(甘)君のいちばんすきなもの
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次の買い出しの日を翌日に控えて、私は部屋で頭を抱えていた。
……当番は私と與儀。
與儀と二人での外出は初めてではないけど、毎回私は緊張して頭を抱え悩む。
(…何を着ていこう…。)
任務の時とはまた違う、外出。
プライベートではない仕事のうちではある、のだけど、なんとなくデートのような気持ちでソワソワして落ち着かず、部屋で服を引っ張り出しては身体に当ててみて、何か違う…を繰り返した。
……デートだなんて、與儀は思いもしないんだろうけど。
だって私のこの気持ちは、私だけの一方的なものだから。與儀にしてみればこの外出はただの仕事のひとつで、個人的な感情なんてあるはずがない。
それでも、私は任務以外で與儀と街に出られることに、どうしたって心臓がドキドキしちゃうんだ。
少しでもいいから、與儀に可愛いと思ってほしい。私も女の子なんだって意識してほしい。
與儀に会う時の私は、いつだって最高に可愛い自分でありたい。
そのためにはどうしたらいいのか、私は與儀への想いに気づいてからずっと悩んでいる。
夜も更けてなかなか服が決まらずにいると、ふとドアがノックされた。
もう寝る前なのに誰だろう?と思いながら出てみると、外にいたのは與儀本人だった。
あまりにびっくりして、そして部屋中に拡げた服たちを見られたくなくて、慌ててドアが開きすぎないように気をつけながら顔を出した。
「…どうしたの?」
「ごめん、もう寝る頃かな?って思ったんだけど…リイナちゃんにお願いがあるんだ。」
「お願い?なに?」
與儀からお願いなんて、改まってどうしたんだろう?と首を傾げたら、與儀は少し気まずそうにキョロキョロと視線を泳がせた。
「明日の買い出し、寄りたいところがあるから、できたらクッピーを停めたら少しだけ別行動じゃダメかな…?あまり待たせないようにするから…。」
寄りたいところ……個人的に行きたい場所があるのかな?
あくまでも買い出しは仕事中のことだから、個人的な外出と一緒にするのはあまり良くはないんだけど…與儀もそれはわかっているんだろうし、なのにわざわざこうして私にお願いに来るくらいだから、よほど大事な用があるのかもしれない。
それに與儀のことだから、絶対に悪いことはしないって信頼もできるし、少しくらいなら単独行動をしても大丈夫だろう。
私の様子を恐る恐る窺ってくる目線に応えるように、私は笑って見せた。
「うん、いいよ。平門さんにはナイショね?」
「ほんと?ありがとう!!」
「私も適度に時間を潰しているから、用事が終わったら連絡をくれる?」
「うん!!本当に、待たせないようにするね!!」
「ゆっくりでいいよ、せっかくの外出なんだから。」
「ううん、それこそせっかくリイナちゃんとお出かけなんだから、あまり待たせたらもったいないから!」
「……………………」
與儀の言葉に思わず黙り込む。
深い意味はないのはわかる、けど…どうしても深い意味を持たせたくて意識してしまう。
それでも、この気持ちはバレるわけにはいかないから、実は期待に心臓が高まっているのを悟られないように、なんとか平静を装って表情を作った。
けどね、嘘だけはつきたくない、與儀にはいつだって誠実でいたいから…ちょっとだけ、想いが溢れすぎないように気をつけながら、本音を言葉にする。
(…與儀との…)
「…お出かけ、楽しみにしてるね。」
「うん、俺も!」
本当に伝えたいことは隠したまま。
それでも、與儀はニコッと笑ってくれた。
本当はもうちょっと話していたかったけど、通りかかった羊さんにも促されて、與儀はおやすみと言って部屋に戻っていった。
駆け足気味で去って羊さんに怒られている後ろ姿を見つめながら……今夜は気持ちが高ぶって眠れなさそうだと覚悟する。
私の片思いに、当の與儀本人は一向に気づかない。
いつかはこの気持ちを伝えたい、伝えてみたいとは思うけど、與儀の反応とかその後の事を考えると尻込みする。
……俺もリイナちゃんが好きだよ、って言って抱きしめてくれたなら……その瞬間を何度も夢見ては、臆病な心が怖気づく。
私の想いを受け入れることが難しくても、きっと與儀は私を傷つけることを恐れてはっきり断れずに困る、と思うから。
この気持ちで與儀を困らせたくない。
私も拒絶されるのはすごく怖い。
それでもいつか、その手で触れてもらえる日がくることを願っている。
「………さて。」
與儀が見えなくなるまで見送ってから、静かにドアを閉めてまた服の山と睨み合う。
與儀は、可愛い系とセクシー系、どちらが好きだろう。あ、モード系とかスポーティって選択肢もあるよね。
あまり派手だったり露出や短いスカートは嫌かな…………。
私も自分の好みの服ばかり集めているから、どんなものにでも対応というわけにはいかないけど。
そろそろ時間もないし、早く決めて寝ないと寝坊したら明日準備する時間がなくなる。
先にアラームをセットしておくかと携帯を手に取ったところで、そういえばさっきの話、電話やメールでもいいのに、どうしてわざわざ部屋まで来たんだろう?と気付いた。
お風呂とか、何かの用事の帰りに寄った?
…………なんて、いちいち與儀の行動に理由をつけたくなるのも、厄介なものだなあ……。
深い意味なんてない。なのにね。
まあ、寝る前に顔を見られたのは嬉しかったけどね。
さっき見られたカッコいい笑顔をドキドキと思い出しながら、アラームセットをしてまた服選びに取り掛かった。
翌朝、そうしてやっと決めた服装と丁寧に施したヘアメイクで約束のリビングルームまで行くと、與儀はまだ来ていなかった。
まだちょっと早かったかなと思いつつ待っていたら、バタバタと忙しない足音が近づいて與儀が中へ飛び込んできた。
「ごっ!ごめん!!待った!?」
「あ、ううん……大丈夫だよ。」
必死な顔の前で両手を合わせて謝りながら入ってきた與儀を、つい見つめてしまう。
どこか普段着の服装とは違うな…と思ったけど、服のどこにも貳組のマークがなかったから、輪の支給品じゃないことはわかった。
てことは與儀の私服だ。任務の日は支給品を着ていることも多いのに、今日はまた珍しく。
………私との買い出しの日に支給品じゃなく私服とか。
(……ああダメだ、顔がニヤけそう。)
いちいち目敏い自分がなんか、なあ。と、恥じらいを隠しつつ表情を作る。
今日もカッコいいなあ…。
「…寝坊でもしちゃった?」
「え!?や、寝坊はしてないんだけど!むしろ早く起きたくらいで…っ」
「そうなの?」
「ちょっと色々…準備に時間がかかっちゃって…あ〜…でも、せっかく早起きしても遅刻して待たせたら言い訳だよね、本当にごめんね…っ」
「大丈夫だよ、まだ時間あるし。そんなに待ってないし。ね?」
「う〜…リイナちゃん優しい…ありがとう…っ!!」
そんなに準備に時間がかかるようなことをしていたのかな……でも、こんなに謝るほど遅れてはいないし、私も本当にそんなに待っていないから、あまり申し訳思わなくていいのにな。
こういう、悪いと思ったことは謝ってきちんと反省するところはすごく良いと思うけどね。
與儀の好きな所のひとつなんだけど。
「じゃ、そろそろ行こっか?」
「うん!…あ、あのさリイナちゃん。」
「うん?」
與儀は何かを言いたげに私を見つめて、一瞬視線を逸らしたあと、またこちらを向いて遠慮がちに笑った。
「…今日も青い服、すごく似合ってるね。」
「…あ、ありがとう…………。」
(…………"も"?)
「じゃ、じゃあ行こうか!今日は俺が運転するね。」
「…う、うん。お願いするね。」
……え、ど、どういう意味だろう?
今日は確かに青のストライプのワンピースだけど…今日"も"?
私は青が似合うってことかな。
確かに青系はよく着るけどでも。
それとも與儀が特別に青が好きとか?…だったら、この服にして大正解だったな。
與儀から服装のことを言われるとは思わなかったから、予想外でびっくりしたしドキドキしてしまう。けど。
……………似合う、か。
(……可愛い、とは、さすがに言ってはくれないか…。)
似合う、も褒められているから嬉しいけど。
可愛いって、少しでも思ってほしいんだけどな。
頑張って準備したんだけど、與儀にとって、私は可愛くはないのかな…なんて、落ち込んじゃうね。
まあ、彼女でもないただの仲間を、いちいち可愛いなんて褒めたりはしないか…。
與儀にとっての可愛い女の子に、なりたいな。
どうしたらなれるのかはわからないけど、いま1番知りたいことのひとつだ。
……当番は私と與儀。
與儀と二人での外出は初めてではないけど、毎回私は緊張して頭を抱え悩む。
(…何を着ていこう…。)
任務の時とはまた違う、外出。
プライベートではない仕事のうちではある、のだけど、なんとなくデートのような気持ちでソワソワして落ち着かず、部屋で服を引っ張り出しては身体に当ててみて、何か違う…を繰り返した。
……デートだなんて、與儀は思いもしないんだろうけど。
だって私のこの気持ちは、私だけの一方的なものだから。與儀にしてみればこの外出はただの仕事のひとつで、個人的な感情なんてあるはずがない。
それでも、私は任務以外で與儀と街に出られることに、どうしたって心臓がドキドキしちゃうんだ。
少しでもいいから、與儀に可愛いと思ってほしい。私も女の子なんだって意識してほしい。
與儀に会う時の私は、いつだって最高に可愛い自分でありたい。
そのためにはどうしたらいいのか、私は與儀への想いに気づいてからずっと悩んでいる。
夜も更けてなかなか服が決まらずにいると、ふとドアがノックされた。
もう寝る前なのに誰だろう?と思いながら出てみると、外にいたのは與儀本人だった。
あまりにびっくりして、そして部屋中に拡げた服たちを見られたくなくて、慌ててドアが開きすぎないように気をつけながら顔を出した。
「…どうしたの?」
「ごめん、もう寝る頃かな?って思ったんだけど…リイナちゃんにお願いがあるんだ。」
「お願い?なに?」
與儀からお願いなんて、改まってどうしたんだろう?と首を傾げたら、與儀は少し気まずそうにキョロキョロと視線を泳がせた。
「明日の買い出し、寄りたいところがあるから、できたらクッピーを停めたら少しだけ別行動じゃダメかな…?あまり待たせないようにするから…。」
寄りたいところ……個人的に行きたい場所があるのかな?
あくまでも買い出しは仕事中のことだから、個人的な外出と一緒にするのはあまり良くはないんだけど…與儀もそれはわかっているんだろうし、なのにわざわざこうして私にお願いに来るくらいだから、よほど大事な用があるのかもしれない。
それに與儀のことだから、絶対に悪いことはしないって信頼もできるし、少しくらいなら単独行動をしても大丈夫だろう。
私の様子を恐る恐る窺ってくる目線に応えるように、私は笑って見せた。
「うん、いいよ。平門さんにはナイショね?」
「ほんと?ありがとう!!」
「私も適度に時間を潰しているから、用事が終わったら連絡をくれる?」
「うん!!本当に、待たせないようにするね!!」
「ゆっくりでいいよ、せっかくの外出なんだから。」
「ううん、それこそせっかくリイナちゃんとお出かけなんだから、あまり待たせたらもったいないから!」
「……………………」
與儀の言葉に思わず黙り込む。
深い意味はないのはわかる、けど…どうしても深い意味を持たせたくて意識してしまう。
それでも、この気持ちはバレるわけにはいかないから、実は期待に心臓が高まっているのを悟られないように、なんとか平静を装って表情を作った。
けどね、嘘だけはつきたくない、與儀にはいつだって誠実でいたいから…ちょっとだけ、想いが溢れすぎないように気をつけながら、本音を言葉にする。
(…與儀との…)
「…お出かけ、楽しみにしてるね。」
「うん、俺も!」
本当に伝えたいことは隠したまま。
それでも、與儀はニコッと笑ってくれた。
本当はもうちょっと話していたかったけど、通りかかった羊さんにも促されて、與儀はおやすみと言って部屋に戻っていった。
駆け足気味で去って羊さんに怒られている後ろ姿を見つめながら……今夜は気持ちが高ぶって眠れなさそうだと覚悟する。
私の片思いに、当の與儀本人は一向に気づかない。
いつかはこの気持ちを伝えたい、伝えてみたいとは思うけど、與儀の反応とかその後の事を考えると尻込みする。
……俺もリイナちゃんが好きだよ、って言って抱きしめてくれたなら……その瞬間を何度も夢見ては、臆病な心が怖気づく。
私の想いを受け入れることが難しくても、きっと與儀は私を傷つけることを恐れてはっきり断れずに困る、と思うから。
この気持ちで與儀を困らせたくない。
私も拒絶されるのはすごく怖い。
それでもいつか、その手で触れてもらえる日がくることを願っている。
「………さて。」
與儀が見えなくなるまで見送ってから、静かにドアを閉めてまた服の山と睨み合う。
與儀は、可愛い系とセクシー系、どちらが好きだろう。あ、モード系とかスポーティって選択肢もあるよね。
あまり派手だったり露出や短いスカートは嫌かな…………。
私も自分の好みの服ばかり集めているから、どんなものにでも対応というわけにはいかないけど。
そろそろ時間もないし、早く決めて寝ないと寝坊したら明日準備する時間がなくなる。
先にアラームをセットしておくかと携帯を手に取ったところで、そういえばさっきの話、電話やメールでもいいのに、どうしてわざわざ部屋まで来たんだろう?と気付いた。
お風呂とか、何かの用事の帰りに寄った?
…………なんて、いちいち與儀の行動に理由をつけたくなるのも、厄介なものだなあ……。
深い意味なんてない。なのにね。
まあ、寝る前に顔を見られたのは嬉しかったけどね。
さっき見られたカッコいい笑顔をドキドキと思い出しながら、アラームセットをしてまた服選びに取り掛かった。
翌朝、そうしてやっと決めた服装と丁寧に施したヘアメイクで約束のリビングルームまで行くと、與儀はまだ来ていなかった。
まだちょっと早かったかなと思いつつ待っていたら、バタバタと忙しない足音が近づいて與儀が中へ飛び込んできた。
「ごっ!ごめん!!待った!?」
「あ、ううん……大丈夫だよ。」
必死な顔の前で両手を合わせて謝りながら入ってきた與儀を、つい見つめてしまう。
どこか普段着の服装とは違うな…と思ったけど、服のどこにも貳組のマークがなかったから、輪の支給品じゃないことはわかった。
てことは與儀の私服だ。任務の日は支給品を着ていることも多いのに、今日はまた珍しく。
………私との買い出しの日に支給品じゃなく私服とか。
(……ああダメだ、顔がニヤけそう。)
いちいち目敏い自分がなんか、なあ。と、恥じらいを隠しつつ表情を作る。
今日もカッコいいなあ…。
「…寝坊でもしちゃった?」
「え!?や、寝坊はしてないんだけど!むしろ早く起きたくらいで…っ」
「そうなの?」
「ちょっと色々…準備に時間がかかっちゃって…あ〜…でも、せっかく早起きしても遅刻して待たせたら言い訳だよね、本当にごめんね…っ」
「大丈夫だよ、まだ時間あるし。そんなに待ってないし。ね?」
「う〜…リイナちゃん優しい…ありがとう…っ!!」
そんなに準備に時間がかかるようなことをしていたのかな……でも、こんなに謝るほど遅れてはいないし、私も本当にそんなに待っていないから、あまり申し訳思わなくていいのにな。
こういう、悪いと思ったことは謝ってきちんと反省するところはすごく良いと思うけどね。
與儀の好きな所のひとつなんだけど。
「じゃ、そろそろ行こっか?」
「うん!…あ、あのさリイナちゃん。」
「うん?」
與儀は何かを言いたげに私を見つめて、一瞬視線を逸らしたあと、またこちらを向いて遠慮がちに笑った。
「…今日も青い服、すごく似合ってるね。」
「…あ、ありがとう…………。」
(…………"も"?)
「じゃ、じゃあ行こうか!今日は俺が運転するね。」
「…う、うん。お願いするね。」
……え、ど、どういう意味だろう?
今日は確かに青のストライプのワンピースだけど…今日"も"?
私は青が似合うってことかな。
確かに青系はよく着るけどでも。
それとも與儀が特別に青が好きとか?…だったら、この服にして大正解だったな。
與儀から服装のことを言われるとは思わなかったから、予想外でびっくりしたしドキドキしてしまう。けど。
……………似合う、か。
(……可愛い、とは、さすがに言ってはくれないか…。)
似合う、も褒められているから嬉しいけど。
可愛いって、少しでも思ってほしいんだけどな。
頑張って準備したんだけど、與儀にとって、私は可愛くはないのかな…なんて、落ち込んじゃうね。
まあ、彼女でもないただの仲間を、いちいち可愛いなんて褒めたりはしないか…。
與儀にとっての可愛い女の子に、なりたいな。
どうしたらなれるのかはわからないけど、いま1番知りたいことのひとつだ。