(甘)家族になろう
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與儀が好き
輪に入団して仲間になって、仲良くなって、そしていつしか特別な人になって…。
誰より傍にいたいと思って、いられる人になって。
大好きで、大切なひと。
與儀が笑ってくれるなら、私、なんでもするよ?
任務は怖い
それが私たちの仕事なんだけど…常に命のやりとりで、危険は隣り合わせ。
いつだって何が起こるかわからない状況におかれている日々。
そんな中で、自分以上に大切な人が傷つくのが怖い。
輪の仲間は、みんなみんな。
だから、無事に戻ってきてと、いつも願う。
「羊さん、與儀が戻ってきたら教えてくれる?」
「わかったメェ」
だから私はいつも、自分が艇にいるときは仲間が帰ってきたときにいち早くわかるようにする。
すぐに通じ合うことができる羊にお願いをして、ふわふわの体をギュッと抱きしめた。
「ありがとう。じゃあ、ブラッシングしてあげるね。」
羊さんの毛を優しく優しくとかすと、心なしか気持ちよさそうにしているように見える。
特にやる必要はないんだけど、触っていると気持ち良いし、もう趣味のようなものになりつつある。
(今日は與儀が葬送か…)
ブラシを静かに動かしながら、ぼんやりと今頃戦っているはずの與儀を想う。
核心のヴァルガではなく被害者の葬送。
とはいえ、尋常ではない力を持ってしまったことに変わりはない。
與儀は強いから大丈夫だとは思うけど、それでも願わずにはいられない。
どうか無事に戻ってきますように。
待っている間は、こうしてひたすら祈るしかない。
與儀なら大丈夫、そう思っても不安になるのは、やっぱり與儀が特別だから。
そして、與儀のことは言えないくらいに弱虫な自分だから。
「ふう…」
「ありがとうメエ」
ちょうどブラッシングが終わった頃、羊さんが角をプルプル震わせた。
ほかの羊さんと通信しているのかな。
「與儀が帰ってきたメェ」
「ほんとっ!?」
良かった、ちゃんと今回も無事に…と思ってドアに向かったけど…。
「怪我をして医務室に行ったメェ」
「え…?」
ザワッ…と、全身から血の気が引いた。
わかってる。命がけなのだから怪我をするくらい。
怪我で済めばまだいい。
わかってはいるけど。
もし、與儀に何かあったら…。
不安ばかりが胸の中を広がって、私は慌てて医務室に駆けて、中に入った。
「與儀!?」
與儀は医務室のベッドに腰をかけ、腕に包帯を巻いてる。
想像していたのと違って、慌てて入った私を視界に捉えて笑って手をヒラヒラ振ってくれたから、心底ほっとした。
「リイナちゃん!ただいま~!」
「怪我をしたって、大丈夫なの?」
「あれ?情報早いね?大丈夫だよ。ちょっとミスしちゃって。」
與儀はいつものようにニコッと笑って、私はようやく腰が抜けそうになった。
もっと大怪我だったら…と気が気じゃなかった。
見たところ腕以外に怪我はないし、平気そうに笑ってる。
心配しなくて大丈夫かな……。
與儀が笑ってると、本当に安心する。
「ヴァルガにやられたの?」
「あ…えーと…言いにくいんだけど…弾き飛ばされて、枝に引っかけちゃった…んだよ、ね?」
「な…ドジ…」
「あはは…だから検査まではしなくていいみたい。」
それなら良かったのかな。
ドジだけど…ヴァルガにやられたんじゃなくて良かった。
大変なことになっていたかもしれない。
與儀の実力を疑う訳じゃないけど、やっぱり不安になるのは…それだけ大切なんだってこと。
それは自分でもわかっているんだ。
だから、與儀も心配と安心の間を揺らぐ私にニコニコと笑ってくれた。
「心配かけてごめんね?ありがとっ。」
「うん……。もう、やめてよね……。」
それでも、今日も無事に帰ってきたことに…心から安堵した。
今日も、こうして笑って過ごすことができるね。
それから夕飯を済ませて解散し、寝る準備をしていたとき、ドアを小さくノックされた。
「はーい?」
誰だろう?と開けてみたら、遠慮がちな顔をした與儀が立っていて。
いつもなら…
えへ、遊びにきちゃった!
って笑うのに…今日の與儀はおかしい。
どこか気まずそうな、そんな雰囲気がある。
初めてくるわけじゃないのに…。
「あの、あのさ…ちょっといいかな…?」
「どうしたの?」
「ごめん、用事はないんだけど。ちょっとお話したいなぁ?って。目がさえちゃって。」
「べつに、いいけど…。」
なんだか沈んでいるというか、元気がないのが気にかかって、そのまま與儀を招き入れた。
與儀はソファに腰かけると、横をポンポン叩いて、私に隣に座るよう促した。
促されるまま隣に座ると、トン…と肩に頭を乗せられた。
ふわりと髪が首に触る。