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幻想殺しと幻想起こし【禁書目録】【ダンガンロンパアナザー】

「あー!待ってよスフィンクスー!」

「おいおいお前ぇ!!もういい加減三毛猫外に連れ出すのやめよう?!逃げ出してばっかじゃん!」

「そんなことないもん!とうまを怖がってるだけだもん!」

「酷い!俺のせい?!」

これが上条当麻の日常。
諸々の説明は省くが、兎に角上条当麻は不幸体質が生まれつきだった。それはもう酷く重度に。
現にこの謎シスター少女…インデックスがそうだ。結果的に色々あって住み着くようになった居候である。

ここは学園都市。異能力者が蔓延る、学園だらけのちょっと科学が進みすぎた都市である。
異能力者だと言うのであれば、上条当麻は一体なんの能力者だ?と思っただろう。

上条当麻の右手には幻想殺しイマジンブレイカーという能力が宿っている。内容は「それが異能の力であるのなら、例え神様の奇跡システムでも打ち消せる」という代物。そんな能力超能力者レベル5でも良いと思うのに、対異能の力が無いと何も起こらないただの右手だから何も測れず結果的に無能力者レベル0判定になっている。これも不幸の1つだろう。


で、今はインデックスが(半ば無理やり)飼っている三毛猫「スフィンクス」(インデックスのネーミングセンスは壊滅的)が逃げ出してしまったので追いかけている最中である。
これも不幸だと思われた。

そんなこんなしていると状況は更に緊急事態に陥っていく。

「やばいよとうま!スフィンクス、あのまま言ったら赤信号道路に突っ込んじゃう!」

「どうしようどうしよう?!あぁもうやばいヤバイ!!」

(やめてくれスフィンクス止まってくれこんな昼間からトラックに引かれた猫死体とか見たくないし見せたくない!!神様頼むよやめてよ!!

だーーーッ、不幸だ!!!!!)

上条当麻は心の底から叫びたくなる気持ちを抑えつけ、全力疾走を続け、

しかし

「…む?スフィンクス、止まった?」

「あれ。ん?」

逡巡しっぱなしの頭はスフィンクスが立ち止まったことによって遮られた。

スフィンクスの視線の先には人がいるようだ。人が邪魔なのだろうか、はたまたその人が気になったのか。

見るとその人は明るい茶髪の整えていないショートヘアが特徴の男子学生っぽかった。毛先が畝っているところを見ると天パだろうか?ネクタイを妙に雑な感じで首に巻いて、シャツのボタンも幾つか空いている。
その隣にはもうひとり誰かいるようだった。
その隣の人はもう少し濃いロングの茶髪を降ろしていた。何より気になるのはその服装であり、俗に言うメイド服のようなものを着ている。しかしそのメイド服にエプロンはつけておらず、どこかのキャラのコスプレイヤーさんか何かだろうか?と上条当麻は思う。しかし土御門舞香もいるので侮れない。ただ、舞香のメイド服とはまたデザインが一風変わっているようだ。

と、その妙ネクタイの茶髪がスフィンクスを抱き上げる。スフィンクスはみゃあみゃあなきわめくこともなく、どうやら初対面にいきなり懐いているようだ。未だ上条当麻に懐いたかと言われると怪しいのに、初対面にいきなり。これも不幸の一環…なのだろうか?

抱き上げたスフィンクスをしばし見つめたあと、上条当麻の元に二人がやってくる。


「……貴方のだよね。どうぞ。」

しかしその目は、男子学生だと言うにしては。


酷く虚ろだった。


「あっ、え。はい…ありがとうございます」

「ありがとうだよ。」

戸惑いつつもその男子学生に感謝を述べると、インデックスも続けて述べた。しかし男子学生はそんなこと気にする様子も無く、

「…別に。」

と返すだけ。流石に懐に落ちなくて御礼か何かをしたいが、しかし上条当麻に時間の余裕はあってもお金の余裕は無い。どうするかどうするかと悩んでいると、2人の会話が耳の中に入って来る。

「空ろ様って、動物がお好きだったんですね。分かります、私も小動物は好きなんです」

「…。猫と兎は、悪くないと思っている。」

「ふふ、いいですね、猫。この子は三毛猫ですよね?」

いきなり話題を振られ多少当惑したが、

「うん、スフィンクスは三毛猫だよ。しっぽがチャームポイントなの、毛もふさふさで可愛いんだよ」

とインデックスが即座に答える。

「スフィンクス様と言うのですね。少し撫でてみても?」

「うん、良いよー。頭を撫でると喜ぶかも?」

…そしてインデックスは既に初対面と仲良くなっていると来た。打ち解け具合は凄まじいが、隣にいる天パ妙ネクタイが無性に貧乏ゆすりをしているような気が。

「…その、御名前を聞いても?」

そして、上条当麻はなんとなく感じ取っていた。

何か、此奴とは謎の運命があるかのような、そんな関係を。
例えるなら、上条当麻は透明な糸を手繰り寄せてしまった感じだった。凡人には見えない、上条当麻とその男子学生だけの間で繋がっている糸。

「…名前?…名前だって、平良」

「名前ですか?…私は平良たいらあかねと申します。」

「……まぁ、じゃあ、うん。…僕はうつろだ、そんな名前を使っている。…馴染みやすい名前で呼びたいなら、前田まえだ勇気ゆうきで良いよ。」

平良茜、前田勇気…空ろ。

(うん。色々ヤバい人達だ!!!)

直感した。こいつらはやばい、絶対に只者ではない。
然し、上条当麻は思った。出会ってしまった以上この出会いには意味があるのは間違いない、経験値がそう言っている、と。今迄の出会いで意味がなかったものなど無いのだ。
それに、好奇心でもあった。上条当麻はこの時点で既に、友達になろうという気しかなかったし、こいつの笑顔を見てみたいとも思っていた。
だから上条当麻は、近寄ろうと決心したのである。
例えそれが、後に不幸に発展したとしても。

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