(切)愛苦しい
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その日から、俺たちの関係は変わった。
そして、リイナは全力で笑う代わりに、はにかむ笑顔をするようになったのだった。
それは、リイナが隠し事がうまくなった証拠だった。
逢瀬を重ねた何度目かの夜
リイナは珍しくすぐには帰らず、ぼんやりと天井を見つめていた。
気だるげなその表情からは何も感情を読み取れない。
この頃にはリイナは何度か平門と会って朝帰りもしてきていて、だがもうそれで完全に平門のものになったとは思えなくなっていた。
俺が先にリイナのすべてを知ったからかもしれない。
ただその体に染み付いただろう平門の痕跡には嫉妬して、焦りも感じていた。
二人の関係が良好なら、俺の出番は終わってしまうからだ。
不安定なこの関係をどうにかしたい。
俺だってずっとこのままはよくないとわかっている。
リイナを独り占めしたいと、その気持ちは日ごと膨らんでいった。
「リイナ」
リイナはふと俺に視線を向けて、俺は仰向けに寝ているその上に乗った。
口づけを何度も何度も繰り返して、そっと見つめた。
…俺を、選んでくれ。
「…俺は、真剣にお前のことを…」
意を決した。
なのに、最後まで言う前に唇に人差し指を当てられた。
「…それ以上は、言っちゃだめ。絶対に。」
「…なんで…」
「最初にそうしたのは、朔さんでしょう?」
リイナはいつものようにはにかんで…それでハッとした。
確かに、最初に気持ちを隠してつけこんだのは俺だ。
リイナは俺の気持ちにとっくに気づいていた。
リイナは体を起こして服を拾い始めた。
「私、朔さんのこと好き。でも…平門さんのことは、愛してる。」
「………」
「ずるいよね。どうしたらいいかわからないの。」
ピンっ…と、糸が張った。
気持ちを伝えれば、簡単に切れる。
この関係も終わる。
平門のところには泊まるのに、俺のところには泊まらないその線引き。
決して俺を選べとは言わせない雰囲気。
「だからね、私が朔さんを利用しているの。寂しさを埋めるために。」
「お前…」
「平門さんには絶対こんなこと言えない。知られるのが怖い。でも、私が朔さんを利用して逃げてるの。だから、朔さんは悪くないよ。」
リイナは久しぶりに、愛くるしく笑った。
…胸が、痛い。お前を苦しめているのに、それでもお前を手放せない俺をお前は憎まないのか。
俺は、これ以上の関係を望んだらだめなんだな。
俺が選んだことなんだから。
この気持ちを伝えたら、お前は余計に苦しむ。
割りきった関係を保つことで、ずっとこうしていられるなら。
「…お前は、悪くない。俺がお前を、勝手に欲求の処理にでも利用していると思えばいい。」
「………」
最低だ。
そんなふうに利用したことなんかないくせに。
だが、俺をそんな最低な男だと思ってくれ。
お前が少しでも罪悪感に苦しまないように。
「…うん、わかった。」
そして、お前ははにかむように笑った。
そして、リイナは全力で笑う代わりに、はにかむ笑顔をするようになったのだった。
それは、リイナが隠し事がうまくなった証拠だった。
逢瀬を重ねた何度目かの夜
リイナは珍しくすぐには帰らず、ぼんやりと天井を見つめていた。
気だるげなその表情からは何も感情を読み取れない。
この頃にはリイナは何度か平門と会って朝帰りもしてきていて、だがもうそれで完全に平門のものになったとは思えなくなっていた。
俺が先にリイナのすべてを知ったからかもしれない。
ただその体に染み付いただろう平門の痕跡には嫉妬して、焦りも感じていた。
二人の関係が良好なら、俺の出番は終わってしまうからだ。
不安定なこの関係をどうにかしたい。
俺だってずっとこのままはよくないとわかっている。
リイナを独り占めしたいと、その気持ちは日ごと膨らんでいった。
「リイナ」
リイナはふと俺に視線を向けて、俺は仰向けに寝ているその上に乗った。
口づけを何度も何度も繰り返して、そっと見つめた。
…俺を、選んでくれ。
「…俺は、真剣にお前のことを…」
意を決した。
なのに、最後まで言う前に唇に人差し指を当てられた。
「…それ以上は、言っちゃだめ。絶対に。」
「…なんで…」
「最初にそうしたのは、朔さんでしょう?」
リイナはいつものようにはにかんで…それでハッとした。
確かに、最初に気持ちを隠してつけこんだのは俺だ。
リイナは俺の気持ちにとっくに気づいていた。
リイナは体を起こして服を拾い始めた。
「私、朔さんのこと好き。でも…平門さんのことは、愛してる。」
「………」
「ずるいよね。どうしたらいいかわからないの。」
ピンっ…と、糸が張った。
気持ちを伝えれば、簡単に切れる。
この関係も終わる。
平門のところには泊まるのに、俺のところには泊まらないその線引き。
決して俺を選べとは言わせない雰囲気。
「だからね、私が朔さんを利用しているの。寂しさを埋めるために。」
「お前…」
「平門さんには絶対こんなこと言えない。知られるのが怖い。でも、私が朔さんを利用して逃げてるの。だから、朔さんは悪くないよ。」
リイナは久しぶりに、愛くるしく笑った。
…胸が、痛い。お前を苦しめているのに、それでもお前を手放せない俺をお前は憎まないのか。
俺は、これ以上の関係を望んだらだめなんだな。
俺が選んだことなんだから。
この気持ちを伝えたら、お前は余計に苦しむ。
割りきった関係を保つことで、ずっとこうしていられるなら。
「…お前は、悪くない。俺がお前を、勝手に欲求の処理にでも利用していると思えばいい。」
「………」
最低だ。
そんなふうに利用したことなんかないくせに。
だが、俺をそんな最低な男だと思ってくれ。
お前が少しでも罪悪感に苦しまないように。
「…うん、わかった。」
そして、お前ははにかむように笑った。