意地悪な先輩
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私はあの任務の日、シカマル先輩から
慰めてもらったことで柄にもなく
心の中では浮かれてしまっていた。
だってシカマル先輩は私じゃなくても
なんだかんだ面倒見が良くて
他の人にも同じことをしてるんだって…
そんなの先輩だから当たり前なのに
どうしてこんなに胸が締め付けられるのだろう。
こんなことだったら、優しくしないで欲しかった。
こんな気持ち知らない方が良かったのに。
-----------------意地悪な先輩 4
主人公side
今日は以前木の葉丸と打ち合わせをしていた任務だ。
多分、多めに見積もって
4、5日くらいはかかると思うけど。
いやぁでも、本当に木の葉丸に久しぶりに会った時
驚いたよね。だってあんなに小さかったのに
私よりも背が高くなっていて、
身体つきも男の子だなーって感じがする。
でも、やっぱり中身は変わってなくって
一緒にいると楽しい。
なんか昔に戻ったみたい。
今回の任務は
あうんの門で待ち合わせをしているのだが…
「遅くなってごめん」
「ううん、大丈夫。予定の時間よりも早いし
木の葉丸遅れちゃうかなーって
お姉さんは気をきかせておきました!」
なんちゃって、昔みたいな感じで。
そしたら木の葉丸はなんだかムスッとしてて
ん?なんかダメなこと言っちゃったっけ…
と考えてると
そうだ!この間「もう子供じゃ無い」
みたいなこと言ってた。あれかな…
「い、いや!ごめん、ついついネ…」
なんてあははと誤魔化してると
「それ、今回の貴重箱?」
と言って私の肩に担いでいる袋を指差した。
その言葉に頷くと荷物をヒョイっと持って
「俺がこういうのは持つから
ちゃんと頼って」
ってなんなの、こんなに大人になって
頼もしい限り。
会わないうちに別人になったかと錯覚するよ…。
「ありがと」
それが寂しいような
でも、成長した姿がとても嬉しくて
思わず笑顔が溢れた。
木の葉丸がその顔を見惚れているとも知らずに。
私たち2人は任務の確認をさらっと終え、
砂の国へと向かった。
ーー…
「やっぱり砂の国ってかなり遠いよね」
さっきからかなり飛ばしているつもりだが
時刻毎に設定した目的の場所まで、もう少しかかりそうだ。
「まぁ、少しルート変更したし
5代目様も急ぎとは言ってなかったな。
あまり急がず丁寧に行こう」
そうね、といい
2人ともペースを少し落とし向かう。
「夜はなるべく交代で仮眠を取ろう。
何かあればすぐ起きれるようにしておく
そろそろ現段階で予定の場所に着くけど
休憩大丈夫か?」
「うん、だいじょう…ぶ」
と、この間の任務で
勢いよくぶつかった肋骨の辺りが悲鳴をあげていた。
「お、おいっ」
スピードが一気に落ちる私を支えるように
背中に回ってくれた。
礼を伝えると
流石に小休憩をしようと休憩場所を探してくれた。
「ここなら、敵もいない。大丈夫だ」
そう言って、横に寝かしてくれた。
つってるのか、この間の衝撃で
軋むように肋骨の辺りが痛い。
「ねぇ少し水くれる?」
おおって言ってボトルを渡してくれたけど
あれっ、ほんとにつってる??
起き上がれないくらい痛い…。
一時的にだと思いたい。
「…っうっ……」
思わず起き上がれない痛みに
嗚咽が出る。
「なんだ、大丈夫か?怪我か?」
「ううん、この間の任務の衝撃で肋骨辺りが…
骨折ではなかったんだけど
痛みでつったような感じになってる
多分、しばらくすれば治ると思うから」
「おう、それならしばらく安静に…
起き上がれないんじゃ、水どうするか。
つってる感覚なら、むしろ脱水症状が原因で
起こっている可能性もある。
ちと、きついかもしれないけど
起き上がれるか?さゆり」
いや、言ってることはわかるけど
今急激に痛い。
「む、無理です…」
今にも泣きそう。
情けない。どんだけ自分が浮かれてたかわかる。
任務が終わってから痛むことは無かったのに。
私の様子を見た木の葉丸は
うーんと考える素振りをして、
「えっと…まぁさゆりが気にしねーっていうなら
口移しで飲まそうか?」
え〜と心の中では思って笑っていたが
ふと見た木の葉丸の目は至って冷静で
真剣に言っているようだった。
…え、でもでも
まだキスなんてしたことない…
なんて考えてたらなんか身体が熱くなってきた。
うう、私ったら何考えてるの。
これは任務の途中。任務だから。
と言い聞かせ、
「あの、こ、木の葉丸
お願いしますっ…」
「…へっ?あっ…おう」
と木の葉丸は口に水を含み
私に近づく。
だけど、目をぱちくりさせてる。
ん?なんの合図?
その瞬間、目を手で隠されて
唇が重なった。
冷たい水が口に入ってくる。
あーーおいしい。
ん、でも口移しする水は流れ込んできたはずなのに
唇が離れない。
流石に苦しくなってきて
目を隠されていた手を退けると
同時に唇が離れ、木の葉丸の顔が見えた。
顔を赤くして、苦しそうな顔が。
「ご、ごめっ…
そ、そのっ…つい」
「つい?」
つい、どうしたんだろ。
「いや、ついってゆうか、なんていうか
あー、えとそうだ。俺は
は、初めてだったから緊張してつい…?
ってかなんでそんなに普通にしてられる」
と私を恥ずかしそうに見るから
「えーと、言われれば私もこういうのは初めてだし
だ、だけど任務でしょ!これは。仕方なくだからっ」
木の葉丸「目、閉じるのも知らないのにか〜?」
といってニヤニヤしてきた。
!!
さっきのはそういうことか…
私ったら、眼、ガン開きだったかも。
だって痛み尋常じゃなかったし、
キキキキキスだって初めてで
いや、キスじゃない!
これは口移しという名の任務!
って頭ぐるぐるしてきた。
「ちょちょっと安静にさせて…」
というと、「すまんな」と木の葉丸は
周りを警戒する体制に入った。
少し経つと、ガサっと音が鳴る方向に
2人とも振り向く。
木の葉丸が確認しに行くと
「猫だった」と
私はすっかり起き上がれていて。
それならそろそろ行くかと木の葉丸は言い
再出発をした。
特に砂の国に着くまで野宿で夜は過ごし
無事4日かけて砂の国に到着した。
中身の受け渡しのため、風影室に通される。
私たちも中身を知らないため、待機室で待つが
何事もなく渡ったようだった。
さて、もうあとは帰るだけだ。
私たちは砂の国を出て
木の葉に帰る。
ーー…
「何事もなく今回の任務終われそうだね。
良かった、木の葉丸がいてくれて」
本当にそう思う。
昔からの付き合いというのもあるが、
よく人のことを見ているな、と感じるし
何より、優しい。
「おう。その言葉は俺も嬉しいな。
さゆりと久しぶりに会えて
しかも同じ任務とは…
少しは昔の俺から成長したかな?」
「成長したよ、あったりまえじゃん!
木の葉丸は背も伸びたし、人のことよく見てる。
気も遣えるし、優しいところは変わらないよね」
自分でもベタ褒めだなと思ったが
実際そう感じたのだから隠す必要はない、と思った。
「…だ…ら」
何か小声で言った?
「木の葉丸、なんか言った?」
と隣の木を飛ぶ木の葉丸を見る。
「いや、なんでもない!」
と言って、ニカっと笑い
ありがと!と礼を言われた。
「やっぱり行きは物品持ってるから
丁寧に移動してたが
このペースなら帰りは予定よりも早く着きそうだな
夜は流石に仮眠とるか?」
確かに、この時間で予定のペースよりも早いので
行きは4日間ほどかかったものの
帰りは2日、いや2日半ぐらいで帰れそうだ。
1日ぐらい仮眠を取って
それ以外は遅めのペースで行こうか。
「そうだね、そうしよ」
そう言って、木の葉丸の方をみると
何か考え事をしているようだった。
昔から、頬杖つくようなポーズをして
なんとなく眉間には皺が寄っている感じだ。
「木の葉丸?」
木の葉丸「あっ、すまん。ちょっとな…
そういえば、彼氏いないって言ってたけど
す、好きな人は?」
「すっ好きな人?!」
うーん、私恋愛経験ゼロだし、
そりゃ告白とかされた経験がないわけではないけど
好き、とかそう言うのがわからなくて
ごめんなさいと振っていたから…。
「うーん…
わかんない」
木の葉丸は、あ?とか言って
「好きな人すらできたことないってか…
そういやこんな話、
さゆりとはしたことなかったもんな」
「ねぇ、好きってどういう感覚なのかなぁ」
「……俺がお前にそういう感情を抱いてる」
「え?」
「だーかーら。
俺はずっと前からその感情を抱いてるんだって」
「…」ん?
それは私のことが好きってこと?
「えっでもそれは、なんというか
幼馴染的な好き、みたいな、そーゆー…」
後ろから大きなため息が聞こえた。
そろそろ暗くなる頃だ。
木の葉丸「ん、まぁそろそろ野宿する場所決めよ。
ついでのさゆりの恋愛相談も乗ってやんよ」
ってニシシと笑った。
私は驚き?を隠せないでいるけど…
そんな私に見向きもせず場所を探し始め、
決まったかと思うと
木の枝を持ってきて火を着けた。
木の葉丸「ま、先に仮眠いいぞ」
そういってくれたので遠慮なく
横になる。
「あのなーさっきの俺本気だから
考えといてほしい」
んー?考える?
「えっ何を??」
と純粋に思ったので聞くと
またもや木の葉丸がハァと深いため息を着き
「俺はさゆりのことを好き。
だから、俺と付き合うってのを考えてほしい」
これが告白なのは私でもわかる。
「……付き合うって何するの?」
「……2人で一緒に出かけたり
そのー、さっきみたいなことしたり
まぁ好きもの同士でイチャイチャすることかな」
「でもそれって今のままでもいいんじゃないの?」
「…ほんとにそれ言ってる?」
外を警戒する木の葉丸が、
横になる私の手を握る。
「木の葉丸?」
私の手を握ってきた木の葉丸は
もう昔の小さな手じゃなくて
しっかりした男性の手だった。
少しドキッとした。
「ちょっとさゆり、
少し起き上がれる?」
な、何されるのか…
そのまま上半身を起こすと
握ってた手を引っ張られ
座った木の葉丸に抱き締められてる…?
えっと口から漏れる。
より背中に回る腕に力が入る。
「木の葉丸…く、苦しいよ…」
「ごめん…
さゆりはこうされて、どう感じる?
なぁ、俺とこうしててドキドキするか?」
ドキドキ…?
木の葉丸と一緒にいて、ドキドキする…?
「木の葉丸は、大事な大事な…
後輩…だ…よ」
その言葉に、木の葉丸の私を抱き締めていた身体が
ピクっと動いた。
そうして何も言わず、
私を離した。
離した木の葉丸は何も言わず
伏せた目をゆっくり上げた。
この時間は、一体どれくらいだっただろう。
ほんの数秒の出来事が、
私にはスローモーションのように見えた。
成長した木の葉丸の茶色がかった髪の毛のすき間から
私を見る目は、私の知っている彼ではなかった。
そして私の手を取り
「さゆり、俺はさゆりのことが本気で好きだ。
ずっと前から誰よりも」
ーー