ
シカマル先輩は着いてくる気配が無い。
後ろを振り返り「先輩?」と問うと
目を逸らし
「いや、今日髪型ちげぇなと思ってな。
その……似合ってる」
と頭を掻きながら目があった。
え?似合ってる?
褒められてる?
そう思ったら顔に熱が集中する。
「あ、ありがとうございますっ!」
恥ずかしいながらも
きちんとお礼を言えたことに対して
自分を褒めたい。
もう必死なんです。
ーー
茶屋について、向かい合ったテーブル席に着いた。
まず昼飯というところだが
さゆりはさっきから全然目を合わせない。
んー、なんだこいつのことだから
照れてんのか?
せっかくなら顔あげて欲しいんだけど。
「さゆりなんかさ前髪に、
虫?みたいなのついてんだけど」
「へ?」
といい、前髪を弄り始めた。
「えっヤダヤダ…ど、どこですか?!
全然自分じゃ見えません…!!!」
と慌てて前髪を見るさゆり。
俺は手を伸ばして、
「うーん、どっか行ったかもな」
とさゆりの前髪を触る。
どうやら俺がニヤリと笑ったのを
見流さなかったようで
「…なんかもしかしてですけど
ウソつきました?!顔っわらって…」
「ん?いや?」
と俺は半分笑いながら
さゆりを見た。
やっと見た、と思ったが
次の瞬間顔を赤くしてまた俯いてしまった。
んーー。ダメか。
仕方ねぇ。
「どした?
何かあったか?」
「………このっ意地悪先輩っ!」
は?俺がいつ意地悪したってんだ。
しかし、本当こいつ最初にあった時より
随分変わったよなー…。
こんな大きく感情を露わにすること
無かったのに。
でも、元々はこういう子なのかもな。
「で?原因はなんでございましょうか?
さゆりサマ。」
と、またもやフッと笑って聞いてやる。
その言葉に驚いたのか、目を見開き
「その、今日ワタクシは非常に緊張してまして…
その、どうしても目がみれなくて…」
「俺はせっかくならさゆりの顔みたいんだけど」
そう言った瞬間節目がちな目が泳いだが
目だけこっちを向く。
うっ…こいつ無意識かそういうの。
はー。あぁ、好きって気持ちがどうとかつい最近まで
言ってたやつだからな。
こりぁ、かなりストレートに行かねーと
すれ違いまくりで面倒なことになんぞ、後からな。
「ま、せっかくなら楽しく過ごしたいんだけど
さゆりは楽しくないか?」
首を横にブンブンを振る。
これでもこいつなりに一生懸命なんだろう。
そういうところも、健気で可愛いじゃねぇか。
「ま、でもお前最初に会った時と変わったな。
こう、感情が表に出るようになったつーか
前は百面相なんてしたことなかったろ。
なんかあったのか?
五代目様もっ…」
と言ったところであまり言わない方が良いことも
聞いていたことを思い出した。
「五代目様?」
さゆりは不思議そうにこちらを見る。
しまった。
「…いや、それが隠すつもりはなかったんだが
五代目様にさゆりの昔の、
親父さんのことを聞いてな。
それで心配してたみたいだぜ」
「…そうですか。
知ってたんですね」
少しさっきとは違う目の色をしたさゆりは
考えるように下を向いて
「…でも、私シカマル先輩に救われたんです。
優しさ、というか先輩の励ましが
今ままでに感じたことない位あったかくて。
あの時涙が出てきたの、
本当に何年振りかって言うぐらい
久しぶりで。
あの護衛任務後から私の心は、
とても軽くなった様に別物でした。」
と言って今にも泣き出しそうだ。
「そっか…それはよかった」
その姿に思わず頭を撫でてやりたくなる。
手を伸ばそうとした時
「お待たせしました〜」
頼んだ飯が来た。
この時ばかりは、タイミングが良いのか悪いのか
複雑な気持ちになった。
2人は顔を見合わせて
「食べようか」「食べましょう」
と重なり、少し笑ってから
食べ始めた。
普段行っている「めんどくせぇ」の言葉が
頭を過ぎることもなくは無かったが
それ以上に、こいつのペースに合わせて
気長に待ってやろうという心持ちだ。
とカッコつけたが、変な虫が付く前に
正直言っちまいてぇ。
俺はかなりお前に惚れてる。
それこそ自覚するのは遅かったがな…。
運ばれてきたご飯を食べながら
色々な話をした。
「これ、美味しいですね。
なんか今日はいつもより美味しく感じます」
と言いながら口に米粒がついているのを
発見したシカマルは
ごく自然に指で掬い取った。
「・・・・・・?!?!////」
「今日はほんっとすぐ顔赤くなるな。
本当は体調悪いか?」
「え?!だって、米がコメコメ…」
「いや、マジで頭までいかれちまったか」
「違いますよ!!
私が…好きだからです…」
私はつい、何もわかってないシカマル先輩に
口を滑らせてしまった。
はっ…
でも、多分私の声の大きさで
耳を塞いでるから
聞こえてない…「そんなにこの飯が好きか」
ん?シカマル先輩って、
私より恋愛経験ないのかしら…。
もっと女慣れ?と言うか
接し方を知っているように感じてたんだけど。
「えっと!私がシカマル先輩をす、
すすすす」
「は?だから声がデケェって」
…もう、意地悪な先輩には
心臓が保たない…
反撃だ!
どうにでもなれ!とヤケになり
勢いづいて立ち上がると
「私、先輩のこと好きっ!
みたいです...」
その瞬間店内では、ガッシャーン!
と音が鳴った。
お皿を誰か割ってしまったのか
店内が少しざわついてる様だった。
でも、そんな背景の音も
今は遠く聞こえる。
目の前のシカマル先輩は驚いてる。
さっきの音にか、わからないけど
引かれちゃったのかな…。
どのタイミングで伝えたら良いかなんて
恋愛偏差値が低レベルな私には
見極められないし、
とにかく色んな感情がせめぎ合って
「好き…じゃなくて
好き“みたい”なのか?」
突然言われた俺は
トーゼン、好きな女の前では格好つけたくてよ。
固まってるさゆりを置いて
「じゃぁ、今のは無しだ。」
静かにそう言うと
さゆりは恥ずかしさからか
少し冷静になり
おずおずと座る。
俺はそれを見て
机に上半身を乗り出し
耳元で
「俺の方がさゆりのこと
ずっと好きなんだよ」
そしてスッと身をひいて
膝の上できっと汗をかいて
握り締めてるであろう拳に向けて
手のひらを出しながら
「どう?
俺と付き合ってくれますか?」
というと顔を今日1真っ赤にしたさゆりは
そっと手のひらの上に手を重ねて
「よっよろしくお願いしますっ…」
と言った。
ーーー
ガッシャーン!!
その音は店内に激しく響いた。
やっちまった。
なんだって俺の失恋が
今ここで決定したのだから。
俺は、さっきシカマル先輩とさゆりが
この店に入っていくのを見て
つい、気になって同じ店に来てしまったのだ。
そしたら俺の好きな子が
こ、告白…してんのが聞こえて
この有様だコレ。
「はぁ…。」
すみません、すみませんとなるべく
大きな声を出さずに掃除をしてくれている
おばちゃんや周りに伝える。
俺の入る隙は全くと言っていいほど
なかったってわけか…。
「うーーん、全く
若いっていいねぇ。青春だねぇ。」
「カカシ先生?!?!」
気づいたらカウンター席の隣を一つ開けて
カカシ先生。
「いつからそこに?!」
「いや、さゆりの告白前くらいカナ」
「………」
「ま、木の葉丸には
もっといい女が現れるよ」
「ぐっ…全てバレバレなんですか…コレ」
俺は、今必死に忘れようとしていた傷を
すぐさま抉られた。
「お前、火影になりたいんデショ?
そして忍道が恋人って言ってたんだから
俺はそれを応援するヨ?」
といつも通りニコッと笑うカカシ先生に
藁をも縋る思いで
改めて忍道を恋人として
生きていこうと思った。
「そゆことだから、ま、
今日は俺のオ・ゴ・リ」
「カカシ先生…あざっす!!」
こうして俺の片思いは
終わりを迎えたんだ、コレ。
ーー
ま、俺だってよ。
一回目のデートで想いを伝えるつもりなんて
なかったが…。
まさか、さゆりにそこまで言われたら
俺から言わねーとカッコつかねぇだろ。
しかも、髪型は上げてて可愛かったが
この間木の葉丸と選んでたやつだったし
こいつは、俺が意外にも
そういうことに敏感な事とか
多分全然わかってねーから、危なっかしい。
さっさと俺の物になりぁ、これからは
俺から離れられない位大事にしてやるよ。
「シカマル先輩!
何考え事してるんですか?」
「今日から、シカマル、な?」
「えぇ!えとえと…
シッシシシシ…シカ」
「あっ?なんだキモい笑い方してw」
「!?キモいって
これでも頑張って…」
名前を呼ぶだけでも
動揺を隠せないさゆりに
当然俺は、意地悪したくなる。
「さゆり」
こっちを向く瞬間に
腕を引っ張って
額にキスを落とした。
目をキョトンとさせて
何が起きたかわからないとでも
言いたげな目をしてる。
そうかと思いきや真っ赤になって
「先輩っ!!!
もう心臓が保たないっていうか…
今日付き合って初日なのに…」
「ん?じゃあ先輩呼び無理なら
おでこじゃなくてここにするか?」
と人差し指をさゆりの唇に押し当てる。
その身体は見るからにワナワナと震えていて
俺は腹を抱える。
「ほんと意地悪ばっかりしないでよーー!
シカマルっ!!」
この声のボリュームに慣れることは
あんのか?とも思うが
まぁ、これから2人で互いを
受け入れて行ければいい。
「なぁんだ。
キスはお預けか。
でもよくできました」
そう言って頭をくしゃくしゃ撫でる。
ごめんな。やっぱり意地悪なこと
したくなっちまうみてぇだ。
しかも前よりも。
ま、ひとまず牽制しておくべきライバルは
さゆりの告白を持ってして
十分な攻撃になったはずだしな。
「シカマル」
「ん?……?!」
目の前に居るさゆりと
目が合った
「先輩だけじゃなくて
意地悪も卒業して貰いますからね?」
触れるだけのキスを自分からしといて
さゆりはギャァァァアアアアと
どこかへ走って行った…。
ほんと、さゆりといたら
一生飽きねえかもな。
「フッ…こりぁ、本当に惨敗だな」
と言いながら、今日も自由に浮く雲を見て
彼女を迎えに行った。
-----------意地悪な先輩 END.
8/8ページ