(甘)じゃれ犬とツン猫のはなし
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私が言いたいこと。
與儀が本当は言ってほしいだろうこと。
とっくに答えはわかっているでしょ?私。
ここまで想いが通じ合っている人に、なにを遠慮する必要があるの?
心のままに…心のままに…。
いっそ、感情が先走ってしまえ。
「…ほんとは…與儀に、触られたい、よ」
「え?」
「嫌じゃないとかじゃなくて…頭を撫でられたり、とか…さっきの、キス…も…う、嬉しい…し………。くっついたりとか、ほんとはしたい……。」
「ほ…ほんと…?」
「い…嫌じゃない…?こんな、女からこんなことを言うの…。」
おそるおそる、探るように聞いてみると…與儀は、思いきり首を横に振った。
「俺、遠慮しなくていいの?」
「あ…でも、最初はちょっと加減してもらえるとありがたい…。」
无くんとかにしているみたいにいきなり距離を詰められたら、私は確実に萌え…じゃなくて悶え死ぬ。
「さっきの、オデコをくっつけるくらいが、今の私の心臓の限界…かも。」
「りょ…了解、がんばる。」
與儀にとっては物足りないかもしれない。
もしかしたらまた感情が先走ったら、思いきりスキンシップをとられて死ぬ目に遭うかもしれないけど…まぁ、それは許そうと思う……。
そういう、なつっこい人を好きになったんだから。
「あの、私…ほんとに、口数少ないし、口を開いても口下手で、言いたいことの半分もうまく言えないし、もどかしいと思うけど………………………………………………………………………………………………………………………………………す……好き、だから、ね。」
「随分と間があったけど……うん、わかった。その間が、月乃ちゃんが勇気を出すタイミングなんだね?」
「…そういうこと……。」
「大丈夫、口数が少ないからって、そこに感情とか気持ちがないなんて思ってないから。黙っている間も色々考えてるんでしょ?」
「わかって、くれたならいい…。」
明るいあなたと、無口で不器用な私。
相性はよくなさそうに見えるけど、意外と合うのかもしれない。
話上手と聞き上手というか。
與儀が楽しそうに話すのを、楽しく聞いている私。
「與儀が、好きって言ってくれたの…すごく、嬉しかったんだ、よ…?」
「そ…っか…よかった…うん。どうやって好きになってもらおうか、ずっと考えていたよ…。」
「ごめん…うまく言えなくて…。」
「ううん、嬉しい。」
與儀は頬を染めたまま、ゆっくり…ゆっくりと私に手を伸ばした。
私の反応をちゃんと見て、どこまでの距離感なら大丈夫なのか計っているみたいに。
そして、そっと頭を撫でられた。
頑張って…嬉しい、って気持ちを表したくて口角を上げて笑顔を作ってみる。
すると一瞬手が止まったけど…與儀はまた顔を赤くしながら今度は髪を梳いた。
「あの…さ。」
「うん…?」
「今更なんだけど…キスは、してもいい…?」
「…っ……ほ…ほんとに今更だね……っ……。」
「ごめん…。」
だから、違うの。
言いたいのはこれじゃない。
こんな責めるような言い方じゃなくて…っ!!
照れるたび、恥ずかしいと思うたびにうまく言葉が出なくなる。
本当は頭を撫でられるたび、息ができないの。
けど、やめてなんて欲しくない。
いいよ?…じゃ、なくて…。
「………して、欲しい…。」
「…っえ?いいの?」
「……………………………
……………………っ…………
………………………………
…………っ……………………
…………ぃ……いいよ…。」
「…っ…ぷっ…あははっ!すっごい間だったね今!!相当な勇気を使ってくれたんだね?」
「わっ…笑うならしなくていいっ!!」
「わっ、嘘うそ!!ごめん!!すっごくしたいです!!」
ひどい、せっかく頑張ったのに。
けど…間を開けたのを、許すかどうかの葛藤じゃなくて、恥ずかしさを振り切って勇気を振り絞るタイミングだって…ちゃんとわかってくれたんだね。
さっきは本当に一瞬だったから、今度はゆっくりして欲しい。
爆発しそうだけど、ちゃんと触れて感じたいから。
目を見つめてから、もう勢いだ!!とかたく目を閉じて與儀を待った。
さらりと髪を撫でていた手が、頬を包み込んで…ゆっくりと唇が重なる。
気づくと、私も片手は與儀の肩に…もう片手は頬に触れている手に重ねていた。
気持ちのままに、勝手に体が動いた。
触りたいって衝動が恥ずかしさに勝った。
またゆっくり離れて、手は触れ合ったまま見つめ合うと、思わず二人して照れて吹き出してしまった。
大好きよ、與儀。
それが自然と言えるようになる頃には、もっと近い私たちになっているよね。
もう…報告書とか投げ出したくなっちゃうよ。
ずっとこうしていたい。
今更やっと両想いになれたような気分だった。
重ねた手を、ゆっくり指先を絡めて握ると…與儀はすごく嬉しそうに笑った。
……また、キスがしたいな。
抱き締めて欲しいしいっぱいくっつきたい。
よく考えたら、私からいくら甘えてもベタベタしても、與儀はうっとおしがるような人じゃないもんね。
むしろ喜んでベタベタし返してくれる気がする。
好きな人に愛されてる…それが、自分への自信に変わっていく。