意地悪な先輩
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なんとなく気になるアイツ。
なんっか、常に冷静で感情を出さないようにしてるかと思いきや
いじってみりゃ
結構面白い反応するしよー。
俺は、いじりがいのあるやつはついつい構っちまう。
それが、恋愛感情「抜き」でもだ。
-----------------意地悪な先輩 3
シカマルside
大名のご子息の護衛も終わり、
俺とさゆりは火影室で5代目火影様に今回の任務の報告を行なっていた。
綱手「シカマル、さゆり
任務ご苦労だった。
シカマルから聞いている、額当てのない3人…
今身柄を捜索中、感知班とともに情報を探っているところだ。
ひとまず重要な情報はまだ上がっていない。今後の調査はこちらで行う。
無事、これで今回の任務は終了だ。
ご苦労だった。」
俺は、綱手様の言葉を聞くなり
わかりました、と言い
火影室を後にし、踵を返そうと足を出したとき
さゆり「………綱手様…」
その言葉に俺はその場に留まる。
綱手「なんだ。」
さゆり「わ、私は……」
と肩を震わせ、
今にも泣きそうな小さな声で
続きの言葉を絞り出そうとしていた。
俺も振り返り、その姿を後ろから見守っていた。
綱手「…さゆり。今回のことはシカマルから聞いている。
2人で任務に就いていながら別れて行動したこと。その一瞬の隙が、命取りになる。今回がそのいい例だ。」
さゆり「…はい…」
綱手「しかし、今回の任務ではかなり腕が立つ相手だった。
その中でさゆりは、冷静に状況を見極め、自分にできることをやった。
それが今の結果だろう。
普段の任務とは少し違う実戦で、新たに成長する糧を得たのではないか?」
さゆりはその話を小さく頷きながら、聞いている。
だけど、本当は今にも泣き出したいんだろ。
こんな小さな背中に、
いっつも無表情で「当然」かの様に切り抜けてる、みたいな雰囲気出しやがる。
立ったまま肩を震わすさゆりを見て
綱手「シカマル。今回の任務の反省をしてやれ。
しっかり自分の気持ちと向き合うんだ。
わかったな、さゆり」
とさゆりの方を見て言い放った。
「…わかりました」
俺はそういい、さゆりに目配せすると一緒に火影室を後にした。
少しの沈黙が続く。
何話してやったらいいんだ。
ひとまず
「さゆり」
さゆり「は、はい!」
考え事をしていたのか、驚いてる。
「大丈夫か?」
さゆり「…何、がですか…」
綺麗な瞳に溜まっている涙が
助けてほしいと言っている様に見えた。
「ったく、何がって………
お前、鼻水出てんぞwきたねー顔w」
3秒くらいして、目を見開いて
さゆり「シカマル先輩。
こんな時ぐらい優しくできないんですかー!!!!」
おっと、さっきとは声のボリュームが全然ちげえ。思わずビクッとしちまった。
いつもなら、もっと冷静に突っ込んでね?いや、こういう風に返す時もあるがよー。
って…
「俺に優しくして欲しかったの?」
その言葉に、またさゆりはハッとしたような顔をして
すぐ顔が真っ赤になった。
さゆり「や…えっえっと?
え?ん?…ち、違いますよ!!」
ブッ
思わず吹き出した。
なんだその百面相。顔は赤いけど。
照れてんのか?
こいつやっぱかわいいとこもあんだな。
「いや、落ち着けってw
ふっ……わかってるって
でもほんとは泣きたいんだろ?」
さゆりと目があって、
すごく綺麗な目に涙が溜まっているのが今にも溢れそうだ。
さゆりの眉はゆっくり下がり
俺の胸にドンと突っ込んできた、
かと思いきや
「うっ…ぐっ…」
泣く声が聞こえた。
こんなにさゆりは小さかったか。なんて思う。
可愛くて頭を撫でたりしてやりたがったが、ここはまだ火影室がある建物の中だ。
見られたら、…まぁ俺も恥ずい。
別にやましいことがあるわけじゃねぇがな。
「さゆり、俺の前でたくさん泣いていいからちょっと場所変えよう」
と言って、足早に建物を出る。
まぁいつもの空を見る場所にでも行くか…
こいつチャクラも大して残ってねーしな……
まぁ家に帰ってから養生するのは、思いっきり泣かしてやった後でもいいか。なんて思いながら
さゆり「キャッ!!ん!!!???」
「あっ暴れんな!!!
どこにそんな力余ってんだ」
いわゆるお姫様抱っこをして、
お気に入りの特等席に連れて行った。
暴れてたさゆりも、次第に楽しいとか言って。さっきの涙はどこへ行ったのやら。ふぅ。
「…着いた。」
さゆり「ここって、特等席ですか?」
「俺、言ってたっけ」
さゆり「たしか少し前にそんな話をしたような…
って感じでうろ覚えですけど」
珍しいな。この場所を知らないやつには
取られんの嫌だし、言わないようにしてたんだが。
絶対そんなことしなさそうだから、言ったんかな。
さゆり「…あの、
この場所良いですね。
…あと、涙、ひいちゃいました」
とさゆりは、
眉を下げながら笑ってた。
その表情はとても可愛くて守ってやりたいという気持ちを感じさせた。
確実にさゆりの中で
何かが変わっていることを
俺は感じていた。
「いいだろ、ここ。
まぁ、特別にご招待ってことで。
あんまり頻繁に来んなよーーw」
と頭をくしゃくしゃした。
本当は、抱きしめて落ち着かせてあげたがったが…
ん?
いや… まぁ本人が笑ってて、それでいいってんならそれでいいだろ。
別に俺が慰めなくたって、さゆりは成長してる。
心身ともに。
俺がいなくても…。
「少しは落ち着いたか?
今回の任務は…綱手様の言った通りだと思うよ」
さゆり「はい…。
綱手様への報告、ありがとうございました」
そしてこっちを向くなり
さゆり「シカマル先輩…
誰にでもあんなことするん…ですか」
なんて悲しそうな表情をして聞いてきた。
「あんなこと?
あぁ…ここに連れてきたことか?」
さゆり「そ、それもそうですけど…
お、お姫様だっこしたりとか!」
ちょっと怒ってんのか?
……今の1時間くらいでこいつの感情も忙しいモンだな。
「あーー、誰にでもっていうか
心配だったし…
気晴らしになんじゃねーかと…」
さゆりのことが心配だった。
それだけだ。
さゆり「…そうなんですね」
と言って正面に顔を戻すと、
そろそろ帰ります。とさゆりはすぐ帰っていた。
その背中は、
なんとなく寂しいような
まだ、何か俺に言ってない負の感情があるのではないか。
なんて、深掘りしすぎか。
あんまりめんどーなことに巻き込まれたくねぇし。
そう思って俺は、暗くなってきたことだし家に帰ることにした。
……ー次の日
今日は、昨日の任務の休暇をもらい
久しぶりに元10班の奴らと飯を食いにきた。
チョージが焼肉と駄々をこねたが
流石に金がねぇっつってアスマが別の和定食屋に連れてきた。
俺はなんでも良いんだけどよ。
いの「ねぇねぇ、この定食めっちゃおいしそーなんだけど!!
シカマル何にすんの?」
「んーーー、
まぁ俺は鯖の定食でいいかな」
いの「いや、あんた毎回それじゃん!ほんと好きよねー。」
券売機の前で話してると、
自分達以外の1組が後ろに並び、定食を考えてる。
「おいっ、お前らまだ悩んでんなら
後ろ先にっ…」
と譲ろうと振り返るとさゆりがいた。
さゆり「あっ!シカマル先輩!」
と嬉しそうに笑う。
「お、おう…」
なんだかそんな笑顔したっけ。
不意打ちに狼狽える俺が居る。
木の葉丸「お疲れ様です」
さゆりと木の葉丸か…
にしても本当にこいつ急激に背が伸びた。
俺とそんなに変わんねーじゃねぇか?
つか2人で飯か…
木の葉丸「どうしたんですか?シカマルさん」
「ん、ああ俺たちまだ悩んでるから
先にって…」
さゆり「木の葉丸、決まった?」
木の葉丸「おう
じゃあ遠慮なく
先に買わせてもらいます」
と言って、俺たちは券売機前から避け
2人が食券を買っていた。
木の葉丸が背が伸びたからでもあるが、
さゆりは背が少し小さい。
というか華奢だからか…、
前にいる2人の距離感、背丈を見ると
もはやお似合いのカップルに見える。
そうか…別に他にもさゆりを気に掛けるやつはいるよな。
俺は何当然のことを…
いの「…シカマル?!なにぼーっとしてんの?!
ってか前の2人のこと見過ぎでしょ!」
と後半は小声で耳打ちしてきた。
「別に…」
いの「しっかし、木の葉丸も最近急激に背が伸びちゃって
なんか逞しくなったというか…、ナルトとあんなくだらない術で対決してたヤローとは思えない仕上がりだわ」
そんないのの戯言は他所に
さっさと前の2人は食券を買って店に入っていったし、
俺たちも食券を買って、定食屋のテーブル席についた。
しかし、なんでここしか空いてねーんだ。テーブル席のすぐ近くにカウンター席があって、ちょっとしたバーの様な作りの店内だが…
俺の座った場所から、ちょうど木の葉丸が見える。
若干、さゆりも見えるが、ほとんど木の葉丸で隠れている状態だ。
いの「ねぇ、ほんとに今日ぼーっとしちゃってどうしたのよ?!」
「あ、ぁすまん」
いの「…」
いのがチョージと話して、アスマは相変わらず紅さんの話をしてるし、
いつもと同じ日常、だ。
視線の先の2人を除けば。
2人は何やら、
1枚の紙をもとに覗き込んでおり
やけに距離が近い。
けっこー、楽しそうに話すんだな…。
なんで俺、こんなに気分が落ちてんだ…?
俺以外のやつとプライベートでちゃんと話してるのを見るのは、
初めてだってだけで…
なんだ、この胸がザワザワしてんの。
ふと考え事から顔を上げると、また2人が視線の中に入ってきて
だからさっきから距離がちけーんだよ。
よく目を凝らすと、木の葉丸の手にさゆりの髪の毛…触ってる…のか?
どういう経緯でそうなったのかわからんが、2人は付き合ってるのか?
なんで、こんなに気になるんだ。
さゆり、そんな顔で今まで笑ったか?
俺は、混んでいて遅い飯を恨みながら
処理しきれない感情と共に、
トイレと言って席を立った。
本当は、気になっていた。
2人の会話が、関係性が。
思えばこの時
俺は自分の気持ちを自覚せざる負えない瞬間だった。
ーー