意地悪な先輩
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俺は物思いに耽りながら、
その気配にようやく気づいた。
今ちょうど会いたくねーやつ。
木の葉丸が。
-----------意地悪な先輩 7
さゆりが去っていた方向を
2人とも見ながら
少しの沈黙が流れる。
「…なんか揉め事ですか?」
「あっいや、これは…」
明らかに動揺を隠しきれていないシカマル。
木の葉丸は本当に成長した。
昔なんか、あのナルトといい勝負…
だったのによ。
今やナルトも木の葉の英雄になった。
木の葉丸だって、これから忍びとしても
有望株じゃねぇのか…な。
もうこの気持ちも、伝えることなく
終わる…そんな気がしてしまうほど
俺は気持ちが折れそうになっていた。
木の葉丸が、フーと口から息を吐く。
まるで深呼吸をするかのように。
「俺、本気なんで
邪魔しないでくださいね」
そう言うと
背後の気配は消えていった。
ーー
「ねぇ、サクラさん、いのさん」
「「ん?」」
私は気づいたらシカマル先輩の特等席から
逃げるようにして帰っていたところ
シカマル先輩の同期の
サクラさん、いのさんに
思わず逃げ込んでいた。
自分がしてしまったこと
かなりひどくつっぱねてしまった様に感じていた。
「そ、それが…
シカマル先輩にひどいこと
しちゃったかなって思って
相談に乗ってもらいたく…て」
正直いろんな感情が整理しきれなくて
自分が泣きたいのか、怒りたいのか
はたまた落ち込んでるのか
もう、よく理解できない状態だった。
「シ、シカマルぅ??」
いの先輩が目を見開いて驚く。
「アイツとなんかあったの?」
とすぐ2人は
ニヤニヤして話を聞く姿勢になった。
いのはもしや、進展が?なんて思い
やけにソワソワしていた。
「それが、よくわかんなくって」
というと。肩透かしを食らった様に
ガクッと肩を落とす2人。
思った以上に2人ともややこしいわね…
こんなんじゃ、
マジであっさり取られんじゃない?
といのは思っていたが
「この間木の葉丸に…その告白?
されて、抱きしめられたんですけど」
2人はさっきから楽しそうに
目をキラキラさせながら頷いている。
「私、その好き…
とか気持ちが理解できなくって
でも、なぜかシカマル先輩のことを考える時間が多く…なって
もちろん、木の葉丸のことも大切な存在で…
だけど抱きしめられた時…」
「「うんうん」」
「思い浮かんだのは
シカマル先輩なんです」
!!!!!
いのは驚き、サクラはきゃーと言わんばかりに顔を両手で覆った。
シカマルに今すぐにでも新伝心の術で…
伝えてやりたいわ。
アンタにも勝算ありそうよってね。
ま、言わないけど!
だって男としはぐずぐずじゃんね。アイツ。
目の前にいるさゆりの
顔が真っ赤になっている。
「それで、やけに先輩のこと考えちゃうし
会うと余計緊張するっていうか
前よりちゃんと会話できてない感じで
き、嫌いじゃ無いのになんでだろ…と」
と苦しそうにさゆりは言う。
「それはさゆり、病気よ!!!」
とサクラが言う。
「えっびょびょ病気?!?!」
「そ。“恋の病”ってやつよ!」
こ、こい?と顔に書いてあるさゆりを見て
いのがわかってなさそうだと悟ると
「いい?さゆりはね、シカマル先輩のことが
好きってことよ!!」
「はっ…え??」
好き?
私がシカマル先輩を好き?
にわかに信じられないが、
妙に気持ちが落ち着きもしているような気がする。
それを聞かされて少し放心気味なさゆり。
それを見て2人は
やれやれと言わんばかりの顔で
「とりあえずデート誘ってみたら??」
「デデデデデデデデデっデートっ?!」
いや、うん。
急に声のボリュームでかいわね、アンタ。
アタシの方が驚いたわ。
「ささ!善は急げよ!
誰かに取られちゃう前に〜♪」
といのが振り返って背中をポンと押す。
そう言って清々しく協力してくれた、いのに
以前抱いていた、嫉妬心や劣等感が消えていった。
ーー
ったくどこいんだよ。
あの特等席での一件で俺は気持ちが決まった。
そりゃいきなり告白すんのも、勝算が低く感じるからな。
ひとまず飯に誘って…
と里内を見回すと、
さゆりも誰かを探しているようだった。
「おい」
その言葉にビクッとしてこちらを向いた。
その顔に先ほどの悩ましい顔の面影は無い。
少し安心した。
「あ〜〜!シ、シシカマルせんぱっい!!
ええっと!!?うーん、えーー。」
と言うなり百面相してやがる。
ふざけんな、俺は今から
この恋愛に一石投じようと必死なんだ…が
ブハッ
やべっ…吹き出したw
と同時に先ほどの緊張感が綻んでいく。
「あっ!笑いましたね!
このっ…」
「ん?この…?」
なんだかさゆりはバツの悪そうな顔をして
「意地悪だ!先輩は!
私だって色々必死で…」
まーたいつもの決まりの音量。
デケェよ、急に。
でもそれさえも可愛いなんて思ってしまう。
「いやーすまんすまん、ついな」
と笑った。
それをみてさゆりも笑う。
今2人は久しぶりにちゃんと向き合った瞬間だった。
お互いを、居心地がいい、
楽しい、もっと…一緒にいたい。
そんな柔らかな雰囲気に包まれていた。
「あ、あの」「あのさ」
2人の一声が重なる。
2人ともどーぞどーぞと手を向けたが
俺は先にさゆりから何を告げられるか
少し恐怖もあったので
ここは甘えて先に伝えることにした。
「さっきも言ったんだけど
一緒にメシでも…行かね?」
と頬をポリポリかきながら
ほんのり赤い耳。
正直ここにきて中忍祝いだとか、
そんな理由はシカマルにはどうでも良かった。
その言葉を聞いたさゆりは
目を見開き、さっきまで少し赤かった頬が
より赤くなったように見え
「わ、わたっしも同じこと
言おうと思ってました!!」
「…じゃー今度、会いてる日教えて」
そうシカマルが目を逸らしながら言うと
「もちろんです!」
さゆりの久しぶりに見た屈託のない笑顔に
タジタジになる。
それは、ズルいだろ。
はー、こりゃさゆりに対しては惨敗だな。
この出来事に
シカマルはもしかしたら
俺にもまだ、挽回のチャンスがあるんじゃ無いかと
確かに感じていた。
2人は任務の予定を確認し
デートの日取りを決めた。
ーー
「木の葉丸〜それでさ〜」
「おう」
「…さっきから上の空でどした?」
俺は今日は非番で
適当に里をぶらついてた。
そしたら知り合いの下忍に捕まって
話しながら歩いていたところ。
あれは、シカマル先輩っと
さゆり?!
2人で楽しそうに歩いてる。
さゆりとはあの任務から
特に進展はない。
そもそもあんまり見かけることもなくて
約束したわけじゃない俺は
進展に加速をかけられないでいた。
「そーいやさゆりだっけ?」
「ん?知ってんのかコレ?」
思わず口癖が…
「ははーん、お前もしかして…」
「…そうだよ」
こいつには
もう隠し通せそうもないので
素直に答える。
「そういえばさゆりって名前だっけ?
確か前に一緒に任務就いたことあるけど
Dランクとかその辺りの」
「うん」
「その時となんか雰囲気違くね?
俺その時、結構こえーって思ってたけど
こう笑ったりすると結構かわ…」
「だーめ。
それ以上は言わない。
揶揄うにも程がある」
知り合いの下忍は
すまんと慌てて両手を合わせながら言うと
別れていった。
にしても
この間はシカマルさんに生意気な口叩いたなと
少し反省した方が良いと思ってたが…
ま、反省するどころか
気張っていくしかねぇってとこかな。
3人の想いが固まりつつ
それぞれの方向に動き出していた。
ーー