(甘)リトルレディの憂鬱
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散々めちゃくちゃに罵られた與儀は、涙を浮かべながら期待をこめた目で私を見た。
イヴァに対する私のフォローを待ってる。
與儀の好きなところなんて、そんな、そんなの……。
「わ……わかんない。なんでだろうね。」
「えええーっ!!??」
頭の上で、イヴァが笑う声が聞こえて…私は下を向いた。
「うぅ…っ…うわぁぁあっー!!」
ひどいよぉぉぉお!!!
……と、エコーを残しながら飛び出して行った與儀を見て…少し、胸が痛くなった。
いまだ抱き締められたまま動けなくなってしまった私は、イヴァの体に腕を回して思いきり抱きつく。
これは女同士だからできること…與儀にはできない。
本当は一番に與儀にしたいのに。
「イヴァ……。」
「なに?」
「私…可愛くない…?」
「なーに言っているの?こんなに可愛いのに。」
イヴァは私を抱き締めて、後頭部を撫でながらすりすりとオデコのあたりに頬擦りをした。
掛け値なしに可愛がってくれているのは感じるの。
まるで姉が妹を可愛がるように。
「ツクモもリイナも、私にはとーっても可愛いわよ。」
「でもそれって、女の子としてじゃないよね…?」
「ん?どういうこと?」
「ツクモはともかく…私…與儀の言う通りちっちゃいし、素直じゃないし…なつかない動物みたい。私、イヴァみたいになりたかった。」
言いたいことを思いきり言えて、誰が見ても美人でスタイルも良い。
與儀みたいな長身の男性と並んでも違和感がない。
私は與儀にどんなに可愛いって言われても、愛玩動物みたいに見られているんじゃないかって思っちゃうの。
自分に自信がないから…だから、素直にまっすぐな好意を向けてくれる與儀に対してひねくれてしまう。
本当はひねくれても好きだって言ってほしいから。
それで安心したいのかもしれない。
だけどそれが與儀を傷つけているのかもしれない。
「うーん、そうねぇ…確かに女の子としてとはちょっと違うかもしれないわねぇ。」
「…………っ」
「だって私は同じ女だからね。可愛い子は純粋に可愛いから好きよ。けどそれは、與儀がリイナを可愛いと思う気持ちとは違うでしょ。アレは単純にあなたを恋愛として好きだから、女の子として可愛いって思ってるんだし。」
「そうかな…。」
「リイナは女の子らしい可愛らしさを持っているのよ。小柄なのも女の子らしいし、私みたいになりたいって言ってくれるのは嬉しいけど、実際に與儀が選んだのは私じゃなくリイナなわけだし。まぁ私に好意を持ったとしてもぶっ飛ばすけど。」
「あはは…。」
そうなのかな…。
イヴァみたいな人がよかったら、與儀も最初からイヴァを好きになっているのかな。
いつでもわかりやすすぎるくらい好意を見せてくれるのに、わざと冷たくしてしまうのは…私のコンプレックスの裏返しだ。
與儀と並んだって、きっと恋人同士には見られない自分へのコンプレックス。
良くて兄妹だから。
「あなたってば、好きなものになればなるほどひねくれるわよね。與儀に対してはとくにそう。…ごめんね、さっき與儀のどこが好きなのかを本人に言うのをあからさまに避けたとこ、可愛すぎて思わず笑っちゃった。」
「ええ!?あれ、勝ち誇った笑いじゃなかったの!?」
「まぁ、それもあるわ。あそこで素直に答えられたら、私にとっちゃただのノロケでしょ。」
「そ…そっか…。」
「リイナを知っている人なら、みんな知っているわよ、あなたがただの恥ずかしがり屋で素直になるのが苦手な子なんだって。悪態をついてもそれが本音じゃないってこともね。」
「與儀、も…?」
「そりゃあね。だからひねくれ屋のあなたを好きになったんでしょ。言葉に隠された本音をちゃんと理解しているってこと。で、言っちゃったあと密かに後悔しているでしょ。それもみんな知っているわ。」
「う……っ……消えてしまいたい……。」
まさに穴があったら入りたい。
むしろ自分で掘って埋まってしまいたい。
私のくだらない意地や虚勢が、全部つつぬけだったとは。
それでもさっき與儀は、私に好きって言って欲しかったんだね。
イヴァに対して宣言をしてほしかったのかも。
だけど私が與儀を好きな理由なんて…言えないよ…。
言えないけど、でも。
「私…與儀のこと、好きだよ…。」
「それは私じゃなく本人に言いなさい。…ったく、あなたたちが付き合うこと、私は認めていないって言ったのに…。」
イヴァはそう言ってため息をつきながら、私の背中をポンポンッと軽く叩いた。
なんだ、素直じゃないのはイヴァも同じね。
「リイナの性格はよく知っているからショックは受けていないと思うけど、一応行ってくれば。後悔しているんでしょ?」
「う、ん……ありがと。」
促されるまま、駆け足でリビングルームを飛び出した。
羊に與儀の居場所を訪ねると、自分の部屋へ戻ったというので、私も與儀の部屋に向かう。
途中、履き慣れていない真新しいハイヒールでは走りづらい事に気づいて…靴を脱いでペタペタと通路を小走りする。
そう。動きやすさを重視するから、私は普段あまりハイヒールは履かない。
だから縮まらない與儀との身長差が、あまり好きじゃなかった。
いざ10センチだけ近づいてみたら、色んなことがわかったよ。
身長差なんか問題じゃないんだって。
問題は、自分の中だけで閉じこもっていたせいで縮まらなかった心の距離だった。
與儀はいつでも扉を全開にして、私を待っていてくれたのにね。
「はぁ……」
ようやく與儀の部屋まで着いて、嫌に心臓がドキドキした。
さすがに恋人から否定されたらきついと思う…から、傷ついていたらどうしよう、って。
私は、いつだって與儀から好きって好意を示してくれていたから、安心しちゃっていたんだ。
―…コンコンッ
勇気をふりしぼってドアをノックしてみる。
中から確かに與儀の声で返事が聞こえて、少ししてドアが開いた。
顔を出した與儀は私の頭より少し上を向いていて、あれ??という表情をした。
そのあとすぐ下を向いて私の姿を捉えると、ビックリしたようで目を見開いた。
……そんなにか。
そんなにすぐ視界に入らないほどに、私は與儀からすれば小さいか…と、ちょっと凹みそうになる。
おっと、立て直せ私のメンタル。
「わ、ビックリした…。」
「ごめん、あの……は…入って、いい?」
バカ、入室の許可を取る前にさっきの謝罪でしょうが。
許しを乞う前に中に入れろとか図々しいでしょうが私よ。
だけど與儀は、ニコッと笑ってくれた。
「うん、どうぞ。」
その笑顔に私はまた甘えて、そのまま黙って入ってしまった。
部屋の真ん中あたりで立ち止まって下を向く。
背中で、與儀がドアを閉めて歩いてくる足音がした。
「ええと…リイナちゃん、なんで裸足なの…?」
「べ…別にいいでしょ。」
あなたを追いかけるために脱ぎました、とは言えない。
気にはなったのだろうけど、私がまたピシャリと扉を閉めてしまったから、與儀はそれ以上理由を聞かなかった。
ああああ違うんだって。
こんな口を聞きたいわけじゃないんだって!!
「さ…さっきは、あの……ごめん…手を払いのけたりとか…。」
「あ、ううん…俺こそごめんね…いきなり逃げちゃって。」
よしよし、この調子。
おそるおそる見上げてみる…と、さすがに與儀も気まずそうに苦笑いをしていた。
こんな顔をさせちゃったのも、私なんだよね…。
謝る必要はないんだよ、だって逃げたくなるようなことを言ったのは私だもの。
「本当に…ごめんね…?」
一度謝ったら、少し心がほぐれたので…
繰り返し與儀を見上げて謝ると、何故か與儀は頬を赤くした。
え、どうして赤くなるの??
……と首をかしげた私に、スッと與儀の両腕が伸びてくる。
同時に近づいてきた與儀に無意識にビクッと体を硬直させてしまい、それに気づいた與儀はサッと身を引いた。
「あ、ごめん、可愛かったからつい……うっかりギュッてしたくなっちゃった。」
「か……」
「あ、可愛いって言われるのは嫌?だったらやめるから。なるべく言わないようにするから!!頭を撫でるのもやめるし!!」
「…別に…嫌とは言ってない、けど。」
子供っぽく扱われているなら嫌だった。
街を歩いていて治安部にお嬢ちゃん、いくつ?お家の人は?とか補導されかけたりとか何度もあったし……
いや私、輪だしそもそもお嬢ちゃんじゃないし、これでも成人だし、って拗ねてた。
でも與儀のは違うんだよね。
女の子として、恋人として扱ってくれる"可愛い"なら、これほど嬉しいことはないよ。
イヴァに対する私のフォローを待ってる。
與儀の好きなところなんて、そんな、そんなの……。
「わ……わかんない。なんでだろうね。」
「えええーっ!!??」
頭の上で、イヴァが笑う声が聞こえて…私は下を向いた。
「うぅ…っ…うわぁぁあっー!!」
ひどいよぉぉぉお!!!
……と、エコーを残しながら飛び出して行った與儀を見て…少し、胸が痛くなった。
いまだ抱き締められたまま動けなくなってしまった私は、イヴァの体に腕を回して思いきり抱きつく。
これは女同士だからできること…與儀にはできない。
本当は一番に與儀にしたいのに。
「イヴァ……。」
「なに?」
「私…可愛くない…?」
「なーに言っているの?こんなに可愛いのに。」
イヴァは私を抱き締めて、後頭部を撫でながらすりすりとオデコのあたりに頬擦りをした。
掛け値なしに可愛がってくれているのは感じるの。
まるで姉が妹を可愛がるように。
「ツクモもリイナも、私にはとーっても可愛いわよ。」
「でもそれって、女の子としてじゃないよね…?」
「ん?どういうこと?」
「ツクモはともかく…私…與儀の言う通りちっちゃいし、素直じゃないし…なつかない動物みたい。私、イヴァみたいになりたかった。」
言いたいことを思いきり言えて、誰が見ても美人でスタイルも良い。
與儀みたいな長身の男性と並んでも違和感がない。
私は與儀にどんなに可愛いって言われても、愛玩動物みたいに見られているんじゃないかって思っちゃうの。
自分に自信がないから…だから、素直にまっすぐな好意を向けてくれる與儀に対してひねくれてしまう。
本当はひねくれても好きだって言ってほしいから。
それで安心したいのかもしれない。
だけどそれが與儀を傷つけているのかもしれない。
「うーん、そうねぇ…確かに女の子としてとはちょっと違うかもしれないわねぇ。」
「…………っ」
「だって私は同じ女だからね。可愛い子は純粋に可愛いから好きよ。けどそれは、與儀がリイナを可愛いと思う気持ちとは違うでしょ。アレは単純にあなたを恋愛として好きだから、女の子として可愛いって思ってるんだし。」
「そうかな…。」
「リイナは女の子らしい可愛らしさを持っているのよ。小柄なのも女の子らしいし、私みたいになりたいって言ってくれるのは嬉しいけど、実際に與儀が選んだのは私じゃなくリイナなわけだし。まぁ私に好意を持ったとしてもぶっ飛ばすけど。」
「あはは…。」
そうなのかな…。
イヴァみたいな人がよかったら、與儀も最初からイヴァを好きになっているのかな。
いつでもわかりやすすぎるくらい好意を見せてくれるのに、わざと冷たくしてしまうのは…私のコンプレックスの裏返しだ。
與儀と並んだって、きっと恋人同士には見られない自分へのコンプレックス。
良くて兄妹だから。
「あなたってば、好きなものになればなるほどひねくれるわよね。與儀に対してはとくにそう。…ごめんね、さっき與儀のどこが好きなのかを本人に言うのをあからさまに避けたとこ、可愛すぎて思わず笑っちゃった。」
「ええ!?あれ、勝ち誇った笑いじゃなかったの!?」
「まぁ、それもあるわ。あそこで素直に答えられたら、私にとっちゃただのノロケでしょ。」
「そ…そっか…。」
「リイナを知っている人なら、みんな知っているわよ、あなたがただの恥ずかしがり屋で素直になるのが苦手な子なんだって。悪態をついてもそれが本音じゃないってこともね。」
「與儀、も…?」
「そりゃあね。だからひねくれ屋のあなたを好きになったんでしょ。言葉に隠された本音をちゃんと理解しているってこと。で、言っちゃったあと密かに後悔しているでしょ。それもみんな知っているわ。」
「う……っ……消えてしまいたい……。」
まさに穴があったら入りたい。
むしろ自分で掘って埋まってしまいたい。
私のくだらない意地や虚勢が、全部つつぬけだったとは。
それでもさっき與儀は、私に好きって言って欲しかったんだね。
イヴァに対して宣言をしてほしかったのかも。
だけど私が與儀を好きな理由なんて…言えないよ…。
言えないけど、でも。
「私…與儀のこと、好きだよ…。」
「それは私じゃなく本人に言いなさい。…ったく、あなたたちが付き合うこと、私は認めていないって言ったのに…。」
イヴァはそう言ってため息をつきながら、私の背中をポンポンッと軽く叩いた。
なんだ、素直じゃないのはイヴァも同じね。
「リイナの性格はよく知っているからショックは受けていないと思うけど、一応行ってくれば。後悔しているんでしょ?」
「う、ん……ありがと。」
促されるまま、駆け足でリビングルームを飛び出した。
羊に與儀の居場所を訪ねると、自分の部屋へ戻ったというので、私も與儀の部屋に向かう。
途中、履き慣れていない真新しいハイヒールでは走りづらい事に気づいて…靴を脱いでペタペタと通路を小走りする。
そう。動きやすさを重視するから、私は普段あまりハイヒールは履かない。
だから縮まらない與儀との身長差が、あまり好きじゃなかった。
いざ10センチだけ近づいてみたら、色んなことがわかったよ。
身長差なんか問題じゃないんだって。
問題は、自分の中だけで閉じこもっていたせいで縮まらなかった心の距離だった。
與儀はいつでも扉を全開にして、私を待っていてくれたのにね。
「はぁ……」
ようやく與儀の部屋まで着いて、嫌に心臓がドキドキした。
さすがに恋人から否定されたらきついと思う…から、傷ついていたらどうしよう、って。
私は、いつだって與儀から好きって好意を示してくれていたから、安心しちゃっていたんだ。
―…コンコンッ
勇気をふりしぼってドアをノックしてみる。
中から確かに與儀の声で返事が聞こえて、少ししてドアが開いた。
顔を出した與儀は私の頭より少し上を向いていて、あれ??という表情をした。
そのあとすぐ下を向いて私の姿を捉えると、ビックリしたようで目を見開いた。
……そんなにか。
そんなにすぐ視界に入らないほどに、私は與儀からすれば小さいか…と、ちょっと凹みそうになる。
おっと、立て直せ私のメンタル。
「わ、ビックリした…。」
「ごめん、あの……は…入って、いい?」
バカ、入室の許可を取る前にさっきの謝罪でしょうが。
許しを乞う前に中に入れろとか図々しいでしょうが私よ。
だけど與儀は、ニコッと笑ってくれた。
「うん、どうぞ。」
その笑顔に私はまた甘えて、そのまま黙って入ってしまった。
部屋の真ん中あたりで立ち止まって下を向く。
背中で、與儀がドアを閉めて歩いてくる足音がした。
「ええと…リイナちゃん、なんで裸足なの…?」
「べ…別にいいでしょ。」
あなたを追いかけるために脱ぎました、とは言えない。
気にはなったのだろうけど、私がまたピシャリと扉を閉めてしまったから、與儀はそれ以上理由を聞かなかった。
ああああ違うんだって。
こんな口を聞きたいわけじゃないんだって!!
「さ…さっきは、あの……ごめん…手を払いのけたりとか…。」
「あ、ううん…俺こそごめんね…いきなり逃げちゃって。」
よしよし、この調子。
おそるおそる見上げてみる…と、さすがに與儀も気まずそうに苦笑いをしていた。
こんな顔をさせちゃったのも、私なんだよね…。
謝る必要はないんだよ、だって逃げたくなるようなことを言ったのは私だもの。
「本当に…ごめんね…?」
一度謝ったら、少し心がほぐれたので…
繰り返し與儀を見上げて謝ると、何故か與儀は頬を赤くした。
え、どうして赤くなるの??
……と首をかしげた私に、スッと與儀の両腕が伸びてくる。
同時に近づいてきた與儀に無意識にビクッと体を硬直させてしまい、それに気づいた與儀はサッと身を引いた。
「あ、ごめん、可愛かったからつい……うっかりギュッてしたくなっちゃった。」
「か……」
「あ、可愛いって言われるのは嫌?だったらやめるから。なるべく言わないようにするから!!頭を撫でるのもやめるし!!」
「…別に…嫌とは言ってない、けど。」
子供っぽく扱われているなら嫌だった。
街を歩いていて治安部にお嬢ちゃん、いくつ?お家の人は?とか補導されかけたりとか何度もあったし……
いや私、輪だしそもそもお嬢ちゃんじゃないし、これでも成人だし、って拗ねてた。
でも與儀のは違うんだよね。
女の子として、恋人として扱ってくれる"可愛い"なら、これほど嬉しいことはないよ。