(切甘)I'm Home
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「夜が昼より長ければいいのにねー。」
「あはは、そしたら、ルアちゃんといっぱい一緒にいられるね。」
任務のためにゲートに向かう道すがら、まだ起きたくなかったらしいルアちゃんがポツリと呟いた。
一緒にいても、寝ちゃったらそれで朝だもんね。
確かに二人の時間を過ごすには、睡眠時間を入れると夜は短く感じるよ。
夢でも会えたらいいのにと思うのは、付き合っていても変わらない。
「今日はちょっと強力な能力者みたいだけど、與儀となら安心だよ。」
「そう?でも二人っていうのはホッとするね。早く終わらせてゆっくりしようね!」
「うん!!」
俺たちはゲート前まで来て微笑み合うと、羊さんたちに行ってきますと挨拶をした。
能力者殲滅。二人派遣されるということは、それなりに危険な相手だということ。
だけど、きっと大丈夫だって思ってた。
出発前に笑いながらもう一度、抱きついてきたルアちゃんにキスをして、二人で地上に降りた。
綿密な捜査の結果、町外れの屋敷に潜んで幅をきかせているらしい人物が能力者だと判明し、突入して葬送を命じられた。
必要な証拠は押さえてあるから、あとは倒すのみ。
屋敷にいたのは一人ではなく数人の能力者と、数体の能力軀だった。
「うう…」
「怖いなら、私の背中にいてもいいよ?」
「そっ!そんなことできるわけないでしょ!?この屋敷が迫力ありすぎなの!!」
「はいはい。」
お化けでも出そうなおどろおどろしい屋敷に、本物のお化けに近い能力軀。
俺はびくびくしながらもなんとか倒しながら先に進んでいて…
俺よりも、小柄なルアちゃんのほうが小回りがきくから、主に小さくて俊敏な敵をずっと相手していた。俺は大柄なほう。
だけどその大柄なほうを攻撃している最中、小さなネズミみたいな奴の大軍に囲まれたルアちゃんが見えた。
それら一匹一匹をまとめて排除しているのを視界の隅に捉えて、そっちは任せて大丈夫だと思ったから目の前にいる奴を倒すことに専念しようと向き合った。
だけど奴は、小物に集中しているルアちゃんに狙いを定め、俺を無視して彼女に手を伸ばした。
咄嗟にその腕を切り落としたけど、ルアちゃんはいきなり向かってきた奴に瞬間的に意識を取られて…
その隙に、囲んでいたネズミの大軍が彼女に一気に襲いかかった。
「っ!!」
ネズミといっても、一匹一匹は小型の犬並みに大きいうえ、キバはさらに鋭利。
技を出してはね飛ばし、次を繰り出す間にまたかかってきた奴等が、覆い被さるように彼女に群がった。
「っ!!!!」
「ルアちゃんっ!!」
俺は咄嗟に出した技で一気に敵を串刺しにすると、応援を呼んで彼女に駆け寄った。
倒れている体を抱き起こして覗き込むと、酸素不足かのように口ではかはかとようやく呼吸している。
顔は真っ青ですごく苦しそう…。
「與…儀…っ…大丈夫だから、やろう…っ」
「待って!応援が来るから!」
「逃げられ、ちゃう…っ大丈夫、痛みは、ない、から…っ」
ルアちゃんはゼェゼェと息をしながら、なんとか立ち上がって敵に向かった。
よくよく見ると、足のあちこちには深そうな傷と出血がある。
痛くないはずはない…。
さっきのに、噛まれた…?あの鋭い歯で、何度も。
ゾクッ…と寒気がはしったけど、こうなったらモタモタしてはいられない。
さっさと倒して、連れていかなきゃ。
「―――…っくらえっ!!!」
ルアちゃんは、俺が助けるんだ。
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